大久保洋子のレビュー一覧
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弁護士の張(ジャン)が地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こす
そして彼のスーツケースから元検察官の江(ジアン)の遺体が発見される
江は張の教え子で自分が殺害したと…
しかし初公判で、張は突然自供を覆し、捜査は振り出しに戻る
警察が再捜査を進めるが…そこには…
初めての華文ミステリ!
過去と現在が交錯しながら物語が進むが大変読みやすかった
というかこんな作品、中国では大丈夫なの?圧力があったのでは…と思ってしまった…
ラスト一行が意味深だな、と思ったら解説によると中国人ならどういうことなのか分かるらしい…
中国社会の暗部!こわい…
しかしそれでも
巨悪に立ち向かっていこうとする男たちの姿には涙した
すば -
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1作め、あまりにも好きすぎて。
灰都とおりさんの『西域神怪録異聞』
歴史の行間にかき消されてしまった人々を描く物語が好きだ。愛おしむべき小さな人々。歴史にかききえる私たちの姿。それを丹念に、愛しむように愛情深く描く作家さんだ、と思った。何故旅に出るのか?作者は問う。(チートすぎる)
玄奘三蔵の旅をほんの少しだけ、なぞったことがある。本当にほんの少しだけ。
クルズスタン(キルギス)のアクべシム遺跡。本当に広々とした荒野、朽ち果てた夢のあと。建物の壁だった部分を歩いたり、飛んだりはねたり。舞い上がる砂埃。空がものすごく広くて、太陽は地平線に沈んで、真っ暗になる。あの土地は、星が雨上がりの蜘蛛の -
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弁護士の張は、教え子である元検察官・江の遺体をスーツケースに詰めて運搬していたところを逮捕される。一旦は殺人を認めた張だったが、初公判で彼は自供を翻した。捜査を進めるうちに浮かび上がったのは、かつて江が十年以上も追い続けていたとある事件。握りつぶされた告発と隠蔽された数々の殺人は、今回の事件にどのように関係しているのか。重厚な読みごたえとスリリングさが魅力のミステリです。
女児に対する性加害事件を明らかにしようとした青年の死から始まった過去の事件は、あまりに悪辣です。しかも証人を見つけるごとに消されていくという恐ろしさもあって、現代の事件そっちのけで展開に囚われてしまいました。そしてそこで活躍 -
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ネタバレ陸秋槎を初読。勝手なイメージでラノベ寄りのミステリを書かれる方だと思っていたが、今作は歴史ハードボイルド作品。
女性の私立探偵、劉の元に、少女から同級生の行方を探してほしいと依頼がある。足取りを追う劉。一見、ただの家出に見えたが、事態は思いもよらない展開に。。。
時代は1930年代。あとがきによれば中国では、この時代にしか私立探偵は成り立たないとのこと。
テンプレートな事件、展開ではあるものの、最近は滅多に見なくなった私立探偵もののため、最後まで楽しめた。
作中の劉のかっこよさは折り紙つき。またラストも非常にやるせなく。でもそこが、なんとも言えない余韻を残す。良作。 -
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★5 私立探偵が人探しの依頼を受け… 女性のプライドと力強さを描いた人間ドラマ #喪服の似合う少女
■あらすじ
1930年代の中国、女性私立探偵の劉雅弦に依頼がやってくる。依頼主は実業家の娘からで、友人の岑樹萱を探してほしいというものだ。劉雅弦は調査を始めるも、岑樹萱の父親は事業で失敗して夜逃げをしており、彼女も行方しれずだった。足取りを追い続ける探偵劉雅弦であったが、背後に隠された事実が見え隠れするようになり…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 これまた渋みのあるいい小説!
一人称視点で描かれる私立探偵小説。人探しから始まる物語で、着実にストーリーが展開されていきます。全編通して探偵 -
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★5 巨悪に立ち向かう男たちの生き様に痺れる! 正義の本質がわかる社会派ミステリー #検察官の遺言
■あらすじ
舞台は中国の現代、ある弁護士が地下鉄で爆弾騒ぎで捕まってしまう。しかも彼が持っていたスーツケースの中から死体が発見されるのだ。その後弁護士は自供をするも、裁判では突然犯行を否認する。警察は再捜査していくうち、徐々に社会の闇が明るみになっていき…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!★5
よく薄っぺらく使われている言葉「正義」。本作では、この正義のなんたるかを重厚感たっぷりに教えてくれる社会派ミステリーです。
物語は現在の事件と並行して10年以上前におこった少女失踪事件が -
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「宝をめぐって闘うことは、宝そのものより重要だ」
地球へ向かう輸送艦、老いた艦長から老いた火星総督への伝言、物語はここから始まる。
舞台である「火星と地球」は、火星独立時の事情から、「統制管理と経済支配」という社会構造の相違から、再び戦火を交える直前にあった。その様子は、まるで現代の「社会主義と資本主義」を比喩しているよう。
人の幸せとは何か
自由と保護は相反するのか
そしてこの大きなテーマは、主人公達の葛藤という内面でのテーマとも通じている。
「自由とはなにか」主人公ロレインたちの迷い……。
自由、それは束縛からの離脱、独立。離脱したのちにあるものは、自らが作る新たな束縛?
レイニ -
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うならせるほど、読み応えのあるミステリーでした。
著者は中国の人で、本作を含むシリーズは、いずれも映像化され高い評価を得ているようだ。
いきなりスーツケースを引いた狂ったような中年の男が騒ぎを起こし警官に拘束されるところから始まり、そしてそのスーツケースの中から出てきたのは全裸の男の死体だったというシーンという衝撃的な光景が続く。
否でも応でも、何事かと引き付けられてしまう。
権力者とそれにつながる者たちは、不正を知る或いは知ろうとする者たちを次々と殺していく。
そこに立ちはだかったのは、それぞれ専門分野に精通した正義感の強いエキスパートの監察医、警官、検察官、弁護士の四人。
とてもじゃな -
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ネタバレ空は暗かった。いつになれば明けるのか、彼らにはわからなかった。
最後に現実の中国政府役員が1人捕まった話が挟まる事で、物語が終わったあとの重みが増した。
悪童たちからのシリーズで厳良が出てくる。
前作と共通してるのかなと思ったのは
物語の主人公がなし崩し的に関わって次第に存在感が大きくなっていくところ、主人公サイドがチームになってること等。
前回の悪VS悪はただただ楽しかった。
今回の主人公たちが立ち向かうものが、1人では勝てないものなだけに、はじめからやめておいた方がいいにおいがプンプンしてる。
なぜ立ち向かい続ける力があるのか、その理由とかバックグラウンドが特に語られない。
何故そうま -
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ネタバレ夢の中で起きた出来事や登場人物たちの妄想が、現実に影響し、時に実現する中短編集。全ての作品に共通する、その幻想的な雰囲気が、とても好きだった。
特に面白かったのは、少年が妄想の中で潜水艦の旅を重ねる「夜の潜水艦」。誰にも読まれることがない代わりに偉大な作品を書ける筆を手渡される「彩筆伝承」。名酒を生み出したことで全ての人間の記憶から消えてしまう「杜氏」。夢の中で九千の夜という途方もない時間を過ごすことを代償に名刀を打つ「尺波」。自らの心の中に死んだ友人の別人格を生むことで禁制音楽を作曲し続ける「音楽家」。このあたりだった。
共通しているのは、何か偉大なものを生み出した人たちが、その代償に、自 -
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ネタバレNHKBSで放映されていたドラマ「ロング・ナイト沈黙的真相」の原作。
ドラマの緻密な構成にはまり、原作発売を待って購入。
登場人物がドラマ内の人で脳内で再現された。
本筋は同じだが、ドラマと原作では微妙に異なっている(ドラマでは現職のイエン・リアンが原作では元刑事、ドラマの新聞社パートは創作など)が、ジュー・ウェイ兄貴の漢気は健在だった。ジアン・ヤン、ジュー・ウェイ、チェン・ミンジャンの友情も健在。
原作では最後に中国共産党の最高幹部が失墜することを示唆して終わるが(解説によれば中国の読者はこれで誰がモデルかほぼわかるそうだ)、ドラマではそのへんはぼかされていた。これはお国柄上しょうがないか。 -
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どこか哀しさを感じさせ、作品世界の中での現実と幻想がいりまじる美しい物語たち。
寝る前に一編ずつ読み進めたくなるそんな夜の似合う短編集。読み終えてしまうと、この世界が終わってしまうのがつらくて、一編ずつ、ゆっくり読み進めました。
失われた世界に漂う『夜の潜水艦』
鍵のストーリーが印象的な『竹峰寺 鍵と碑の物語』
他人の視線に触れると文字が消えてしまう『彩筆伝承』
雲を管理する『歳雲記』
不思議な方法で作られたお酒を巡る『杜氏』
かつて庭園だった耽園での僕と李茵のエピソードから始まる『李茵の湖』
祖父が濃霧の中で経験した不思議な話『尺波』
レニングラードに響く禁制音楽『音楽家』
またこの作者