一雫ライオンのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語は1985年の北海道・知床半島ウトロから始まる。初日の出を拝むために札幌を出発した「北斗流星号バスツアー」は、大晦日の深夜、吹雪の峠道で崖から転落するという悲劇に見舞われる。豪華バスに乗っていた若者たちは、センセーショナルな事故の渦中に巻き込まれ、人生の軌道を大きく変えられてしまう。
時は流れて1999年、東京・新宿で身元不明の遺体が発見される。同時期に政界の重要人物が殺害される事件も発生。定年退職を控えたベテラン刑事・真宮は、若手刑事・香下とバディを組み、二つの事件の真相を追うことになる。
捜査を進める中で、北海道の事故と東京の殺人事件が一本の線で結ばれていく。真宮は足で稼ぐ古風な捜査ス -
Posted by ブクログ
全く知らなかった作家さん、フォローしている方々のレビューに強く惹かれて読んでみた。
東大法学部の最高成績を塗り替え、引手あまたの官僚の誘いを断り裁判官の道を選んだ片陵礼子の物語。
類まれなる美貌を持ち、いちいち「美しい横顔で見る」「美しい目を見ひらいた」「美しい口元を歪める」「美しいまなざしをむけた」と描写され、どれだけ美人さんなことか。
そんな彼女の裁判官としての日常が描かれたかと思えば、かつて判決を書いた男が出所してきて“門前の人”となった謎を追う話になる。
まずは裁判所の世界やそこでの人間関係、裁判員裁判の進み方などが興味を惹いて、“門前の人”蛭間に深入りしていってからは、礼子の裁判 -
Posted by ブクログ
ブク友さんのレビューを見て読むことにした作品。
理知的で冷静な女裁判官・礼子が主人公の司法小説。司法のことや裁判員のことなど、初めて知ることも多くて興味深かった。
愛情に欠けるけれど何事にも完璧な礼子は、身近な人も裁く人も冷静に観察して分析し、そつなく対応する。夫がいることが意外なほど、愛情や人情を持たない。
夫は礼子に対してモラハラ気味で、なんでこんな人と結婚したのか、初めは謎だった。礼子自身に感情がないので、うまくやっていけている状態。なんだか不穏な空気を常に漂わせながら、物語が進んでいく。
かつて礼子が担当し、懲役4年の刑に処した男・蛭間が、門前の人になっているという話があがる。門前 -
Posted by ブクログ
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感情を持つことはすべてを狂わせる。
間違ってはいけないのだ。
母のように-。
幼い頃から頭が良いことも、容姿が良いこともわかっていた。それをひけらかさないことが上手く生きていく術だということも。
何も間違わずに生きてきたはずだ。
感情は正しい判断をもっとも狂わせる。間違えないために一切の感情をも排除してきた。
高い志も 強い意志もなく裁判官になったのも 私には正しい道だった。
家柄の良い男と結婚し 豪邸に住むことも。
いづれ最高裁判事になることは確定的で、私のキャリアには微塵の汚点もなかった。
彼に再会するまでは-。
蛭間隆也。過去、蛭間の起こした事件に懲