吉田奈保子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
■★3からの★5
読んでいて思ったのは、「普通だな」ということ。
特段つまらないわけではないが、特段面白いというわけでもない。
特段キャラが良いわけではないが、特段キャラが悪いというわけでもない。
「本作だからこその何か」があるというわけでもなく、つまるところ「普通」と感じた。
しかし、道中はずっと★3だったけど、最後は★5、という印象。
■二者視点
「監禁されたミレーデ視点」「捜査するカール視点」の繰り返しとなり、ミレーデが監禁されるに至ったポイントについては序盤で描写されるため、「犯人」「動機」「機会」「手段」のうち、「機会」と「手段」は最初っから読者にはわかっている状態。
一方でカールは何の手がかりも無いところから事件の捜査を開始するため、読者視点だと「ミレーデは生きていて監禁されているってことはわかってるんだけどなあ」となる。
「犯人」「動機」についても、犯人当てミステリとは違い、読んでいれば普通に途中で両方ともわかるため、意外性もなし。
ミレーデ視点を描かずカール視点のみにすればミステリ要素が上がると思われる一方、ミレーデ視点とカール視点が交互に繰り返されることでミレーデが置かれた状況の苦しさが伝わってくることになるため、ラストがこういう形で終わるのならば、繰り返し系視点で良かったのかな、と思った。
■人名や地名に馴染めない
海外作品でこれまで読んできたお馴染みの英米仏ではなくデンマークが舞台のため、人名や地名に全然馴染めず、覚えるのに一苦労。
特に、登場人物紹介に載っていない人物が大量に出てきて、しかも再登場するため、「えーとこの人誰だっけ?」となる。
文章自体は読みやすいが、この点だけ読みづらさを感じた。 -
Posted by ブクログ
【消えたローセに一体なにが起きたのか?】
北欧ミステリーの人気シリーズ【特捜部Q】第7弾。
今回のテーマはデンマークの社会福祉政策の闇だ。
デンマークは社会福祉政策が充実しており、教育・医療・介護が無料であるほか、失業者への支援も手厚い。
しかし、今作にでも出てくるような、狡猾に生活保護の不正受給をしたりする輩が存在する。
そんな輩を対応しなければならない職員。
そしてある日芽生えた殺意。
また時を同じくして、特捜部Qの仲間であるローセの失踪を追うカール達。
今作では、精神を病んでしまったローセの壮絶な過去が明かされるので、ローセ推しの方は必読だ。
ローセ編は時に読むのが辛くなるほどで、よく今までカール達と事件を解決してきたなと思う。
過去と決別した新しいローセに期待したい。
今回は題名にもある自撮りする女たちのような、自分にしか興味のない者たちが事件を引き起こすので、無計画な所や行き当たりばったりな所が多々あるのだが、逆にそこがリアルで良かった。
実際に起きている事件も、練られた計画性のあるものよりは突発的な犯行が多いので、犯行の心情はこんな感じなのかなと想像しながら読めた。
しっかり社会問題を提議しつつ、サスペンス要素もあり、ハラハラしながら楽しめる1冊だ。
こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
・北欧ミステリーが好きな人
・社会派ミステリーが好きな人
・サスペンスが好きな人
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Posted by ブクログ
【カール 最大の危機迫る!?】
北欧ミステリーの人気シリーズ【特捜部Q】第6弾。
引退間際の警官からかかってきた一本の電話は、カールたちQのメンバーを十数年前に起きた異常な交通事故の捜査へと導いていく……
前作の【知りすぎたマルコ】と違い、こんがらがった複雑な糸をひとつひとつ解いていくようなストーリーだった。
展開もゆっくりめで、途中読みにくいエピソードもあったが、ラストの畳み掛けとどんでん返しはさすがである。
轢き逃げ犯は全く想像していなかった人物だったので、散りばめられた伏線を探す為にも再読しようと思う。
今作は新興宗教が事件に絡んでおり、ひとりの導師がキーマンとなっている。
とくに導師の心情がまったく描かれていないのがこの作品の面白い所だ。
読者は導師の心情や人物像を想像しながら読んでみると更に面白いのではないだろうか。
最初のシリーズから登場する“釘打事件”やアサドの秘密も出てくるのだが謎が深まるばかりだ。
どうオチをつけるのか最後まで見届けたいと思う。
純粋な気持ちが引き起こした悲劇が描かれた1冊だ。
こんな人におすすめ .ᐟ.ᐟ
・北欧ミステリーが好きな人
・どんでん返しが好きな人
・宗教がテーマのミステリーが好きな人
・倒叙ミステリーが好きな人 -
Posted by ブクログ
愉快な3人の未解決事件担当刑事が繰り広げるデンマークの警察小説第6段です。
前作のマルコ事件から3年が経った。今回は、デンマークの東、バルト海にあるボーンホルム島の警察官が自分の退官パーティで拳銃自殺した。カール、アサド、ローセのお笑いトリオならぬ刑事達は、現地に向かい自殺した警官ハーバーザートの息子に会いに行くと息子も自宅で手首を切って死んでいた。
生前ハーバーザートは、17年前に自らが発見した少女が亡くなった未解決の交通事故に執着していた。
カール御一行は、管轄外の島での捜査には訳がある。自殺した警官クレスチャン・ハーバーザートは命を絶つ前日に面識の無いカールに電話をし捜査協力を仰いでいたからだ。自殺する事でカールが動き出すと読んでの行動だった。自らを究極の犠牲にしてまで解決を望むこの少女の事故の背景は何なのか非常に興味が湧いてくる。
ストーリーは、後半まで膠着状態ではっきりしない。焦ったくなってくるが真犯人と思しき人物があっさり死に、次なる容疑者も死に、えっ、、なかなかにどんでん返し犯人探しがとても面白い。今作は、カールとアサドの絆の深さや自殺した警官家族の苦悩、新興宗教教祖の奔放な生き方。人間の感情が露わになった事件だった。 -
Posted by ブクログ
シリーズ6作目。反目し合うこともありつつ基本的には良識のある上司だったヤコプスンから退職することを告げられただけでなく、後任がカールの天敵のようなビャアンで、前作でミイラと一緒に数日間監禁されるという猛烈な目に遭い、モーナとも別れ弱り目に祟り目のカール。10作で完結予定のシリーズ起承転結の転から結にかかる一作にあたるせいか、表題の事件だけでなく、シリーズを通して影を落としている2つの案件(カール自身が当事者として関わった釘打ち機の殺人と、おじの水死事故)もじわじわ展開しています。アサドの過去についての謎、ローセの心の傷、カール自身がPTSDを受けることになりいまだ正面から向き合う事も出来ないつらい体験とその背景が、3人で表題の事件を捜査している過程で情報提供してもらう流れで受けた催眠療法によって揺さぶられ、かろうじて保っていた平衡感覚が失われてしまったみたいで、みんな大変そうでした。カールとアサドはまたも瀕死の状態に陥り、後半からはほとんど電話越しだったり別の部屋からの登場しかなかったローセがしばらくQから離れるようなことが終盤に示唆されたり。いったいどうなってしまうのか、心が落ち着かない感じです。表題の事件そのものも、マインドコントロールや新興宗教、大人による少年少女の搾取、などが絡んでいて、かなりザワザワする作品でした。夢中で読みましたが、読後感はぐったり。
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Posted by ブクログ
未解決事件を扱う<特捜部Q>シリーズ第七作。
前作「吊るされた少女」事件から二年が経った2016年の設定。
一番気になっていたアサドの親指の状態だが、やはり無事というわけにはいかなかったようだ。だがアサドも特捜部Qリーダーのカールも、内面の混乱はともかくとして表面上は日常を取り戻しているようだ。
一方で前作の終盤から様子のおかしかったローセが、二年経った現在も仕事ができないほどの酷い精神状態に陥っている。そしてついには精神科に入院という事態で一時的に特捜部Qから離脱という状況だ。
今回の作品は今までと構成を変え、現在進行形の事件と特捜部Q側とで並行していくスタイルを採っている。
現在進行形の事件は後に特捜部Qが追っている過去の事件と繋がることが分かるのだが、それは更にローセとも繋がり、出来過ぎと取るのか奇妙な因縁と取るのかは別として、いずれにしても先が気になるサスペンスタッチである。
副題は「自撮りする女たち」(原題「SELFIES」)だが、「自撮り」がテーマというよりは、身勝手な女たちといった感じ。
社会福祉政策が充実しているデンマークゆえのもう一つの顔、つまり権利は主張するがそれに伴うやるべきことはやらない人間たちがここにもいるということだ。
そうした人たちを相手にする福祉課の職員も日々不満を抱えている。最近よく聞く言葉で言えば『モヤモヤ』だ。
自分はこんなに頑張っているのに、なぜ自分より楽をしている人間がなぜ自分より良い目に遭っているのか。
こういう感覚は誰もが持つことだろう。よく聞くハラスメント問題もこういう『モヤモヤ』が発端になっていることが多い。
自分と周囲を比べても仕方のないことと分かっていても、仕事でそうした人間に接しなければならない人にとってはかなりのストレスだろう。
だが面白いことに、そういう身勝手な女たちの中でも互いに『モヤモヤ』を感じている。つまり、自分はこんなに頑張って補助金を引き出すためのアイデアを出したり体を張って頑張ってるのに、彼女は何もしないで楽をしている、みたいな。
読んでいるこちらからすれば五十歩百歩、どっちもどっちだろ、と言いたいところだが、身勝手な女たちや福祉課職員のそういう『モヤモヤ』はついに暴走を始め、殺意まで芽生えさせるのだ。
正直言って、身勝手な女たちサイドの人間は女に限らず出てくる人物たち皆共感出来ないので、完全な傍観者としてどんな破滅的結末を迎えるのかという単純な興味で読んでいた。
一方でローセがこれまで特捜部Qでパワフルに仕事に向かっていた姿と裏腹に、これほどの深く重い傷を背負っていたとは想像もつかなかった。彼女の猛烈な仕事への取組の裏で時折見せるエキセントリックな行動も説明がつく。唯一の救いはローセの妹たちがローセを心配し愛していること、そして何より特捜部Qの面々がローセのためにこんなに頑張っていること。
何とかローセには復活してもらい、再びあの猛烈な仕事ぶりを見せてもらいたい。
冒頭に書いたようにこの作品の設定は2016年、この作品が日本で出版されたのは2018年1月。それからもう2年近くが経とうとしているが、続編が出るとの話は聞かない。
今作ではカールのトラウマの元凶である「釘打ち事件」については何も出てこない。だがその「釘打ち事件」で大変な重傷を負ったハーディは少しずつ回復の兆しを見せている。これは吉兆なのか、それともカールにとってなにか不都合な真実が明かされる凶兆なのか、ドキドキする。
またアサドの、カールの知らない一面が少しずつ見えてくるのも興味深い。彼は一体何者なのか、なぜデンマークに来て、何をしようとしているのか。
早く続編を読みたいような、怖い結末なら見たくないような。 -
Posted by ブクログ
シリーズ第七弾は多くの事件が複雑に絡み合い、カールたちは東奔西走大わらわ。そこへローセのヘヴィーな過去が切込んでくるというボリューミーな展開。
事件の背景にあるのは福祉社会の暗部。加害者、被害者とも女性なので、同性故の共感できる部分もちらほら。両方の立場に立つと確かにどちらもムカつくよね。だからと言ってこういう手段に出る? 動機の部分で説得力に欠け、自撮り女たちの行動も無理矢理っぽい。
完成度の高いシリーズなので面白く読める安定感はあるけれど、今回は複数の事件とローセの過去という別個のストーリーが並走しているように思えて、読書中はモヤモヤが強かった。