大久保洋子のレビュー一覧

  • ガーンズバック変換

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    表紙のイラストで青春ものかと思って読み始めると打ちのめされる。
    文献からカルチャーまで圧倒的な情報を元に広義のSFホラ話8編が展開する。
    題材は、代作家、吟遊詩人、詩人、ゲームシナリオ、マジック、作家伝、近未来、百合SF*。
    *百合小説とは女性同士の関係性を描く小説
    ミステリで日本デビューした中国人作家で、SFは自分でハヤカワに売り込んだとのこと。

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    2023年06月06日
  • 絶縁

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    『闇に包まれた穴の底には、龍が横たわっているような気がした。(中略)年寄りたちの言うには、そうした穴は龍が冬眠をする穴ぐらだそうで、龍は夏になると穴からはいずり出てきて天空に飛び立ち、冬になると再び穴に舞い戻ってくるという。穴の付近の雪が解ける理由は、龍の吐く息が穴から噴き出してくるせいらしい。ぼくはその言い伝えを知っていたので、穴の底でひとりぼっちにさせられたとき、龍に食われてしまうんじゃないかと怖くてたまらなかった』―『ラシャムジャ/穴の中には雪蓮花が咲いている』

    「絶縁」というテーマのアンソロジー。村田沙耶香が作品を寄せているというので読んでみたのだけれど、その他のアジア圏の作家の短篇

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    2023年04月12日
  • 絶縁

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    村田沙耶香 著「無」を目的に手に取った本。
    著者の“近未来SF”チックな作風が全開でした。
    フィクションだけど、どこか現実と繋がっている様な…

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    2023年03月04日
  • 絶縁

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    日本の作家と共作しませんかと問われた韓国の作家チョン・セラン氏が「アジアの若手世代の作家が同じテーマのもと短編を書くアンソロジーはどうか?」と編集部に逆提案。それで編まれたのが本書だとか。
    今回のテーマは“絶縁”。人によって、国や地域によって、こんなにもいろんな“絶縁”があり、それぞれが自分だけの「生」に翻弄されながらそれでも生きていくしかないのだな…。誰かに代わってもらうわけにはいかないものね。
    作品ごとに作者紹介に加えて訳者解説やあとがきがあるのがうれしい。世界が広がるような一冊でした。テーマを変えたり執筆者の顔ぶれを入れ替えたバージョンも読んでみたい!

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    2023年02月12日
  • 絶縁

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    「絶縁」テーマのアンソロジー
    訳者のあとがきにナイスフォロー大賞を捧ぐ

    村田沙耶香、天才
    と思いきや、芋づる式に天才現る
    そして、しんがりのチョン・セラン
    一気に世界が広がってしまったので、これからどうしようかと悩む

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    2023年01月26日
  • 絶縁

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    ネタバレ

    チョン・セランの提案で、”絶縁”をテーマにアジアの作家9人の作品。どれもそれぞれに面白かったけど、ハオ・ジンファンとラシャムジャが特に良かった。

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    2022年12月27日
  • 江戸の食空間――屋台から日本料理へ

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    面白い。
    江戸時代にどのように、どんなものが、どういう人によって広まって行ったか。わかって面白い。
    参考になりそうな文献のところをまた拾い出したい。

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    2019年10月13日
  • 喪服の似合う少女

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    とても翻訳が頑張っていて、読みやすい。1930年代の中国の架空都市という、全くイメージがしづらい舞台なのだが、非常にするすると読めた。主人公の性別や、舞台設定が明らかになるポイントが面白くて、「えっ女性なの!?」、「えっ現代じゃないの!?」ってイベントの本筋と関係ないところでびっくりした。誰が黒幕だとしてもなんだってこんなに回りくどいことを…と思いながら読んでいたが、種明かしで納得。なんていうか言語化しづらいけどとても中国的な終わり方。

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    2025年10月06日
  • 喪服の似合う少女

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    ネタバレ

     確かに、スタンダードなハードボイルドだな。
     その衣鉢の下で展開されるサスペンスは、そんなに複雑な読み物にはなってはいないが。

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    2025年09月23日
  • 日中競作唐代SFアンソロジー 長安ラッパー李白

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    タイトルのインパクトに惹かれて読みました。
    タイトルにもなっている作品が、一番印象的。作者もさることながら、これを翻訳した方が本当に凄いと思います。
    他の作品も、「…そう来たかぁ」「凄い進化の仕方する世界線だな(笑)」「これ、SF?SFかなぁ。…SFだったわ」「ここにその人を出すんだ!!」等々、色々楽しめました。
    「移動迷宮」「走る赤」も読んでみたいと思います。

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    2025年09月16日
  • 検察官の遺言

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    中国のお国柄か、文章表現は簡潔で、登場人物はサバサバしてて考えていることもわかりやすく、気持ちよくサクサク読めた。
    ストーリーも先が読めなくて面白い。
    バッドキッズの厳良、こういう風に年を重ねてたんだね、という謎の感慨もあった。

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    2025年04月27日
  • 喪服の似合う少女

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    日本のミステリー作家にも敬意を払うあとがきにびっくりさせられた中国の作家によるハードボイルドミステリー。主人公は女探偵で、舞台は1930頃の架空の地域(省城と書かれる)。この女探偵は特に優れた能力もないし、財産もないのだけれど、知恵と肝の太さでどんどん真相に迫っていきます。基本的にはいなくなった女子学生を探すというお話です。謎解き的にもさほど入り組んでないのに解けていく楽しさは十分にあり、一昔前の中国の様子がわかるのと、中国人の名前の表記や本棚の本、詩の引用で昔の偉人による漢詩がでてきたりと周りの小道具がいちいち異文化で楽しめました。最初は薄い本だったので簡単に読めるかと思っていましたが、ふつ

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    2025年04月20日
  • 喪服の似合う少女

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     私立探偵小説。事件を追っていくにつれて、徐々に人間関係が顕になっていくのが良かったです。

     元年春之祭でも思ったけれど、作品の時代に合った雰囲気が文章から滲み出ている感じが凄いです。登場人物達がその時代に住んでいて、その時代の目線で話が進んでいく感じがしました。

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    2025年03月23日
  • 絶縁

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    「死」を「絶縁」としている作家さんが多く、たしかに「死」は究極の「絶縁」であるため、刺激的な作品がたくさんあった。

    直訳なのかわからないけど、すごく綺麗で新しい比喩が多く、読み物としてとても良かった。

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    2025年02月12日
  • 検察官の遺言

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    面白かった!
    華文ミステリは初読みですが、読みやすかったし、先が気になる構成でした(個人名、地名の中国読みは最後まで覚えられなかったのですが)
    創作とは言え、中国でこの内容は大丈夫なのかしら、と思っていた所、解説で現実でも似たような官僚の失脚があったと知り、ますます大丈夫なの、と思いました。失脚後の自殺と不審死多発って闇が深いです……。

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    2025年01月16日
  • 喪服の似合う少女

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    ハードボイルドというより中華ノワールといった趣の良い意味で雰囲気重視の作品。
    謎解きはそこまで複雑でもなく、だけど正解が明かされると胸がスッとなる内容。
    男性キャラは基本クズかバカで女性の方が強かに描かれているけれどラスボスの行動原理含めてそこがノイズになる感じもなく楽しめた。

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    2024年12月27日
  • 喪服の似合う少女

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    ネタバレ

    久しぶりの華文ミステリ。
    たまには読んでみるかぐらいの気持ちだったがなかなかに面白かった。

    路線的にはこってこてのハードボイルド。
    それもそのはず、逝去40周年を迎えるロス・マクドナルドに捧げる一編とあれば。
    その王道の中のそこここにまぶされる中華風味と、序盤で明らかになるものの、あれ、これってもしかして?と引き込むちょっとした設定の妙がにくい。

    とある都市省城の資産家の姪が親友を探して欲しいと私立探偵劉の事務所を訪れる。
    調査妨害もありつつ、巻き込まれ逮捕もありつつ、細い糸を辿るように行方を探っていく過程で見えてくる2人の少女の関係性。
    最終盤の揺り戻しの「なぜ?」に応えるビターな真意も

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    2024年12月07日
  • 喪服の似合う少女

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    1930年代の中国、私立探偵を営む女性のもとにひとりの女子学生が依頼を持ち込んできたことから、彼女は奇妙な因縁まつわる事件に巻き込まれていく。
    端正で無駄のない筆致で綴られる、きわめて冷静なハードボイルドの筆致が、まだ年若い作者によるものだと思うとかなり驚く。並々ならぬ博識も、ほかの著作で片鱗を味わったものの本当に凄い。そして堅苦しさを懸念する縁遠い時代設定も「物事がどう進み、誰がなにを企てたか」をスマートに描いているので、意外なほどすんなりと物語を追える。ほんと巧い作家だと感心します。

    登場人物たちが良い意味で皆「冷静な大人」ばかりなので、それなりのドロドロとした因縁話ではあるものの、激情

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    2024年11月01日
  • 喪服の似合う少女

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    1934年、中華民国。女性私立探偵・劉雅弦は、葛令儀という女学生から行方不明の友人・岑樹萱を探し出してほしいという依頼を受ける。樹萱の父親が借金を抱えたまま消えたことを突き止めた雅弦は、調査中に謎の男に襲われてしまう。刺客を仕向けたのは、令儀の伯父で地元の大物である葛天錫だった。天錫はなぜ雅弦を妨害するのか。そして、令儀による依頼の真の目的とは。友情、恋慕、哀憫。錯綜する人間関係の中で、雅弦は耐え難い悲劇を目の当たりにする。ロス・マクドナルドに捧げる、華文ハードボイルドの傑作。

    しばらくロス・マクドナルドは読んでいないが、影響を受けていることはよく分かった。漢詩の意味が何となくしか理解できな

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    2024年10月23日
  • 喪服の似合う少女

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    出てくる女性たちが皆んないい!主役の3人ー私立探偵、富豪の令嬢、その友人で失踪した少女ーは勿論のこと、富豪の愛人や新聞記者など脇を固める女性も気に入った。劉雅弦探偵は奥が深そうで、、また会いたい。

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    2024年10月08日