児玉博のレビュー一覧
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「文革を中国で乗り切った日本人の話」というだけで興味深い壮絶なドラマなのだが、それを挿話として、トヨタ社内の政治劇、中国の自動車産業の黎明期を描き切る本書は、筆力もテーマも圧巻だ。ページを捲る手が止まらない。一気に読み切った。しかし、どう表現して良いか迷い、中々レビューは書けなかった。
ー 服部が売ったエンジンを積んだ違法コピーの車は、売れに売れた。浙江省を中心に爆発的に売れたのだった。「そんなに売れたんですか?日本のパクリ自動車が」「セールスマンが良かったんだよ。なにせ今をときめく習近平だったんだから」
服部は笑った。李が吉利汽車を浙江省に起こしたのは1997年。その5年後、同省共産党委員 -
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面白い
世界の自動車メーカー トヨタ
その世界戦略の中で重要な中国
低迷していた中国でのトヨタを
トップに押し上げたのは
27年間中国で育ち
小鬼と蔑まれ 文革も経験し
厳寒の中労働し生き延びた男 服部
トヨタに中途採用から入社し
奥田という トヨタでは異才の上司に
見出され
才覚を現し中国でのてトヨタの礎を
造り
そして創業家の章男を社長にした男と
言われる
しかしその辣腕から
会社からは浮いた存在に
会長から感謝され伝えられた役員にも
遇されず
自家用ジェットも届かなかった
しかしトヨタの中にも
社長のポストに実力で異義を唱える
などした人物もいたんだ
これからこのマンモス企業が -
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中国で終戦を迎え大躍進政策や文化大革命を生き抜き、トヨタ中国の総責任者まで努めた服部氏のインタービューを基にしたドキュメンタリー。氏の生い立ちたどる中で、インタービューで引き出される凄惨な実体験の数々。中国の近代史のリアルで非情な実態が炙り出されている。中国建国の英雄とされている毛沢東は日本の歴史の教科書でもそのような紹介がされているが実態は大躍進政策や文化大革命といった失政によって1億人近い人民を死に追いやった虐殺者でもある。全土で雀を徹底的に駆除する事を推奨された結果、害虫が発生して作物が育たなくなり飢饉が発生し4〜7千万人もの餓死者を生んだといあれているが、同じ事を書いた体験談が、評論家
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これは面白い。
トヨタ自動車の中国市場を取り巻く歴史とそこに関わる歴代の社長陣を、服部悦雄という中国育ちの日本人で中国トヨタの立役者となった人物への対話から描いている。
ストーリー展開が秀逸で、あっという間に読み終えてしまった。
服部さんの生い立ちにも関わる、かつ、中国市場を語る上で欠かせないポイントが多いため、本の前半は満洲国解散〜近代における激動の中国近代史が記載されている。
その中で、中国人はどんな思いでどんな生活をしていたのかを服部さんが見た世界も含め記載されている。
何度も中国史は読んで来たがこんなにわかりやすく、イメージしやすく理解できるものは初めてだった。
後半ではトヨタ自動車 -
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ネタバレこれは面白いです! 自動車版『大地の子』で、タイトルとしては「中国の近現代史と自動車産業」のほうが正確かと思います(これだと売れないと思いますが…)。
中国で生まれ育った服部悦雄という元・トヨタ中国事務所総代表のインタビュー録です。「服部悦雄」は、『トヨトミの野望』では「八田高雄」で登場しますが、その『トヨトミの野望』も織り交ぜながら展開します。但し、こちらの本では全て実名。氏の経歴に合わせて、満州国解散から習近平時代までが描かれ、これを読むだけで中国の近現代史がわかります。
氏は、中国人の本質は「好死不如懶活(きれいに死ぬより、惨めに生きたほうがまし)」と言い切ります。毛沢東の大躍 -
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ネタバレ宇野さんは父親の存在が大きいと言う。
仕事で1-2ヶ月家を開けることもあった父が、すぐ飯や、早よ用意せんかい」と他人の都合など構わず言いたいことばかり口にする。
ちょうどその頃、宇野さんが高熱で、お母さんが父に「康秀が高熱で死ぬかもしれない」と言ったら「死んだらまた作れば良いやんか」と言ったそう笑
忘れ難いその一言を今も覚えているそう。
大阪有線が設立された1961年は、1960年に所得倍増を掲げて池田勇人が首相となった翌年。三種の神器を代表に、活気づいていた。
当時国鉄の初乗りが10円、コーヒー1杯50円と言う時代に、月額1500円と言う有線放送の契約が嘘のように取れた。
ヤーさんやらがた -
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ネタバレ現役時代にご本人にお会いしていないのが悔やまれる。
平和相互銀行と住友銀行の合併を影の立役者だった國重氏の視点から描く。驚くのは詳細なメモをもとに再構成した合併までの経緯。住友銀行は関東地区の地盤固めのためどうしても平和相互銀行を吸収合併したかった。しかし直前に関西相互銀行を吸収しようとして関西相互側の職員に大反対され合併を白紙撤回した苦い経験があった。
「今回は失敗できない」という状況の中、住友銀行の水面下の動きが活発化し、その相手は大蔵省、日銀にとどまらず東京地検内部、政権の中枢にまで及ぶ。
それの相手方を飛び回り、情報を収集し折衝を行うポジションにいたのが國重氏だった。
そして平 -
購入済み
2ヶ月早く読んでいたかった
これを読んでいたらUSENを次の会社に選んでいたと思う。
そう思えるような創業者のお話でした。
是非多くの方に読んで頂きたいです -
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西田社長ー会長 東芝の戦略を確立した 「半導体と原子力」に選択と集中を進めた
尊敬するウェルチGE氏の経営戦略手法を踏襲したものか・・・
そのダイナミックさは社内外の高い評価を得、株価も倍へ
しかし時は味方せず
リーマンショックと
東北大震災・福島原発事故
半導体と原発を直撃
それまでの西田経営には誤りはないが、結果的にリスクが過大だったということ
経営は結果責任 でもリタイアした西田氏は責任を受け入れず
むしろ自己正当化
東芝ものでは出色の一冊 それでも後味は不味い
世界グローバル化に対応してきた男 西田社長
それでも晩節を汚す
勲章と財界ポストはダメ 人を腐らせる -
Posted by ブクログ
先日亡くなられた西田元社長を軸に書かれたもの。「東芝機械ココム事件」「イラン革命」「Dynabook」「ロータス1-2-3」など、懐かしい事象に揉まれながら歩んだ西田氏の経歴が語られます。丸山眞男氏、大前研一氏なども登場し、今では反原発派の小泉氏が政権掌握時代に原発を推進すべく、東芝に圧力をかけたなども紹介。この頃の日本の政治・経済を包含しながら、今の東芝の姿に至る第一級のドキュメンタリーになっています。
大変な勉強家で、就任時には「陽」で皆からも歓迎されながら、どうしてこうなってしまったのか、「陽極まれば陰に転ず」と言えばよいのか、読後には考えさせられます。
「負けず嫌い」な性格でひたすら業