大久保洋子のレビュー一覧
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ネタバレ1930年代の中国を舞台にした、女流探偵ハードボイルド。中華ナンチャラってバカにするなかれ、ここまでしっかりしたスタンダードなハードボイルドは、日本だけでなく世界中観てもそう多くはないはず。
話の筋は探偵もの定番の出生の秘密探しで、喫煙飲酒運転格闘友情と、ハードボイルドメニューを完全に(しかも相当高いレベルで)提供して、あっと驚く急展開のラストまで持っていく凄さ。しかも、活躍する女性登場人物たちのカッコ良さったらもう。
こんな作家がこんな小説を書く人もいる中国という国家の底知れなさ、政治と経済面だけ見ていると社会主義的面白みのない冷たい怖い国だと思うし、その一面も決して間違いではないはずなんだが(EX:ジャッキーチェンの体たらく)、それだけではない奥の深さと底知れなさ。
差別と偏見だけに浮かれてたら、もっともっとエラいところまで差をつけられるぞ、高市ジャパン -
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弁護士の張(ジャン)が地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こす
そして彼のスーツケースから元検察官の江(ジアン)の遺体が発見される
江は張の教え子で自分が殺害したと…
しかし初公判で、張は突然自供を覆し、捜査は振り出しに戻る
警察が再捜査を進めるが…そこには…
初めての華文ミステリ!
過去と現在が交錯しながら物語が進むが大変読みやすかった
というかこんな作品、中国では大丈夫なの?圧力があったのでは…と思ってしまった…
ラスト一行が意味深だな、と思ったら解説によると中国人ならどういうことなのか分かるらしい…
中国社会の暗部!こわい…
しかしそれでも
巨悪に立ち向かっていこうとする男たちの姿には涙した
すばらしい作品だった -
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1作め、あまりにも好きすぎて。
灰都とおりさんの『西域神怪録異聞』
歴史の行間にかき消されてしまった人々を描く物語が好きだ。愛おしむべき小さな人々。歴史にかききえる私たちの姿。それを丹念に、愛しむように愛情深く描く作家さんだ、と思った。何故旅に出るのか?作者は問う。(チートすぎる)
玄奘三蔵の旅をほんの少しだけ、なぞったことがある。本当にほんの少しだけ。
クルズスタン(キルギス)のアクべシム遺跡。本当に広々とした荒野、朽ち果てた夢のあと。建物の壁だった部分を歩いたり、飛んだりはねたり。舞い上がる砂埃。空がものすごく広くて、太陽は地平線に沈んで、真っ暗になる。あの土地は、星が雨上がりの蜘蛛の巣みたいで本当に綺麗だった。
ウズベキスタンの都も旅した。オアシスは、三蔵法師が旅した時もあの、賑わいだったのか。
そんな旅に心馳せ、なんだかしんみり、泣いてしまう。おもしろいな〜
トリの立原透耶さんの『シン・魚玄機』も最高。いや好きすぎる…秘史SFって1番好きかもしれねえ。よかったよかった、ひみつにしようと幸せを守ってくれる観測者、たりえたいですね。わたしも。
他の作品はわたしの史実知識が無さすぎて、ノれず???でしたが、アンソロジーの良さはいろいろあるから、年中無休だと思っているので★三つ!(五つ) -
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弁護士の張は、教え子である元検察官・江の遺体をスーツケースに詰めて運搬していたところを逮捕される。一旦は殺人を認めた張だったが、初公判で彼は自供を翻した。捜査を進めるうちに浮かび上がったのは、かつて江が十年以上も追い続けていたとある事件。握りつぶされた告発と隠蔽された数々の殺人は、今回の事件にどのように関係しているのか。重厚な読みごたえとスリリングさが魅力のミステリです。
女児に対する性加害事件を明らかにしようとした青年の死から始まった過去の事件は、あまりに悪辣です。しかも証人を見つけるごとに消されていくという恐ろしさもあって、現代の事件そっちのけで展開に囚われてしまいました。そしてそこで活躍する江と、現在の江のキャラクターがあまりに違って見えることも大きな謎です。江に何があったのか、そして事件の捜査はどうなるのか、どきどきしっぱなし。
一方現在の事件でも、捜査陣を翻弄するかのような張の言動に何が隠されているのか、謎は深まるばかりでした。しかし過去の事件を解きほぐすにつれ、ようやく明らかになるすべての真相はあまりに重いです。まさかそんな企みがあったとは、そして結託した面々の決意と覚悟も壮絶。とにかく熱くて、感動的ですらあったのですが。それなのに、まだまだ闇は深いのか……というところに愕然とさせられました。 -
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ネタバレ陸秋槎を初読。勝手なイメージでラノベ寄りのミステリを書かれる方だと思っていたが、今作は歴史ハードボイルド作品。
女性の私立探偵、劉の元に、少女から同級生の行方を探してほしいと依頼がある。足取りを追う劉。一見、ただの家出に見えたが、事態は思いもよらない展開に。。。
時代は1930年代。あとがきによれば中国では、この時代にしか私立探偵は成り立たないとのこと。
テンプレートな事件、展開ではあるものの、最近は滅多に見なくなった私立探偵もののため、最後まで楽しめた。
作中の劉のかっこよさは折り紙つき。またラストも非常にやるせなく。でもそこが、なんとも言えない余韻を残す。良作。 -
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★5 私立探偵が人探しの依頼を受け… 女性のプライドと力強さを描いた人間ドラマ #喪服の似合う少女
■あらすじ
1930年代の中国、女性私立探偵の劉雅弦に依頼がやってくる。依頼主は実業家の娘からで、友人の岑樹萱を探してほしいというものだ。劉雅弦は調査を始めるも、岑樹萱の父親は事業で失敗して夜逃げをしており、彼女も行方しれずだった。足取りを追い続ける探偵劉雅弦であったが、背後に隠された事実が見え隠れするようになり…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 これまた渋みのあるいい小説!
一人称視点で描かれる私立探偵小説。人探しから始まる物語で、着実にストーリーが展開されていきます。全編通して探偵その人の背景や人間性がじっくりと感じられて、体の中に彼女の魂が入り込んでくるようです。
手がかりである人脈とひとつずつ相対していくのですが、それぞれの人生が伺える会話が豊潤で生き生きとしてる。序盤は人となりが分からないのですが、読みすすめるほど人間身が感じられ、自分自身も探偵になってしまったような錯覚をうけるのです。
そして中盤からは想定していなかったほどストーリーが大きく動き始める。アクションあり、誘拐劇ありと小説がパワーアップ。事件の背後にある人間関係も更新がされ、それぞれの歴史に重みが増してくるんすよ。物語の後半に差し掛かり、事件解決の流れになるのですが… 実はここからが本作の真骨頂なんです。
本作で推したいのは、主要人物がほとんどが女性であるところ。主役の探偵、令嬢、探している少女、実業家の愛人、友人の記者など、例外なく全員が魅力的、パワフルに描かれています。その背景に権力者や男どもの都合があるのですが… もうね、ひとりひとりを抱きしめたくなってしまう。でもおそらくは、そんな慰めや施しは不要と突っぱねられてしまうのでしょう。決して派手でなくとも、魂がある人はカッコイイですね。
また社会性も厳しく描かれています。これほどまでに貧富による身分の差があるのか、街での薬物乱用や犯罪の状況など、中国での現実を目の当たりにできるのです。
喪服の似合う少女は、望むものを手に入れられたのか。彼女はどんな犠牲を払い、その結果幸せになったのか。英文タイトルの意味を噛み締めながら、私は明るい未来を祈らずにはいられませんでした。
■ぜっさん推しポイント
大学生の頃、どんな仕事がやりたいのか分からなかったなぁ。そして大人になって色んな職に就いても、自分がやりたかった仕事なのか疑問をもち続けてました。それでもひとつひとつの仕事をこなしていくうちに、やっとやりたいことが明確になってきましたね。
いつの時代も男も女も、人それぞれの様々な仕事や立場がある。本作に出てくる女性たちは、力強い意識とプライドが感じられて痺れましたね。励ましと元気をいただきました。 -
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★5 巨悪に立ち向かう男たちの生き様に痺れる! 正義の本質がわかる社会派ミステリー #検察官の遺言
■あらすじ
舞台は中国の現代、ある弁護士が地下鉄で爆弾騒ぎで捕まってしまう。しかも彼が持っていたスーツケースの中から死体が発見されるのだ。その後弁護士は自供をするも、裁判では突然犯行を否認する。警察は再捜査していくうち、徐々に社会の闇が明るみになっていき…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!★5
よく薄っぺらく使われている言葉「正義」。本作では、この正義のなんたるかを重厚感たっぷりに教えてくれる社会派ミステリーです。
物語は現在の事件と並行して10年以上前におこった少女失踪事件が描かれていく。真相を暴くべく、警察や検察官がなんとか証拠を集めようとするも、ものの見事に隠蔽されてしまうんです。舞台が中国なこともあり、それはもう露骨なパワーゲームで事が運び、弱者の悲惨さがしんどすぎるのよ。まるで本当にありそうな事件だし、正直言うと日本人でよかった…と、何度も思いました。
この勝ち目がない勝負に挑んでいくキャラクター陣が魅力たっぷりなんです。激アツの仲間たちを紹介します。
●江陽(亡くなった元検察官)
せっかく若くして順風満帆な検察官人生を歩んでいたのに、なんでこんな結末を迎えなくてはならないのか。彼がそのまま検察官で活躍できれば、幸せになった人たちも多くいただろうに… 誰よりも粘り強くて、努力家だったことを忘れませんよ。どんな環境であっても、やるべきことをやれる人間は強いんだと学ばせていただきました。
●張超(弁護士)
頭いい人が決死の覚悟を決めると、マジ怖いという事例ですね。序盤は何者で何目的なのかさっぱりわからないのですが、後半になるととんでもない事実が発覚してくる。彼の決断と行動力には震えました…
●陳明章(監察医)
事件に対して狡猾な戦略で事を運ぶ策士で、自分の人生をコントロールするのも上手い。こんなにも飄々としてるのに、実は友人想いないい奴なんですよ。彼がいなかったら早々に破綻してたでしょう。
●朱偉(刑事)
イチ推しキャラ、あだ名は雪ちゃん。あまり頭の切れは良くないけど、情には厚く誰よりも優しい鬼刑事。彼の行動から元気がもらえるし、物語に生命力を吹き込んでくれる名脇役でした。男として生まれたら、一度はこんな生き方をしてみたいんですよね。カッコ良かったです。
物語を読み進めると、背景にどんな巨悪が存在するかが見えてくるの。そして最後の勝負に挑む弱者たちに痺れる。彼らは長い闘いの人生をみていると、正義を貫くっていうのは、こんなにも犠牲を払わなければいけないのかと悲しくなっていしまいますね。誰かの邪な行為が、多くの人の時間と精神を奪ってしまうんです。
しかし中国でリアルにあった事件を調べてみましたが、ほぼ同じじゃねーかと…怖いわっ もちろん被害者はいますし、この悪い奴らは絶対に許せない。
熱い熱い読み応えたっぷりの社会派小説、今年を代表する翻訳ミステリーのひとつだと思います。
■ぜっさん推しポイント
人生を歩んでいると、様々な場面で難しい選択をしなければいけない時がある。
お金を取るか、良心を取るか、未来を取るか…
悩ましいのは、大抵はすべてを取ることができず、何はあきらめなければならない点です。ここで間違ってしまうと、人生が大きく変わってしまう。ホント幸せに生きるって難しいです。
しかしこんな時に正しい道筋を示してくれるのは、近くにいる仲間たちや家族だと思うんです。大した能力はないですが、もし仲間が困っているのであれば、微力ながら力になってあげたいと思わせてくれました。 -
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「宝をめぐって闘うことは、宝そのものより重要だ」
地球へ向かう輸送艦、老いた艦長から老いた火星総督への伝言、物語はここから始まる。
舞台である「火星と地球」は、火星独立時の事情から、「統制管理と経済支配」という社会構造の相違から、再び戦火を交える直前にあった。その様子は、まるで現代の「社会主義と資本主義」を比喩しているよう。
人の幸せとは何か
自由と保護は相反するのか
そしてこの大きなテーマは、主人公達の葛藤という内面でのテーマとも通じている。
「自由とはなにか」主人公ロレインたちの迷い……。
自由、それは束縛からの離脱、独立。離脱したのちにあるものは、自らが作る新たな束縛?
レイニー医師の言葉
「世界は扇動と盲従の上に築かれている。その原動力は欲望だ」
「幸福とは頭をはっきりさせておくこと。自由とは頭をはっきりさせておけること」
第三章、刻々と迫る変化のなかで繰り広げられる群像劇、そして結末。
SFでありながら、カミュやサン=テグジュペリからの引用を多用した哲学書のようなこの物語。
『流浪蒼穹』この二つの熟語の題名は、「流浪、その果てに蒼穹」と、私は感じた。 -
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うならせるほど、読み応えのあるミステリーでした。
著者は中国の人で、本作を含むシリーズは、いずれも映像化され高い評価を得ているようだ。
いきなりスーツケースを引いた狂ったような中年の男が騒ぎを起こし警官に拘束されるところから始まり、そしてそのスーツケースの中から出てきたのは全裸の男の死体だったというシーンという衝撃的な光景が続く。
否でも応でも、何事かと引き付けられてしまう。
権力者とそれにつながる者たちは、不正を知る或いは知ろうとする者たちを次々と殺していく。
そこに立ちはだかったのは、それぞれ専門分野に精通した正義感の強いエキスパートの監察医、警官、検察官、弁護士の四人。
とてもじゃないが、国家的権力を持つ者に勝てる訳はないのだが、文字通り身を張った策により、悪を暴いていく。
読みながらこれって中国ではさもありなんの話ではないのかなと感じていたが、巻末での編集者によるコメントには、次のような時代的背景があったことが書かれていた。
なるほどと思いつつ、この作者の身の安全が気になってしまった。
本作の最終章は、新聞やニュースサイトの記事として事件関係者が次々と不審死を遂げていることが語られる非常に不気味な演出となっているが、実際に周永康事件を巡っても、重慶市の公安幹部や、周の秘書の義弟で証券マンだった人物をはじめ複数の関係者が同時期に「自殺」や「病死」を遂げていることが新唐人電視台などで報道されており、周陣営による口封じだったと言われている。
そうした現実とのリンク、そして周の裁判においては報道統制が敷かれ、半ば秘密裏に処理されたこともあって、本作は読者に「実際の周永康事件の裏にも、こうしたまだ語られぬ事件があり、それを暴こうと立ち上がった誰かがいたんじゃないか」と想像させることに成功している。
それは、あるいは陰謀論的想像力を呼び込む危うい仕掛けであるとも言えるが、作者が本作を血縁的な復讐譚にしなかったことがここで効いてくる。多くの人が、社会問題が存在することを知りながらも「どうせ何も変わらないのだから、自分が被害者にならない限見て見ぬふりしてやり過ごした方が賢い」と思って、あるいは思わされて生きている。 -
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ネタバレ空は暗かった。いつになれば明けるのか、彼らにはわからなかった。
最後に現実の中国政府役員が1人捕まった話が挟まる事で、物語が終わったあとの重みが増した。
悪童たちからのシリーズで厳良が出てくる。
前作と共通してるのかなと思ったのは
物語の主人公がなし崩し的に関わって次第に存在感が大きくなっていくところ、主人公サイドがチームになってること等。
前回の悪VS悪はただただ楽しかった。
今回の主人公たちが立ち向かうものが、1人では勝てないものなだけに、はじめからやめておいた方がいいにおいがプンプンしてる。
なぜ立ち向かい続ける力があるのか、その理由とかバックグラウンドが特に語られない。
何故そうまでして正義を求めるのか。
関わらずに忘れてしまえば、将来は約束されたも同然な2人がその立場を追われる身になったとしても、文字通り死ぬまで正義をなそうとする姿はまさに漢。めっちゃかっこいい。 -
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ネタバレNHKBSで放映されていたドラマ「ロング・ナイト沈黙的真相」の原作。
ドラマの緻密な構成にはまり、原作発売を待って購入。
登場人物がドラマ内の人で脳内で再現された。
本筋は同じだが、ドラマと原作では微妙に異なっている(ドラマでは現職のイエン・リアンが原作では元刑事、ドラマの新聞社パートは創作など)が、ジュー・ウェイ兄貴の漢気は健在だった。ジアン・ヤン、ジュー・ウェイ、チェン・ミンジャンの友情も健在。
原作では最後に中国共産党の最高幹部が失墜することを示唆して終わるが(解説によれば中国の読者はこれで誰がモデルかほぼわかるそうだ)、ドラマではそのへんはぼかされていた。これはお国柄上しょうがないか。
心が壊れてしまったミンヤン(イエン・リアンの元同僚)の経緯が原作にはあるのかな?と思ったらなかった。先行してドラマ化されているほうを見ればわかるのかな?