【感想・ネタバレ】検察官の遺言のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月16日

うならせるほど、読み応えのあるミステリーでした。
著者は中国の人で、本作を含むシリーズは、いずれも映像化され高い評価を得ているようだ。

いきなりスーツケースを引いた狂ったような中年の男が騒ぎを起こし警官に拘束されるところから始まり、そしてそのスーツケースの中から出てきたのは全裸の男の死体だったとい...続きを読むうシーンという衝撃的な光景が続く。
否でも応でも、何事かと引き付けられてしまう。

権力者とそれにつながる者たちは、不正を知る或いは知ろうとする者たちを次々と殺していく。
そこに立ちはだかったのは、それぞれ専門分野に精通した正義感の強いエキスパートの監察医、警官、検察官、弁護士の四人。
とてもじゃないが、国家的権力を持つ者に勝てる訳はないのだが、文字通り身を張った策により、悪を暴いていく。

読みながらこれって中国ではさもありなんの話ではないのかなと感じていたが、巻末での編集者によるコメントには、次のような時代的背景があったことが書かれていた。
なるほどと思いつつ、この作者の身の安全が気になってしまった。

本作の最終章は、新聞やニュースサイトの記事として事件関係者が次々と不審死を遂げていることが語られる非常に不気味な演出となっているが、実際に周永康事件を巡っても、重慶市の公安幹部や、周の秘書の義弟で証券マンだった人物をはじめ複数の関係者が同時期に「自殺」や「病死」を遂げていることが新唐人電視台などで報道されており、周陣営による口封じだったと言われている。
そうした現実とのリンク、そして周の裁判においては報道統制が敷かれ、半ば秘密裏に処理されたこともあって、本作は読者に「実際の周永康事件の裏にも、こうしたまだ語られぬ事件があり、それを暴こうと立ち上がった誰かがいたんじゃないか」と想像させることに成功している。
それは、あるいは陰謀論的想像力を呼び込む危うい仕掛けであるとも言えるが、作者が本作を血縁的な復讐譚にしなかったことがここで効いてくる。多くの人が、社会問題が存在することを知りながらも「どうせ何も変わらないのだから、自分が被害者にならない限見て見ぬふりしてやり過ごした方が賢い」と思って、あるいは思わされて生きている。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月10日

空は暗かった。いつになれば明けるのか、彼らにはわからなかった。

最後に現実の中国政府役員が1人捕まった話が挟まる事で、物語が終わったあとの重みが増した。
悪童たちからのシリーズで厳良が出てくる。
前作と共通してるのかなと思ったのは
物語の主人公がなし崩し的に関わって次第に存在感が大きくなっていくと...続きを読むころ、主人公サイドがチームになってること等。

前回の悪VS悪はただただ楽しかった。
今回の主人公たちが立ち向かうものが、1人では勝てないものなだけに、はじめからやめておいた方がいいにおいがプンプンしてる。
なぜ立ち向かい続ける力があるのか、その理由とかバックグラウンドが特に語られない。
何故そうまでして正義を求めるのか。
関わらずに忘れてしまえば、将来は約束されたも同然な2人がその立場を追われる身になったとしても、文字通り死ぬまで正義をなそうとする姿はまさに漢。めっちゃかっこいい。

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Posted by ブクログ 2024年03月16日

構成も内容も全て素晴らしかった。前作の「悪童」も素晴らしかったが今作も奥深かった。権力を傘にきた悪い奴がとことん悪くて、そこを崩そうと人生をかけた主人公達が素晴らしいとしか感想はない。
華文ミステリが楽しみ。

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Posted by ブクログ 2024年02月17日

ロングナイトという邦題でドラマ化されていた方を先に見たが、ドラマも原作も素晴らしく面白い。原作の題名は「长夜难明」だと巻末の解説に書いてあり、难明ではあっても不明ではないという祈りのような思いを感じて、今の日本の現状とも重ね合わせて心に染み入るものがあった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月30日

NHKBSで放映されていたドラマ「ロング・ナイト沈黙的真相」の原作。
ドラマの緻密な構成にはまり、原作発売を待って購入。
登場人物がドラマ内の人で脳内で再現された。
本筋は同じだが、ドラマと原作では微妙に異なっている(ドラマでは現職のイエン・リアンが原作では元刑事、ドラマの新聞社パートは創作など)が...続きを読む、ジュー・ウェイ兄貴の漢気は健在だった。ジアン・ヤン、ジュー・ウェイ、チェン・ミンジャンの友情も健在。
原作では最後に中国共産党の最高幹部が失墜することを示唆して終わるが(解説によれば中国の読者はこれで誰がモデルかほぼわかるそうだ)、ドラマではそのへんはぼかされていた。これはお国柄上しょうがないか。

心が壊れてしまったミンヤン(イエン・リアンの元同僚)の経緯が原作にはあるのかな?と思ったらなかった。先行してドラマ化されているほうを見ればわかるのかな?

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Posted by ブクログ 2024年01月29日

物語の行方が気になる華文ミステリ。東野圭吾と松本清張のハイブリッドといった感じか。他の作品も探してみよう。

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Posted by ブクログ 2024年03月13日

個人的に構成が面白かったです。ただ話が進むにつれて最初から変わらない事実がどんどん悲しくもありました。
解説を読むと、創作とはいえあまり踏み込むと圧力がかかったりしないのかなと心配しつつもこれからも中国ミステリーを楽しませてほしいです。

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Posted by ブクログ 2024年03月12日

駅で逮捕された弁護士のスーツケースから元検事の遺体が。殺害を自供したのに公判で覆す。12年前の事件と大きく関わる。

初めて読む華文ミステリ。面白かった。なぜややこしいことを仕組むのかその長大なプロセスがすごく好み

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