大久保洋子のレビュー一覧

  • ガーンズバック変換
    香川県ネット・ゲーム依存症対策条例をテーマに書かれた表題作『ガーンズバック変換』が前から気になっていて読んだ。SF作品集とされているが、SFしていたのは『開かれた世界から有限宇宙へ』『ガーンズバック変換』『色のない緑』くらいかなあと思う。

    1番面白かったのは『色のない緑』。「色のない緑は猛烈に眠る...続きを読む
  • ガーンズバック変換
    短篇集。8篇収録。
    理論とかすっとばしてただひたすらに読んでいく(難しくて理解できないところもあるので…)こういう作品が作られていることが嬉しい。

    物語の歌い手
    上質な童話というか、こういった中世の世界観大好き。

    三つの演奏会用練習曲
    こちらはインド。不思議な読み心地。


    開かれた世界から有限...続きを読む
  • 夜の潜水艦
    刻々と変わりゆく街の風景と、変わり映えしない毎日に挟まれて、どちらにも馴染めずに少し疲れたとき、心はゆっくりと身体から離れて漂いだす。
    陳春成が描く物語は、黄昏と闇夜のあわいに立ち上る影のように、竹林を鳴らす風が耳元で囁く秘密のように形を留めず移ろってゆく。

    そこには驚異的なイマジネーションや壮大...続きを読む
  • 絶縁
    東アジア~東南アジアの若手作家による『絶縁』という共通テーマのもとに書き下ろされたアンソロジー。

    かなり読みごたえがある。
    読み終えるのに結構な時間がかかった。
    同じ時代を生きているのに、その国の政治・社会状況によりこんなにも違った世界が広がっているとは、想像もしなかった。そう、同じテーマのもとに...続きを読む
  • 絶縁
    正直、難解なものも多く(特に燃える)、途中で断念しそうだったが、「穴の中には雪蓮花が咲いている」が素晴らしくて、読んでよかった〜と思った。チベットが中国なことも知らなかかった無知な私だが、ラシャムジャさんの他の作品も読んでみたい
  • ガーンズバック変換
    SF短編小説集、というよりは、著者の膨大な知識や興味から編纂された空想小説集といった趣きで、その知識量にまず驚かされました。

    少女と吟遊詩人の巡り合いの旅路を描くファンタジックな「物語の歌い手」に、まさに頷かされてしまいそうになる『異常論文』たる「インディアン・ロープ・トリックとヴァジュラナーガ」...続きを読む
  • 絶縁
    「絶縁」がテーマだからどの作品も薄暗い雰囲気だった。けどほのかに温かみも感じる作品が多かった。(特に、『穴の中には雪蓮花が咲いている』という話が最もそれ)
    全然読んだことないような国の作家さんたちの作品が読めてよかった。国が違うだけで雰囲気が全然変わる!

    そもそも村田沙耶香さん目当てだったからだけ...続きを読む
  • 絶縁
    アジアの作家の豪華ラインナップ。村田は相変わらずで、たまに読むとそのヘンさが心地よい。ハオ・ジンファンの作品は、彼女らしい寓話だがやや月並み。チョン・セランはさすが。こういう、ストレートに苦いテイストの作品も書くんだと思った。あとよいと思ったのは、ベトナムのグエン・ゴック・トゥと台湾のリエン・ミンウ...続きを読む
  • 流浪蒼穹
    秋の夜の様に、長く静かな作品だった。二段組で669ページ。読んでは止まり、止まっては読み、数ヶ月かけてようやく読み終えることができた。地球より独立して数十年が経過した火星が舞台。地球への留学から帰ってきた少女ロレイン。二つの世界を知ってしまった彼女はその違いに迷い、自分の生きる道を見失ってしまう。彼...続きを読む
  • 江戸の食空間――屋台から日本料理へ
    ずっと昔から食べられていたように思っていた寿司やてんぷらといった料理が登場し、広まっていった過程を知ることができます。江戸という大都市の文化的な背景が外食文化の隆盛に繋がり、そこから多様な料理が生まれるというのが面白かったです。偏った人口構成が外食のニーズを生み、油や醤油の生産技術の発展が新しい流行...続きを読む
  • 江戸の食空間――屋台から日本料理へ
    江戸時代に生まれた寿司や蕎麦、鰻の成り立ちや、下りものと呼ばれた酒や醤油などが関東で作られ始める様子がよくわかり、面白い。また、当時の食事の様子を再現しようと、幾つかの文献を手掛かりに庶民や武士、大名の食事が書かれている点は面白い。ただ、もっと当時の食事の様子が臭うようにメニューの様子がわかれば、も...続きを読む
  • 江戸の食空間――屋台から日本料理へ
    江戸の食文化を扱った本なのですが、握りずしやてんぷらや醤油をはじめ、各職業層の食生活や江戸の水道事情、料理茶屋などなど扱う範囲は広く、気軽に読める程度に深いです。著者は食文化論と調理学が専門という事もあり士農工商を身分制度と誤解しているところはありますが、内容にはまったく影響はないので気になりません...続きを読む
  • 江戸の食空間――屋台から日本料理へ
    江戸の食文化を考察する本。
    屋台や料理茶屋などの町人文化の発展が今も続く日本料理店の礎となっているという構成。食文化の追求は特権階級の役目であるのが世界標準かと思っていたが、こと江戸については平民が中心となっている。貪欲な江戸の人々のエネルギーを感じさせる本
  • 絶縁
     アジアの女性作家九人によるアンソロジー。しかもテーマは「絶縁」。「しびれるテーマ」と村田沙耶香は言ったそうだが、確かに「しびれる」。なかなか、こんな本が存在するというだけで意義深いような、圧がある。ある特定の層には熱い支持を受けそうな一方、この価値観、というよりはこれに「しびれる」感覚って、普遍性...続きを読む
  • ガーンズバック変換
    2024-04-29
    思ったよりも純文寄り。意識してなのか、だんだんSF濃度が上がっていく感じ。いや、冒頭の「サンクチュアリ」もかなりか。自分には、詩歌をテーマにした2篇がよく分からなかった。美しい物語だとは思うのだけど、SF短編集への収録理由がよく分からない。
    どの作品もそのまま長編に出来そうな煌...続きを読む
  • 夜の潜水艦
    かつてボルヘスが海に投げ入れた硬貨を探す億万長者の酔狂な夢と、一人の少年の想像力が衝突する表題作「夜の潜水艦」ほか、八つの短篇を収録した幻想小説集。


    作者は1990年生まれ。ボルヘスや中国の古典と一緒に、ポケモンやインターネットの現代カルチャーが語られていく。
    お気に入りは「裁雲記」「杜氏」「音...続きを読む
  • 絶縁
    アジアの作家たちの共作ということで読んだ作家だけをメモ。
    村田沙耶香「無」
    アルフィアン・サアット「妻」
    韓麗珠「秘密警察」
    ラシャムジャ「穴の中には雪蓮花が咲いている」
    グエン・ゴック・トゥ「逃避」
    チョン・セラン「絶縁」
  • ガーンズバック変換
     陸秋槎さんを知ったきっかけが早川書房の「アステリズムに花束を 百合SFアンソロジー」だった事もあり、再び「色のない緑」に出会う事が出来、感動しています。

     歴史や宗教、言語や文学など様々な知識が盛り込まれており読み応えのある短編集でした。
  • 絶縁
    面白いのも、そうでないのもあったが、色々な国の色々な作家の作品が読めたのは楽しかった。
    文学は政治や社会の状況と密接に繋がっているのだと改めて感じた。
  • ガーンズバック変換
    8作品のSF短編集。読みやすい作品と読みにくい(なかなか頭に入ってこない)作品の差が大きいように感じた。私の好みの問題なのかもしれないけれど。
    個人的に好きな作品は3つ。スマホゲームでシミュレーションされる物理現象を矛盾なく成立させるためにいろいろ考える「開かれた世界から有限宇宙へ」と、手品のトリッ...続きを読む