児玉博のレビュー一覧
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経営の原点は自責、当事者意識
自分の手でコントロールできないことが多すぎるからこそ、自分にベクトルを向けるパラドックス
■概要
東芝の栄枯盛衰を1人のサラリーマン経営者である西田厚聰氏にフォーカスし、ドラマチックに見ていく。ウェスティングハウスのM&Aは博打だったのか?3.11と原発事故が無かったとしたら?"不正会計"なのか"不適切会計なのか"?大企業の権力争い、社長指名の実態と経営者の資質...
迫真のノンフィクション
■感想
・経営者は自責というタイトルに関して
不確実性が極めて高く、従業員の生活を背負う覚悟、株主や顧客(競合も交えた市場)といったステークホルダーに向き合い、何より「意思決定」の最高責任者である経営者に必要なものは自責である。
環境のせい、部下のせい、過去からの...こういう言葉が出てくる者は経営者に値しない。西田氏はサラリーマンとしては極めて優秀だったのだろうが、サラリーマン経営者、操業経営者とも呼べないのではないか。様々なフォロー、観点もあって然るべきだが、このインタビューの発言が本当であれば、いくら切り取りが仮にあったとしても酷い考え方である。その反面教師になる個人ドラマだった
→圧倒的当事者意識を持つリクルートがなぜ経営者(何なら起業家)を輩出できるのか?その対偶を見ているようである
・1人のサラリーマンとして捉えると
これは大変優秀な方であるし、婚約者の事情とは自らイランに行って、現地採用→本社採用→社長にまで出世する、というのは圧巻であった。特にイランの国政や環境に翻弄されながらも、東芝の中東進出の足掛かりを作ったことや、後に出てくるラップトップPCの普及と欧州市場攻略に胸躍るものや学ぶものはある
・そもそも経営者任期が短すぎる
4年の社長任期じゃ何もできないし、結果責任を取れないだろう。半導体にしろ、原子力発電にしろ長期で投資判断の是非が問われるのに対して、後任に対する足枷になりかねない意思決定を簡単にしかねないインセンティブ設計に見える。
そこを後任が思い通りに進めないことに対して、他責になるのも納得であり、西田氏の資質というよりは東芝という会社としての経営者選定プロセスが機能不全を起こしており、日本企業の多くが同様の悩みを持つのであれば、その問題点を濃縮した様な企業であった -
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これは面白い!
途中、満州建国あたりからの中国の近代史に相当なページが割かれていて、なるほどと思わせる内容でした。
ググってみた限りでは主人公の「服部悦雄」なる人のwikiページがなさそうで、現在存命なのかどうかもわからず。。
いずれにしても、この本がすべて実名で登場のノンフィクションである以上、トヨタの中国進出の立役者であることは間違いなく、恐らくこの本を読むであろうトヨタ幹部/社員の人たちはどう感じるのだろうか。往々にしてこの手の暴露(?)本は関係者が世を去ってから出そうなものだが、この内容はここ30年ほどのかなり最近な話であることもあり。 -
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ネタバレUSEN社長の宇野康秀さん。インテリジェンスの創業者であり、また大阪有線の創業者の2代目でもあるという事で知っていたが、そうした略歴では当然計り知れない壮絶な人生を歩んでいる方。
本書の主題である宇野さんを語る上で欠かせない人物として出てくるのが実父であり従業員1万人の大企業、大阪有線を築き上げた創業者の宇野元忠である。若い頃は仕事一筋で家庭を顧みない父親と反りが合わず距離があったという。しかし、結果的に父親と起業の道を歩み、最後にはガンで余命3ヶ月の告知を受けた病床の父から頼まれて大阪有線を継いだ。
夜中にでも会議を開くという宇野の経営者としての姿勢は父親の影響は大きい。モーレツに働く父に対して、「あんた社長なんやろ?社長のあんたが休みの日もなんで働かにゃあかんの?社員に任せたらええやん」と母親がとかけると、「何をアホなこと言うとるんや。ワシよりも働くもんがおったらそいつが社長や」と。この言葉は宇野の頭の片隅にずっとああったという。この言葉は本書の中で2度引き合いに出されているが、経営者という仕事の困難さを表す上で言い得て妙であり、最も印象に残る逸話である。
父親から引き継いだ事業は大きな問題を抱えていた。有線ケーブルがNTTや電力会社の電柱に不法に設置されたものであり、その違法な状態を数百億の資金を掛け、全国の社員総出で正常化を1年で成し遂げている。単なるボンボンの2代目というイメージを持っている人も多いと思うが、気骨のあるかつ正義感の強い稀代の経営者である。 -
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現在USEN-NEXT HOLDINGSのCEOである宇野康秀氏が大阪有線の創業者である父を含め自身の生い立ちや事業を承継するに至った経緯や起業家としての苦悩を書いた一冊。
高度経済成長の波に乗って有線事業で一躍トップとなった大阪有線社の創業者の次男として生を受け、学生時代を経てリクルート社へ入社し前田氏、島田氏、鎌田氏の3名との出会いから人材会社のインテリジェンスを起業。
その後株式上場目前のところで実家の有線の事業の承継を打診され引き受けるものの違法使用の正常化や光ファイバー事業の頓挫、インテリジェンス買収を経てYouTubeの台頭や人材派遣業の低迷による社長追放など宇野氏の紆余曲折を本書で知ることができました。
また、父や兄との関係や思い、仕事にかける情熱など宇野氏の心のうちにあるものも本書ではインタビューとともに書かれていて刺激を受けました。
そして、宇野氏を中心として有線社の話を中心に展開される中でリクルートの江副氏やソフトバンクの孫氏やサイバーエージェントの藤田氏などのエピソードも書かれていて、新しい一面を知ることもできました。
ITバブルの寵児の1人として成功した一方で有線社での挫折や失敗など運命に翻弄されてきた半生を本書で知ることができました。
起業、承継問わず3社を上場させる手腕は並外れたものがあり、紆余曲折で得た経験が宇野氏が今後どのような歩みを辿るのか楽しみになる一冊でした。 -
Posted by ブクログ
インテリジェンスの宇野さんとして知っていましたが、これを読んでUSENや今に至る出来事をちゃんと知ることができたのは良かったです。
大阪有線が大きくなる高度成長期、リクルートに代表するバブル期や、サイバーやソフトバンクに代表するITバブル期。ゼロ年代。それぞれの時代背景とその中での宇野さんの立ち位置というのがとても物語として心が揺さぶられました。
事業は一筋縄でいかないのはそうですが、その中で何を信念にして生きるのか、そこでどう振る舞うのか。自分は事業家では無いですが、考えるヒントにはなるかと思いました。経営者としての矜持をそこに感じたのは言うまでもないです。 -
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住友銀行に入行し伝説のMOF(大蔵省)担当として頭角を現し、一銀行員の枠に止まらず政官界にまで影響力を及ぼした怪物、国重惇史の物語。その生い立ちから入行の経緯、幹部候補として企画部に転属になり、巻き起こした伝説を追っている。
特に出色なのは、メモ魔である国重が残していた平和相互銀行事件のメモである。国重はその時々に起きたイベントを同席した人物と共にメモ書きとして残している。それは平和相互銀行事件の裏面史を余す事なく描き出している、第一級の資料だ。
良くも悪くも「タガが外れた」人間、国重。その人となりを会社側からではなく、人間側から泥臭く追っていった良書である。 -
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『大阪戦争や』
今では考えられないが、暴力団も入り混じる有線事業、昭和の時代。『誰よりも働くのが社長』という信念の元、ひたすらに働き、一代で巨大企業へと成長を遂げていった父親の話から物語はスタートする。
父親への反骨と尊敬が入り混じる中で、宇野さん自身も起業家への道を歩み始め、時に時代に左右されながら、時に死を前にした父の想いを引き継ぎながら、波乱万丈という言葉では表現しきれない茨の道が克明に描かれている。
数百億という金額が常に文字にあらわれ、借入先の銀行にも罵詈雑言を吐かれ、困難に直面しながら、それでもここでは終われないと再起してきた宇野社長。結果として、三社を上場させてきた。
「宇野社長の欠点は優しすぎるところ」とサイバーエージェント藤田社長が評するように、自身が全てを背負い立ち向かってきた宇野社長には困難の後にも周囲に人が絶えない。