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Posted by ブクログ
弁護士の張(ジャン)が地下鉄の駅で爆弾騒ぎを起こす
そして彼のスーツケースから元検察官の江(ジアン)の遺体が発見される
江は張の教え子で自分が殺害したと…
しかし初公判で、張は突然自供を覆し、捜査は振り出しに戻る
警察が再捜査を進めるが…そこには…
初めての華文ミステリ!
過去と現在が交錯しながら物語が進むが大変読みやすかった
というかこんな作品、中国では大丈夫なの?圧力があったのでは…と思ってしまった…
ラスト一行が意味深だな、と思ったら解説によると中国人ならどういうことなのか分かるらしい…
中国社会の暗部!こわい…
しかしそれでも
巨悪に立ち向かっていこうとする男たちの姿には涙した
すばらしい作品だった
Posted by ブクログ
弁護士の張は、教え子である元検察官・江の遺体をスーツケースに詰めて運搬していたところを逮捕される。一旦は殺人を認めた張だったが、初公判で彼は自供を翻した。捜査を進めるうちに浮かび上がったのは、かつて江が十年以上も追い続けていたとある事件。握りつぶされた告発と隠蔽された数々の殺人は、今回の事件にどのように関係しているのか。重厚な読みごたえとスリリングさが魅力のミステリです。
女児に対する性加害事件を明らかにしようとした青年の死から始まった過去の事件は、あまりに悪辣です。しかも証人を見つけるごとに消されていくという恐ろしさもあって、現代の事件そっちのけで展開に囚われてしまいました。そしてそこで活躍する江と、現在の江のキャラクターがあまりに違って見えることも大きな謎です。江に何があったのか、そして事件の捜査はどうなるのか、どきどきしっぱなし。
一方現在の事件でも、捜査陣を翻弄するかのような張の言動に何が隠されているのか、謎は深まるばかりでした。しかし過去の事件を解きほぐすにつれ、ようやく明らかになるすべての真相はあまりに重いです。まさかそんな企みがあったとは、そして結託した面々の決意と覚悟も壮絶。とにかく熱くて、感動的ですらあったのですが。それなのに、まだまだ闇は深いのか……というところに愕然とさせられました。
Posted by ブクログ
★5 巨悪に立ち向かう男たちの生き様に痺れる! 正義の本質がわかる社会派ミステリー #検察官の遺言
■あらすじ
舞台は中国の現代、ある弁護士が地下鉄で爆弾騒ぎで捕まってしまう。しかも彼が持っていたスーツケースの中から死体が発見されるのだ。その後弁護士は自供をするも、裁判では突然犯行を否認する。警察は再捜査していくうち、徐々に社会の闇が明るみになっていき…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい!★5
よく薄っぺらく使われている言葉「正義」。本作では、この正義のなんたるかを重厚感たっぷりに教えてくれる社会派ミステリーです。
物語は現在の事件と並行して10年以上前におこった少女失踪事件が描かれていく。真相を暴くべく、警察や検察官がなんとか証拠を集めようとするも、ものの見事に隠蔽されてしまうんです。舞台が中国なこともあり、それはもう露骨なパワーゲームで事が運び、弱者の悲惨さがしんどすぎるのよ。まるで本当にありそうな事件だし、正直言うと日本人でよかった…と、何度も思いました。
この勝ち目がない勝負に挑んでいくキャラクター陣が魅力たっぷりなんです。激アツの仲間たちを紹介します。
●江陽(亡くなった元検察官)
せっかく若くして順風満帆な検察官人生を歩んでいたのに、なんでこんな結末を迎えなくてはならないのか。彼がそのまま検察官で活躍できれば、幸せになった人たちも多くいただろうに… 誰よりも粘り強くて、努力家だったことを忘れませんよ。どんな環境であっても、やるべきことをやれる人間は強いんだと学ばせていただきました。
●張超(弁護士)
頭いい人が決死の覚悟を決めると、マジ怖いという事例ですね。序盤は何者で何目的なのかさっぱりわからないのですが、後半になるととんでもない事実が発覚してくる。彼の決断と行動力には震えました…
●陳明章(監察医)
事件に対して狡猾な戦略で事を運ぶ策士で、自分の人生をコントロールするのも上手い。こんなにも飄々としてるのに、実は友人想いないい奴なんですよ。彼がいなかったら早々に破綻してたでしょう。
●朱偉(刑事)
イチ推しキャラ、あだ名は雪ちゃん。あまり頭の切れは良くないけど、情には厚く誰よりも優しい鬼刑事。彼の行動から元気がもらえるし、物語に生命力を吹き込んでくれる名脇役でした。男として生まれたら、一度はこんな生き方をしてみたいんですよね。カッコ良かったです。
物語を読み進めると、背景にどんな巨悪が存在するかが見えてくるの。そして最後の勝負に挑む弱者たちに痺れる。彼らは長い闘いの人生をみていると、正義を貫くっていうのは、こんなにも犠牲を払わなければいけないのかと悲しくなっていしまいますね。誰かの邪な行為が、多くの人の時間と精神を奪ってしまうんです。
しかし中国でリアルにあった事件を調べてみましたが、ほぼ同じじゃねーかと…怖いわっ もちろん被害者はいますし、この悪い奴らは絶対に許せない。
熱い熱い読み応えたっぷりの社会派小説、今年を代表する翻訳ミステリーのひとつだと思います。
■ぜっさん推しポイント
人生を歩んでいると、様々な場面で難しい選択をしなければいけない時がある。
お金を取るか、良心を取るか、未来を取るか…
悩ましいのは、大抵はすべてを取ることができず、何はあきらめなければならない点です。ここで間違ってしまうと、人生が大きく変わってしまう。ホント幸せに生きるって難しいです。
しかしこんな時に正しい道筋を示してくれるのは、近くにいる仲間たちや家族だと思うんです。大した能力はないですが、もし仲間が困っているのであれば、微力ながら力になってあげたいと思わせてくれました。
Posted by ブクログ
うならせるほど、読み応えのあるミステリーでした。
著者は中国の人で、本作を含むシリーズは、いずれも映像化され高い評価を得ているようだ。
いきなりスーツケースを引いた狂ったような中年の男が騒ぎを起こし警官に拘束されるところから始まり、そしてそのスーツケースの中から出てきたのは全裸の男の死体だったというシーンという衝撃的な光景が続く。
否でも応でも、何事かと引き付けられてしまう。
権力者とそれにつながる者たちは、不正を知る或いは知ろうとする者たちを次々と殺していく。
そこに立ちはだかったのは、それぞれ専門分野に精通した正義感の強いエキスパートの監察医、警官、検察官、弁護士の四人。
とてもじゃないが、国家的権力を持つ者に勝てる訳はないのだが、文字通り身を張った策により、悪を暴いていく。
読みながらこれって中国ではさもありなんの話ではないのかなと感じていたが、巻末での編集者によるコメントには、次のような時代的背景があったことが書かれていた。
なるほどと思いつつ、この作者の身の安全が気になってしまった。
本作の最終章は、新聞やニュースサイトの記事として事件関係者が次々と不審死を遂げていることが語られる非常に不気味な演出となっているが、実際に周永康事件を巡っても、重慶市の公安幹部や、周の秘書の義弟で証券マンだった人物をはじめ複数の関係者が同時期に「自殺」や「病死」を遂げていることが新唐人電視台などで報道されており、周陣営による口封じだったと言われている。
そうした現実とのリンク、そして周の裁判においては報道統制が敷かれ、半ば秘密裏に処理されたこともあって、本作は読者に「実際の周永康事件の裏にも、こうしたまだ語られぬ事件があり、それを暴こうと立ち上がった誰かがいたんじゃないか」と想像させることに成功している。
それは、あるいは陰謀論的想像力を呼び込む危うい仕掛けであるとも言えるが、作者が本作を血縁的な復讐譚にしなかったことがここで効いてくる。多くの人が、社会問題が存在することを知りながらも「どうせ何も変わらないのだから、自分が被害者にならない限見て見ぬふりしてやり過ごした方が賢い」と思って、あるいは思わされて生きている。
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