大久保洋子のレビュー一覧

  • 検察官の遺言
    ★5 巨悪に立ち向かう男たちの生き様に痺れる! 正義の本質がわかる社会派ミステリー #検察官の遺言

    ■あらすじ
    舞台は中国の現代、ある弁護士が地下鉄で爆弾騒ぎで捕まってしまう。しかも彼が持っていたスーツケースの中から死体が発見されるのだ。その後弁護士は自供をするも、裁判では突然犯行を否認する。警察...続きを読む
  • 流浪蒼穹
    「宝をめぐって闘うことは、宝そのものより重要だ」
    地球へ向かう輸送艦、老いた艦長から老いた火星総督への伝言、物語はここから始まる。

    舞台である「火星と地球」は、火星独立時の事情から、「統制管理と経済支配」という社会構造の相違から、再び戦火を交える直前にあった。その様子は、まるで現代の「社会主義と資...続きを読む
  • 検察官の遺言
    うならせるほど、読み応えのあるミステリーでした。
    著者は中国の人で、本作を含むシリーズは、いずれも映像化され高い評価を得ているようだ。

    いきなりスーツケースを引いた狂ったような中年の男が騒ぎを起こし警官に拘束されるところから始まり、そしてそのスーツケースの中から出てきたのは全裸の男の死体だったとい...続きを読む
  • 検察官の遺言
    空は暗かった。いつになれば明けるのか、彼らにはわからなかった。

    最後に現実の中国政府役員が1人捕まった話が挟まる事で、物語が終わったあとの重みが増した。
    悪童たちからのシリーズで厳良が出てくる。
    前作と共通してるのかなと思ったのは
    物語の主人公がなし崩し的に関わって次第に存在感が大きくなっていくと...続きを読む
  • 夜の潜水艦
    夢の中で起きた出来事や登場人物たちの妄想が、現実に影響し、時に実現する中短編集。全ての作品に共通する、その幻想的な雰囲気が、とても好きだった。

    特に面白かったのは、少年が妄想の中で潜水艦の旅を重ねる「夜の潜水艦」。誰にも読まれることがない代わりに偉大な作品を書ける筆を手渡される「彩筆伝承」。名酒を...続きを読む
  • 検察官の遺言
    構成も内容も全て素晴らしかった。前作の「悪童」も素晴らしかったが今作も奥深かった。権力を傘にきた悪い奴がとことん悪くて、そこを崩そうと人生をかけた主人公達が素晴らしいとしか感想はない。
    華文ミステリが楽しみ。
  • 検察官の遺言
    ロングナイトという邦題でドラマ化されていた方を先に見たが、ドラマも原作も素晴らしく面白い。原作の題名は「长夜难明」だと巻末の解説に書いてあり、难明ではあっても不明ではないという祈りのような思いを感じて、今の日本の現状とも重ね合わせて心に染み入るものがあった。
  • 検察官の遺言
    NHKBSで放映されていたドラマ「ロング・ナイト沈黙的真相」の原作。
    ドラマの緻密な構成にはまり、原作発売を待って購入。
    登場人物がドラマ内の人で脳内で再現された。
    本筋は同じだが、ドラマと原作では微妙に異なっている(ドラマでは現職のイエン・リアンが原作では元刑事、ドラマの新聞社パートは創作など)が...続きを読む
  • 検察官の遺言
    物語の行方が気になる華文ミステリ。東野圭吾と松本清張のハイブリッドといった感じか。他の作品も探してみよう。
  • 夜の潜水艦
    どこか哀しさを感じさせ、作品世界の中での現実と幻想がいりまじる美しい物語たち。
    寝る前に一編ずつ読み進めたくなるそんな夜の似合う短編集。読み終えてしまうと、この世界が終わってしまうのがつらくて、一編ずつ、ゆっくり読み進めました。

    失われた世界に漂う『夜の潜水艦』
    鍵のストーリーが印象的な『竹峰寺 ...続きを読む
  • ガーンズバック変換
    表紙のイラストで青春ものかと思って読み始めると打ちのめされる。
    文献からカルチャーまで圧倒的な情報を元に広義のSFホラ話8編が展開する。
    題材は、代作家、吟遊詩人、詩人、ゲームシナリオ、マジック、作家伝、近未来、百合SF*。
    *百合小説とは女性同士の関係性を描く小説
    ミステリで日本デビューした中国人...続きを読む
  • 絶縁
    『闇に包まれた穴の底には、龍が横たわっているような気がした。(中略)年寄りたちの言うには、そうした穴は龍が冬眠をする穴ぐらだそうで、龍は夏になると穴からはいずり出てきて天空に飛び立ち、冬になると再び穴に舞い戻ってくるという。穴の付近の雪が解ける理由は、龍の吐く息が穴から噴き出してくるせいらしい。ぼく...続きを読む
  • 絶縁
    村田沙耶香 著「無」を目的に手に取った本。
    著者の“近未来SF”チックな作風が全開でした。
    フィクションだけど、どこか現実と繋がっている様な…
  • 絶縁
    日本の作家と共作しませんかと問われた韓国の作家チョン・セラン氏が「アジアの若手世代の作家が同じテーマのもと短編を書くアンソロジーはどうか?」と編集部に逆提案。それで編まれたのが本書だとか。
    今回のテーマは“絶縁”。人によって、国や地域によって、こんなにもいろんな“絶縁”があり、それぞれが自分だけの「...続きを読む
  • 絶縁
    「絶縁」テーマのアンソロジー
    訳者のあとがきにナイスフォロー大賞を捧ぐ

    村田沙耶香、天才
    と思いきや、芋づる式に天才現る
    そして、しんがりのチョン・セラン
    一気に世界が広がってしまったので、これからどうしようかと悩む
  • 絶縁
    チョン・セランの提案で、”絶縁”をテーマにアジアの作家9人の作品。どれもそれぞれに面白かったけど、ハオ・ジンファンとラシャムジャが特に良かった。
  • 江戸の食空間――屋台から日本料理へ
    面白い。
    江戸時代にどのように、どんなものが、どういう人によって広まって行ったか。わかって面白い。
    参考になりそうな文献のところをまた拾い出したい。
  • 検察官の遺言
    個人的に構成が面白かったです。ただ話が進むにつれて最初から変わらない事実がどんどん悲しくもありました。
    解説を読むと、創作とはいえあまり踏み込むと圧力がかかったりしないのかなと心配しつつもこれからも中国ミステリーを楽しませてほしいです。
  • 検察官の遺言
    駅で逮捕された弁護士のスーツケースから元検事の遺体が。殺害を自供したのに公判で覆す。12年前の事件と大きく関わる。

    初めて読む華文ミステリ。面白かった。なぜややこしいことを仕組むのかその長大なプロセスがすごく好み
  • ガーンズバック変換
    表題作「ガーンズバック変換」は香川県の「ネット・スマホ依存症対策条例」がモチーフ。現実よりは一歩踏みこんだ世界を描いているのだけど、現実と地続きのディストピアで、いかにも実現しちゃいそうでぞくぞくする。主人公が、液晶画面を遮断するメガネに形だけ似せた伊達メガネを作るのは、あくまでも自分のサバイバルを...続きを読む