【感想・ネタバレ】テヘランからきた男 西田厚聰と東芝壊滅のレビュー

あらすじ

“戦犯”と呼ばれた男が全告白。

イランで現地採用され、社長に成り上がるや、米原子力事業を6400億円で買った男は、いつ、どこで、何を、どう、間違え、東芝を “奈落の底”に突き落としたのか。

大宅賞作家が第15代東芝社長、西田厚聰の肉声を交えながら描いた企業崩壊ドキュメント。

――東日本大震災、そして原発事故がなければ、東芝はどうなっていたんでしょうか。
「事故が起きなくても同じような問題が起きたんじゃないでしょうか。先延ばしされただけじゃないかな。すべては経営の問題だから」

2017年10月初旬、最後のインタビューは行われた。実は、西田は9時間を超える大手術、3ヶ月に及ぶ入院生活を経て、ようやく退院したところだった。存亡の危機に立たされていた古巣と同様、この男もまた死線をさまよっていた。

【ご注意】※この作品は一部カラーを含みます。

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Posted by ブクログ

取材力が素晴らしい。
聡明な西田氏と、手術後の西田氏の対比が、作者の同氏への愛情と落胆を感じた。
なぜ聡明な東芝の社員が、社長になるとみなおかしくなるのか?結論はでないが、国、政治、国際情勢に翻弄され、サラリーマンとの乖離に変わらずを得ないことが理由だろうか。
国策会社、政商会社の呪いを感じた。
来は、欧州だと貴族、日本だと旧華族が社長をやった方が良い会社なんだろうな。

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2024年05月23日

Posted by ブクログ

西田社長ー会長 東芝の戦略を確立した 「半導体と原子力」に選択と集中を進めた
尊敬するウェルチGE氏の経営戦略手法を踏襲したものか・・・
そのダイナミックさは社内外の高い評価を得、株価も倍へ
しかし時は味方せず

リーマンショックと
東北大震災・福島原発事故
半導体と原発を直撃

それまでの西田経営には誤りはないが、結果的にリスクが過大だったということ
経営は結果責任 でもリタイアした西田氏は責任を受け入れず
むしろ自己正当化

東芝ものでは出色の一冊 それでも後味は不味い
世界グローバル化に対応してきた男 西田社長
それでも晩節を汚す

勲章と財界ポストはダメ 人を腐らせる

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2018年11月10日

Posted by ブクログ

先日亡くなられた西田元社長を軸に書かれたもの。「東芝機械ココム事件」「イラン革命」「Dynabook」「ロータス1-2-3」など、懐かしい事象に揉まれながら歩んだ西田氏の経歴が語られます。丸山眞男氏、大前研一氏なども登場し、今では反原発派の小泉氏が政権掌握時代に原発を推進すべく、東芝に圧力をかけたなども紹介。この頃の日本の政治・経済を包含しながら、今の東芝の姿に至る第一級のドキュメンタリーになっています。
大変な勉強家で、就任時には「陽」で皆からも歓迎されながら、どうしてこうなってしまったのか、「陽極まれば陰に転ず」と言えばよいのか、読後には考えさせられます。
「負けず嫌い」な性格でひたすら業績をあげることに注力したのでしょうが、最後のインタビューで、社員に対するコメントがなかったのが痛切です。

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2018年01月22日

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[異能故の功罪]後に大きく傷つくことになる原子力事業に大きく舵を切り,粉飾の原因を作り出したとも批判される元東芝社長の西田厚聰。イランにおける現地法人に採用され,韋駄天のごとく社長の椅子を手にした人物は,どこで歩みを間違え,名門企業を存続の淵に立たせることになったのか......。著者は,『堤清二 罪と業 最後の「告白」』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した児玉博。


ノンフィクションの醍醐味を凝縮したような作品。西田厚聰という人間の歩みが東芝と重なり,そしてそのまま「壊滅」へともたれ込んでいく様子が丁寧に描かれています。他方,本書をしてただの批判本となっていない所以は,西田の成功が東芝の壊滅につながった点を示唆している点。読み終えた後の寂寥感が凄まじい作品でした。

〜光と影。言い古された言い回しだが,西田厚聰という人物の人生にわずかばかりだが,触れさせてもらった率直な感想は,圧倒的に光り輝いた部分と,その光があまりに強いがゆえに濃さを増した影を見たような気がする。〜

サラリーマン/ウーマンなら読んで損なし☆5つ

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2017年12月18日

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経営の原点は自責、当事者意識

自分の手でコントロールできないことが多すぎるからこそ、自分にベクトルを向けるパラドックス

■概要
東芝の栄枯盛衰を1人のサラリーマン経営者である西田厚聰氏にフォーカスし、ドラマチックに見ていく。ウェスティングハウスのM&Aは博打だったのか?3.11と原発事故が無かったとしたら?"不正会計"なのか"不適切会計なのか"?大企業の権力争い、社長指名の実態と経営者の資質...
迫真のノンフィクション

■感想
・経営者は自責というタイトルに関して
不確実性が極めて高く、従業員の生活を背負う覚悟、株主や顧客(競合も交えた市場)といったステークホルダーに向き合い、何より「意思決定」の最高責任者である経営者に必要なものは自責である。
環境のせい、部下のせい、過去からの...こういう言葉が出てくる者は経営者に値しない。西田氏はサラリーマンとしては極めて優秀だったのだろうが、サラリーマン経営者、操業経営者とも呼べないのではないか。様々なフォロー、観点もあって然るべきだが、このインタビューの発言が本当であれば、いくら切り取りが仮にあったとしても酷い考え方である。その反面教師になる個人ドラマだった
→圧倒的当事者意識を持つリクルートがなぜ経営者(何なら起業家)を輩出できるのか?その対偶を見ているようである

・1人のサラリーマンとして捉えると
これは大変優秀な方であるし、婚約者の事情とは自らイランに行って、現地採用→本社採用→社長にまで出世する、というのは圧巻であった。特にイランの国政や環境に翻弄されながらも、東芝の中東進出の足掛かりを作ったことや、後に出てくるラップトップPCの普及と欧州市場攻略に胸躍るものや学ぶものはある

・そもそも経営者任期が短すぎる
4年の社長任期じゃ何もできないし、結果責任を取れないだろう。半導体にしろ、原子力発電にしろ長期で投資判断の是非が問われるのに対して、後任に対する足枷になりかねない意思決定を簡単にしかねないインセンティブ設計に見える。
そこを後任が思い通りに進めないことに対して、他責になるのも納得であり、西田氏の資質というよりは東芝という会社としての経営者選定プロセスが機能不全を起こしており、日本企業の多くが同様の悩みを持つのであれば、その問題点を濃縮した様な企業であった

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2024年08月14日

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未だに続く東芝の迷走の原点を西田という異色の経歴を持つ元社長にスポットを当てて描いた作品。丹念な取材と読み易い文章で纏められている。
この人の本を初めて読んだが凄く面白く読めた。他の作品も読みたい。

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2024年07月13日

Posted by ブクログ

東芝が失墜していった背景について書かれた書ではなく、西田とその近くの人物についてフォーカスされた書。ノンフィクションの物語として面白く読めた。西田とのインタビューを書いた章では、著書の西田に対する思い、拘りが透けて読める。

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2024年05月10日

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元東芝社長の西田厚聡は2017年に急性心筋梗塞のため逝去。73歳だった。東大大学院で政治学を修了し、イランの現地法人を経て1975年に東芝に入社。2005年に社長に就任。米原発設備大手ウエスチングハウス(WH)の買収劇が有名。

09年に社長から会長に退き、相談役だった15年に東芝の会計不祥事が発覚。後任の佐々木則夫社長との確執もあり、両者は東芝解体の戦犯とされる。

本著は、こうした解体劇に至る経緯を追いながら、西田を巡るドラマを描く。東大学者時代から、フィアンセを追ってイランに向かい、人生を変えた。その才能も好意的に語る。一方的に断罪するのではない、バランスの取れた内容だ。何より、西田という一人の男の人生は面白い。

土光敏夫が東芝にチャレンジとレスポンスと言う精神を叩き込んだ。しかしそのチャレンジと言う言葉がやがて目標達成できなかった場合の粉飾を助長する言葉に変質してしまった。

真っ直ぐな明るい勤勉家。しかし、万事がうまくいく訳では無い。組織が歪み、幹部の関係性が拗れ、感情が炸裂する。足下で起こる誤りを見抜くガバナンスはない。東芝をきっかけに社会が変わった面は否めない。見せしめという事では無いが、社会は、インパクトの大きなインシデントでも底上げされていくものなのだろう。

この一連を把握するに適した名著である。

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2023年09月02日

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中途採用という異色のスタートから社員20万人を抱える東芝という大企業の社長となった西田厚聰さんに関する本。ビジネスマンとして、本当に才能があり、実績も残し、すごい人だということは分かったが、最後には欲に溺れ、自分を正当化する。WHの買収、パソコン事業でのバイセル行為。過去を振り返っても、反省しても現実は変わらないが、この方、また歴代社長の判断によってどれほど多くの人が露頭に迷ったことか。内部にいても全く情報が無かったが、こんなやりとりが上層部ではあったのかと。

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2021年06月06日

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権力は腐敗する。
より上の世界を知るとその世界の住人になりたいと願い、そこに至るとそこから落ちることを怖れるようになる。
優秀な人材で有ってもその罠を逃れることが出来る人は少ない。そのような人たちをトップにしてしまった会社の悲劇である。
力のある会社なので、真っ当な会社になって欲しい。

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2018年05月24日

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博士から企業に。
イランの配偶者と魅力ある人物だった西田社長。
どこで間違えたのか、最後のインタビューに集約されている。

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2023年08月28日

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東電を含め、東芝はガバナンスが効いておらず、それに対する変革もできなかった。
最後、美学のように語る西田さんにも疑問です。

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2023年08月27日

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 土光は社員らに、「チャレンジ」と「レスポンス」(素早い対応)を叩き込む。土光の言う「チャレンジ」とは、目標達成ができなかった場合、その原因を突き止め、その上でさらに挑戦するという意味だ。1977年発行の社史『東芝百年史』によれば、やがて「チャレンジ」と「レスポンス」は、組織と組織のコミュニケーションにも応用されるようになり、当時の東芝社内ではこれが「合言葉になった」と記されている。


「仕事十訓」とタイトルがついた紙には元ホテルオークラの副社長で数多くの著書を持つ橋本保雄の『感動を創る』(現在はPHP文庫に収録)から抜き出されたものが記されている。
1.バイタリティを持て
2.常に頭脳を酷使せよ
3.周囲の変化に挑戦せよ
4.他から信頼される人になろうと努めよ
5.ルールはルールとして重んじよ
6.一度計画したものは、万難を排して完成させろ
7.失敗を恐れるな、失敗は次への成功の足がかりだ
8.今日のことは今日やっておけ、明日は明日の仕事がある
9.おのれの時間を大切にせよ
10.生きがいのある職場で価値ある人生の創造を


■西田がジャック・ウェルチから感銘を受け、自己鍛錬としてきた6つのルール
1.あるままの現実を受け入れろ
2.にも誠実であれ
3.ネージャーではなく、リーダーになれ
4.わらなければならない前に変化せよ
5.争優位を持てないならば競争をするな
6.自分の運命は自分でコントロールせよ。でないと、他人にコントロールされる

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2023年08月11日

Posted by ブクログ

東芝の不正問題について学びたかったのだが、その辺りはさらりと書かれており、あまり参考にならなかった。

西田氏についても、深く掘り下げて書かれているとは思えず、もう少し厚みのある記述が読みたかった。

巨大企業の社内政治はドラマのようで面白かったし、経団連の事などは勉強になった。

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2021年12月14日

Posted by ブクログ

数年前に東芝が「不正」会計問題でメディアに取り沙汰されていた頃、自分はあまり何も知らずに東芝を横目で冷ややかに見ていた記憶がある。もちろん西田厚聰なる人物も知らず、東芝がひとつの企業としてどのような歴史をたどり、どのようなことをしていたのかも知らなかった。単に、日本的な企業の成れの果て、というような単純で穿った見方しか持っていなかった。

西田厚聰はその経歴や考え方、物事の進め方などおよそ常人からはかけ離れており、そのような人物を社長に指名した東芝という会社も実は大胆不敵な組織であったのではないだろうか。しかし、WH買収、SWの減損問題、原子力事業に関わる成り行きを見ると、西田厚聰もどこかで目が曇り始めていたのだろうか。後継者の佐々木則夫との確執についても、佐々木則夫個人にも問題はあっただろうが、リーダーとしてもっと別のやり方はなかったのだろうか。単に世界の変化に対応しきれなかったと言うのは簡単かもしれないが、西田厚聰ほどの人物であっても、晩年にはそのすごみが陰ってしまった原因は何であったかのだろうか。

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2021年02月23日

Posted by ブクログ

平家物語ですな。盛者必衰。奢れる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者もつひにはほろびぬ、ひとへに風の前の塵に同じ。
結局、西田氏はコングロマリット(東芝がコングロマリットかどうかは難しいところだが、白物家電と原子力は異業種でしょう)の代表の器ではなかったのでしょう。西室氏・西田氏・佐々木氏それぞれのルサンチマンに振り回された大企業が風前の灯火ですが、今後どうなるのでしょう。いよいよバンカー(銀行屋かもしれませんが)登場で、ただの中小企業になってしまうのでしょうか。お膝元の府中市民としては気になるところです。

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2018年02月20日

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