川崎賢子のレビュー一覧

  • 久生十蘭短篇選

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    ひと時やひとつの情景を切り取った描写が美しく感じた。

    先読みした展開が全く異なる方へと行ってしまうのが楽しく、良い短編が読めた。

    印象深い女性が多く出る。

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    2013年03月17日
  • 久生十蘭短篇選

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     久生十蘭という作家はどこかでちょっと聞いたことはあったが全く知らなかった。
     今回読んでみたが玄人向けの作品といえる。話のオチはあまり明確ではないし、予備知識も必要である。しかし読むのになれてくるとその構成の綿密さ、東西文化の混交に大きな興味をもつようになるのだろう。世の作家にシャーロキアンのようなジューラニアンが少なからずいることがその証左といえる。今回の読書ではそこまでは味わえなかった。

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    2012年11月03日
  • 久生十蘭短篇選

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    ツイッターでフォローしてる河出文庫で話題にされてたので、しかしあったのは岩波のだった。

    いろいろと予想外。漠然と予想していた幻想文学、だけでもなく、平易で読みやすいのに見慣れない文体。そっけないような丁寧なような。身構えて読んだら優しかったり、ぽんと突き飛ばされて終わったり。
    時間の流れがさくさくと切り変わったりさかのぼったりして不思議な気分になる。話の行き先がわからなくて、それが良い気分になったり。

    気に行ったのをここにあげておこうと思ったらだいたい全部だった。そのうち買いたい。
    「黄泉から」「蝶の絵」「復活祭」。

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    2011年03月04日
  • 久生十蘭短篇選

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    凝縮された完成度の高い短編が多く、何とも言えない美しい描写や人の性格の描き方が上手さもあって楽しく読める。時々立ち上る「ハイカラ」な香りも良い感じ。

    「黄泉から」
    話の筋よりも、おけいが死の間際にニューギニアで見た「雪」のシーンが実に素晴らしい。★★★★

    「予言」
    これは夢だったか妄想だったか、読んでいるうちに立っている平面が分からなくなる書きっぷりが絶妙。★★★★

    「鶴鍋」
    いやはや、良い話だなあ。といったところ。★★★

    「無月物語」
    これは十分に狂ってると思うなあ。★★★★

    「黒い手帳」
    これはいいね、実にいい。ルーレット必勝法を軸に、短いながらも話が二転三転、読ませる。★★★★

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    2010年12月19日
  • 久生十蘭短篇選

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    洒落てる
    そして作品中の描写(心理/風景)のバランスがきまっていて明晰さを感じる

    「予言」「白雪姫」「雪間」「母子像」が特に好き

    比喩もくどくなくて鮮やか
    とても好きな文体でした

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    2010年04月06日
  • 左川ちか 青空に指跡をつけて

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     詩論。あえて評伝的な記述や左川の人生に関連させた論考は最小限にとどめられ、作品そのものを分析する態度で徹底されている。
     アダプテーションやインターテクスチュアリティといった用語を使いつつ、左川は他者や自身のテクストを再構築し作りかえていったと指摘した箇所が面白い(pp69-70)。同じく改稿癖のあった稲垣足穂との対比では足穂は月、左川は太陽の詩人とされる(pp127-128)。本書の最後ではゴシックと左川を結びつけ、そこに左川の現代性と未来をみようとしているのだが(pp213-220)、この試みは逆に左川の可能性を狭めているように感じた。

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    2025年11月15日
  • 左川ちか詩集

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    斎藤真理子さんの『隣の国の人々』を読んで、詩を読む気分になって手に取った。

    左川ちかさんは明治44年生まれで、25歳で病死した。

    私は昔から詩が苦手で、1ページ目からやっぱりわからない。

    でも、彼女が闘いながら、生を力一杯輝かせようと、美しい花を咲かせようとしていることは伝わる。彼女の強さも伝わる。

    感情が迸り溢れるのを私もよく知っている。

    私は弱いから絶望しかなかった。生きることが恐怖でしかなかった。
    だから、彼女とは正反対だ。
    でも、絵と詩は出口が違うだけで同じような気がする。内にある思いを私は絵にし、彼女は詩にした。


    彼女の詩は美しい。
    多分、リズムがいいのだと思う。それか

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    2024年10月31日
  • 久生十蘭短篇選

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    15篇の短編からなる。
    どの登場人物も言葉遣いや境遇、ハイソな感じ。
    西洋にあこがれる日本人。

    いろんな物語を背景に描かれているようで知識の薄い私などが読むと分かってないことばかりかも。
    読者を試すところはナボコフみたいなのかも。

    白雪姫は、ある一生の羊飼いの男と同じような現象かな。
    あと、さらりとひとが死ぬな。

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    2024年08月30日