マーティン・ファクラーのレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
2019刊行、「新聞記者」映画化に伴う鼎談からの本。
官邸に、歯に衣着せぬ質疑をあびせて排除寸前に追い立てられた女性記者。
文科省で安倍政権の教育への政治介入や縦割り行政の現場に立っていた官僚。
ニューヨークタイムズの記者として、アメリカのジャーナリズムと日本の報道を比較しその忖度体質を炙り出す記者。
ここで語られている事が、実際の日本の中枢で21世紀になっても起こっている事であり、長期政権下でますます露骨になっているやり方でもある。
公正とか正義とか…行政や報道に対し、厳しく求められるべきものは、どこにいったのだろう。本職の人間たちがこの有様では嘆かわしい。
-
-
Posted by ブクログ
日本には同調圧力が依然として残っている。記者の望月氏は政府批判を理由に首相官邸への質疑応答に取り合ってもらえなった。そしてそれを追求するメディアはなかった。
元文科省事務次官の前川氏は根強い官僚主義を批判しており、「遅れず、休まず、働かず」とリスクを恐れマニュアル通りのマネジメントしかできない組織体を揶揄している。
NYタイムズ記者のファクラー氏は日本のジャーナリズムに警鐘をならす。多くのメディアは公権力から危害を加えられる危険性を感じることはほぼないが、当該権力に忖度する姿勢を一貫しており、問題の本質を直視したり、精度の高い情報を報道することができていない。
これら3つに共通することは -
Posted by ブクログ
ネタバレこの書籍に出会えて本当に良かった。自分の視野がまた広がった。
著者は、政治家や官僚などのエスタブリッッシュメント(支配層)による一体的な支配に対して日本の報道メディアが危機にさらされている現状を分かりやすくかつ危機感をもって解説している。
横の連携がない日本のタコツボ型ジャーナリズムに対して「なぜ会社の垣根を超え、権力と対峙して朝日新聞を擁護しなかったのか。このジャーナリズム精神の欠落こそが、日本の民主主義に大きな危機を招いている現実をメディアの人間は直視しないのだろうか。」「記者クラブメディアの一つの問題点は、記者クラブに所属している記者が取材先のコピーになってしまうことだ。価値観や問 -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
マーティン・ファクラーという著者の経歴に興味があり手に取った一冊である。
奇遇にも著者も情報過多の時代には、「誰が書いた記事なのか?」ということを情報の信頼度の指針とするべきでは?という提言を行なっていた点が、妙な一致をし面白いところであった。
トランプ氏のフェイクニュース発言の背景にある(と思われるもの)を個別具体的に洗い出しており、
フェイクニュースとファクトということに興味がある方には、オススメの一冊であると思う。
※この本の中で、ファクトの重要性が声高に叫ばれてるのに、一部筆者の強い強い主観から描かれている点もあるので、その辺りは間引きながら読むことがオススメ。
調査報道や書き手 -
Posted by ブクログ
ネタバレ天皇は日本の良心。
政治的なリーダーではなく、道徳的なリーダー。
インフラとノウハウのODA。
ブルーカラーの仕事へのプライド。
デザインと食べ物。
エンプティネスデザイン=ユーザーの自由度が高い
B級グルメの質
シリコンバレー的よりも、長期的で地味な想像力を活かせ。
新たなアントレプレナーを生み出すには、
失敗を許す文化と野心が必要。
1945年以来唯一、一度も戦争をしていない大国。
そこにチャンスがある。
今から「普通の国」を目指してもアメリカ、ロシア、中国にはかなわない。ある意味、時代遅れ。
脱「普通の国」のオンリーワンを選択した方が良い。
ただし、それを決めるのは政府で -
Posted by ブクログ
今の安倍第二次政権のメディアコントロールについて批判してある本。外国人だから書けるのであろうか。
今の危険な状況を憂い、それでもほんの僅か見える希望に期待を寄せている。
・「脱ポチ宣言をした朝日新聞特別報道部がバラバラに解体
・日本で最もジャーナリストらしい活動をしているのは、記者ではなく弁護士
・ニューヨークタイムズの今の全体収入の55%は、紙とデジタル版双方の購読収入。デジタル版に100万人の有料読者がついているおかげで、スポンサータブーを気にせず自由に記事が書ける。
・早稲田大学ジャーナリズム研究所は、調査報道に取り組む若いジャーナリストを育てようとしている。 -
Posted by ブクログ
もしかすると一般にあまり知られていないことかもしれないので、まず、確認しておきます。
メディアにとって最も大事な仕事、そのぎりぎりの勘所を教えろと云われれば、それは「権力監視」、英語で云うところの「ウォッチドッグ」です。
嘘だと思うなら、新聞記者を100人捕まえて、同じ質問をしてください。
93人はそう答えるし、別な答えをした7人は記者失格です。
特に、大手メディアの記者は高いお給金を貰っているのですから、厳しい緊張と地道な取材を強いられる権力監視にこそ力を注ぐべきです。
権力監視こそがメディアの最大の仕事ですから、メディアが政権批判をして褒められることはあっても、批判されるいわれはありません -
-
Posted by ブクログ
安倍政権とその支援者から徹底的に嫌われていた東京新聞社会部の名物記者、望月衣塑子氏の主張をちゃんと読んでみよう、と思い立って読んでみた。
結論としては、とてもまともなジャーナリストで好感を持った。「記者クラブ」の排他的体質や、アクセス・ジャーナリズムが権力に取り込まれる危険性も、具体例を通じて、ひしひしと感じた。
アメリカ礼賛の意図はないが、権力とジャーナリズムの緊張関係は、アメリカの方が100倍くらい高い、という共著者ファクラー氏(元ニューヨーク・タイムズ東京支局長)の指摘は、意外だった。
権力寄りで有名なFOXニュースですら、ジャーナリズムそのものが攻撃を受けていると感じれば、攻撃先が -
Posted by ブクログ
池上彰さんの本でもしばしば指摘されていた、安倍政権の行き過ぎたメディア圧力。
安倍政権が行ってきたメディアへの介入が具体的に明かされている。
政権からメディアにかかる圧力は、日本よりアメリカの方がずっと深刻らしい。
黙らせたい記者のメールや電話の履歴は、こっそり調べられる。
アメリカのメディアのこともよく分かり面白かった。
著者は、「メディアは権力を監視する役割がある」と考えているから、権力に媚びるメディアを評価しない。
読売新聞(日本テレビ)、産経新聞(フジテレビ)、NHKが政権寄りで、
朝日新聞(テレビ朝日)、毎日新聞(TBS)が政権にモノ申す側だ。
日経新聞や東京新聞については記載 -
Posted by ブクログ
「データ・リテラシー」に興味があって本書を読んでみた。
「データ」というから、割と統計的なデータとか、情報学的なものかと思っていたら、むしろジャーナリズムのお話だったという印象。
とはいえ、「NYタイムズ」と「NYポスト」の区別も知らなかった自分には、アメリカの状況を知る機会となった。
NYタイムズが例になっていたが、新聞社のウェブメディア化が死活問題であるようだ。
日本では対応ができているメディアが少ないという指摘にもびっくりした。
デジタル版は各社出ているからだ。
著者によれば、日本では日経を除いて、スマホに最適化されていない、ということのようだ。
操作性などがどう違うのか、体験してみた