デイヴィッド イーグルマンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ脳の可能性を開拓し続ける超名著。
ディキンソンは「僕たちの脳は空よりも広い」なんて言ったわけだけど、まさしくそれを実感できる一冊でした。
『生物と無生物のあいだ』で福岡氏は、「生命とはなにか?」に対して「それは動的平衡にある流れである」と答えた。つまり、必須と思われている機能ですら無いなら無いなりになんとかするのが生物だってわけだな。
本書はそれを脳科学的に証明していて、脳はこの能力が特に強いというのが仮説の一つになる。脳が半分になったって、日常生活を変わらず遅れる人がいるのはそれが理由だ。
特に面白いのが、多くの人が学習しているパターン以外にも、脳は独自のパターン分けが出来るという部分かな -
Posted by ブクログ
難しい内容を下手にカタカナ言葉を使わずにわかり易く書いている。
幻視、疾病失認なる症状を例から理解出来た。し、全く違うことではあるが自分の思考パターン、物の見方を振り返るきっかけにもなった。
脳の構造、癖を識ることは日本で言えば刑法39条さらに人工知能などを知る上では必要な内容ではないか。
”脳の回路について発見が増えれば増えるほど、答えは甘えや意欲の欠如や自制心の不足に対する非難から遠ざかる”
これ、それでもわからない人にはわからないんだと思う。
てんかんが悪魔の憑依ではなくなったのは良いけど、歴史上の勇敢な行いも病気とされるのは正しい事実なのかもだけど悩ましい。 -
Posted by ブクログ
脳には、可塑性と言って、一生にわたって変化し続けるような性質があることは、知ってはいたけれど、この本を読むまで、そこまでダイナミックなものなのだとは思っていなかった。
本書に出てくる事例として、例えば、脳が半分だけになったとしても、人間の脳は、半分の領域の中で必要な回路を作り、日常生活にやや不便はあるものの、問題なく生活できるようになった人や、耳の聞こえない人のために、音に反応して皮膚を刺激するベストによって、やがて、脳は、皮膚の刺激によって「聞く」ことができるように変わっていく事例などが上げられている。
人間の脳は、あらかじめ、生まれながらに機能や回路が決まっているのではなく、
必要最低 -
Posted by ブクログ
脳の常識がひっくり返った!
脳っていうと、左脳が論理や言語、右脳が直感をつかさどり、大脳皮質には言語野や視覚野など部位によって機能分担されている…ここまでは概ね合っているが、だとすると、それぞれの部位は、眼、耳、肌などそれぞれの器官と繫がって、それぞれの信号を処理する構造ができている…と思ってしまう。
これが何と大間違いで、どんな信号をどこでどう処理するかはハードコートされていない、成長した後でも変化することができるのだ。例えば、後天的に視力を失った人が、光学センサを肌につけて、触覚信号として脳に送ることで、視覚として認識できるようになることが既に実用化されている。触覚なので、視覚野では処 -
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脳は暗い頭蓋骨の中で、感覚器から届く情報だけを頼りにしている。視覚、嗅覚、触覚いずれの感覚も脳にとっては情報でしかない。その情報がどういう意味を持っているのかを探って理解するのが脳の役目。情報を読み解いて、最適な状態になるように脳の配線を常に変えているという。
例えば、目隠しをして60分程度過ごすだけで、耳の感覚が増すらしい。脳は眼からの情報が入ってこなくなったことで、眼に使われていたリソースを別の感覚に割り振った。たった1時間でこの現象が起きていることに驚かされる。
この他にもたくさんの脳の驚異と可能性について書かれていて、すべての経験は脳に影響していると理解し、いかに脳を育てていくか日 -
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脳は汎用機。どんなセンサー・入力メディアからの情報も的確に処理し、出力できるという「ポテトヘッド」理論が面白かった。視覚も聴覚も、網膜や内耳で外部情報を受けた後、体内をめぐる電気信号は、脳にとって同じ。視覚がなくても、触覚、聴覚で映像をイメージできる。いままでコウモリとか深海魚とか、目が見えないのに、どうやって?って思っていたけど、少し理解できた気がしました。
それと、犬など色覚もイメージできるようになるというのも驚きました。
脳でロボットアームスを遠隔操作できるとか。。「攻殻機動隊2045」で描かれているのと同じ世界。。やはり、カラダ(入力・出力)は消えて、脳(意識)が生き残るのでしょうか。 -
Posted by ブクログ
すこぶるおもしろい!そして、有益と言えるだろう。
脳の持つ「可能性」についての新しい知見をいくつも紹介されている。AIは人間の脳を模倣するところから開発がなされるが「脳の構造」「脳の働き」「脳に対する捉え方」などがかつて無い新し研究が出てきている。シンギュラリティの実現はある意味遠のくという状況かもしれない。
本書の中で「感覚追加」という概念が紹介されていた。人間の脳の「潜在的能力」である。今まで考えられていなかった能力が脳には存在するとの説。5感までは理解されおり研究も進んできた。第6感という概念も馴染みだが、感覚追加という夢の話が現実のものとなるという紹介。
それに関連して身体の一部を失っ -
Posted by ブクログ
ネタバレ私たちは意識に基づいて、意思決定していると思い込んでいる。しかし、実際には意識というのは、脳が超高速で複雑な処理をして出力された結果に過ぎない。
脳は五感に基づいて経験を豊かにする。しかし、その一つが欠けたとすると、その瞬間に世界は今までより豊かでなくなる。そこで、感覚代行というものがあり、視覚が失われた人が触覚を通じて世界を理解することが可能になる。途方もない腦の学習が必要になるが、言語感覚で理解できるようなるらしい。
私たちの営みにはアクセスできない。理性と本能という二つの背反するグループが私たちの意思決定に大きく関わっている。どちらの意見が取り入れられるかはその時々の状況による。神経脳科 -
Posted by ブクログ
この本の素晴らしさは(訳者あとがきでも触れられているとおりなのですが、)「脳って不思議でおもしろいですね~」で、終わらないところにあると思います。
錯覚や認知バイアスを説明するコンテンツは多くありますが、それらは「ある」と知り意識してもなお、逃れることができないから困るし不思議なんですよね。本書はそれこそが『意識は傍観者である』ためだと言います。我々が自分で判断したと思っているもの、いやそれ以前に確かにこの目で見たと思っているものすら、1,300gのプヨプヨした臓器の中で作り出された単なる幻影であり、我々の「意識」は、それが万端にできあがってから、まるで新聞のように受け取っているだけ。なんとも -
Posted by ブクログ
ここ数年で一番興味深い本であり、是非一度手に取ってみて欲しい。一見、難しそうな内容であるものの、和訳もわかりやすく、読み進めると非常に衝撃的だ。
合わせて、ハヤカワノンフィクションの『ファスト&スロー』ダニエル・キイス文庫『24人のビリーミリガン』も読みたい。
あらゆる行動は、自分自身で決断していると思いがちであるも、過去人類の遥か祖先から踏襲した遺伝子の型と、生まれて以来蓄積されて来た経験、膨大なデータに対し、そのごく一部にアクセスすることが出来るだけであり、それを無意識のうちに選択した結果と言うこと。
その膨大な遺伝子、経験は通常、意識することなく脳に蓄積されているのだと。
(トラウマ