源氏鶏太のレビュー一覧
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購入済み
昭和36年頃
藤澤桓夫、今東光、源氏鶏太と立て続けに読んだ。三人に共通しているのは、昭和36年頃には単行本も文庫本も本棚に並んでいたし、各文芸誌でも名前を見ない日はなかったということだろう。電子書籍という新たな市場で、古本でしかお目にかかれない作家の作品に触れることができるのは、大変な喜びである。これからも、どしどし電子書籍化してほしい。昭和30年から40年頃の流行小説に現れる女性の貞操問題は藤澤桓夫でも今東光でも当然のように言及される。そしてこの「御身」に登場する女性主人公が抱える貞操問題もやはり、それが核になっており、三人ともどこか通奏低音が似通っている。
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源氏鶏太さん作品2
『青空娘』で源氏鶏太さんのことを知り、
ハマって手に取った源氏鶏太さん作品2作目。
面白かった。
あまりにも読みやすくて
この作品が1953年に
書かれたものだと忘れてしまうくらい。
冷静に考えてわたしの祖父母も
まだ学生だったかもしれない時代のことを
こうして小説を通して
知れるってすごいことだな。
源氏さん素敵な作品を残してくださって
ありがとうございます。
全13話のオムニバス形式で
様々な悩みを抱える
新大阪産業株式会社社員たちを
大伍くんと桃子さんがどうにか奮闘する物語。
週休1日だった当時、
『日曜日』というのは
全社会人にとって待ち遠しいものであり、
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購入済み
こういうけれん味のない素直な小説は、昨今の現役作家のものではお目にかかれないせいか、近年源氏鶏太の復刊が相次いでいます。女優の南沢奈央も解説で「時代が違うからこそ面白い」「中毒性がある」「また他の作品も読みたくなる」と絶賛です。
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購入済み
現代ではありえないようなストーリーであるが、登場人物のほとんどが人生に真正面から取り組みながら道を切り開いていくその様に心が揺さぶられる。疲れた時の人生の応援歌
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Posted by ブクログ
杏子がミラクルかわいい昭和ラブコメ。
最高にキュートな恋の駆け引き。
三原商事の御曹司三兄弟と、一般家庭野々宮三姉妹のドタバタラブコメディ。
三郎と杏子を取り巻く会社の人や友人たちもみんな魅力的で憎めないしやたらと銀座でとんかつを食べたりバアで飲んだりあとやたらと道端でばったり会ったりするけどとにかくかわいい。
ラストはちょっと強引にまとめた感あったけど誰も不幸にならない大団円。
杏子の世間擦れしてない感じがキーだと思った。
p92
杏子は、家へ帰ろう、と決心した。家には、大好きな父が、自分を待っていてくれる。そして、母も、楢雄も。しかし、大好きな父も、そして、母も、楢雄も、今夜 -
Posted by ブクログ
富山市石倉町を散歩中、川辺の案内看板に、この地域出身の作家として、源氏鶏太さんが紹介されていたのをきっかけに読んだ。
昭和25年頃、大阪、風間京太氏のサラリーマン生活。社員は皆それぞれの仕方で戦争を経験し、またそれぞれの仕方で会社勤めに戻っている、そのような時代背景。
収録作品のうち、「もう手遅れ会」が大好き。
京太氏が、書庫で探し物をする中で、過去の起案文書に押された先輩社員のハンコから、その先輩の生き様などなどを思い返すシーンに、じんわり涙が出てきた。私はこの主人公の、同じ会社で働く、時に面倒な、時に癖のある人々への対し方が、とても好きだ。
自分は職場の人々に、「かかわらない」という