青木智美のレビュー一覧
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この作家、以前読んだ「魔女の檻」でランナーズハイ状態になった。満を持して代表作「魔王の島」を手に取る。確かにすごい。話はこんなだ。
ある日、新聞記者のサンドリーヌは祖母の訃報を受けて遺品を整理するためにノルマンディー沖の孤島を訪ねる。いわく有りげなその島には4人の老人だけが住んでおり不吉な気配が島を覆っていた。かつてこの島にいた子供たちを死に至らしめた魔王とは?島には第二次大戦中のナチス・ドイツが残していったトーチカが不気味に聳え、姿はないのに鳴き声だけ聞こえる野良猫、島内で不意に流れるシャンソン。そして島の秘密を語ろうとしたフランソワーズが急死し、サンドリーヌの不安は恐怖に変わっていく…。 -
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忌まわしい魔女伝説が残るモンモール村。小さく平穏で退屈なその村に警察署長として赴任してきたジュリアンは、村長から内密の捜査を依頼される。しかしその矢先、村内で謎の怪死事件が立て続けに発生した。村人たちに囁きかける謎の声と奇妙な気配は、古くからこの村に伝えられる魔女のものなのか。不気味な雰囲気が横溢するホラーミステリです。
いかにも平和そうな村の雰囲気に反して、案外と過去にはいろいろ起こっています。村長の娘の不審死、刑務所での火災、そして羊飼いの謎の死。これだけでも充分不穏なのに、さらに怒涛のごとく起こる怪事件……全体としては静謐な印象の物語なのに、なかなかに壮絶でした。被害者たちが徐々に追い詰 -
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これは面白い!私好みでした!かつて魔女裁判で多くの女たちが殺されたモンモール山。麓の村の村長は実業家で私財を投じて村の管理をしていた。村人を襲う幻覚と幻聴。平和な村に赴任した警察署長のジュリアンは着任早々、連続して呪われ、自殺のように死んでいく村人たちの対応に追われていく。次第にふたりの部下とジュリアンにも幻覚と幻聴が現れる。そして最後の大どんでん返し!
先ずは最初から最後まで魔女の呪いというホラーの匂いがまとわりつく。チャールズ・L・グラントのオクスランステーションシリーズを思い出す。あるいは、もはやラヴクラフトの描くアーカムやインスマウス。禁じられた町…平和な田舎町のはずだが、この町何 -
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面白すぎるー!
前作で肉親を守るために自分を痛めつけまくったセルヴァスも、50歳と言う年齢のせいなのかはたまた今回は肉親と物理的に離れてたからなのか、事件に対しても節度ある行動で安心して読めた。
そして事件は私好みの物凄い凄惨なもの。しかもうまく被害者の心象や驚きも描かれてて、後で読み直すとその反応や伏線すべてに納得という感じ。さすが手慣れてる!よっミニエ様!
フーダニット、ワイダニットもそう来たか、いや、そうだよね?と納得感があり、いろんな意味で高値安定のまま着地、素晴らしい。
やー、ほんと、良い読書だったなあ。
ドMなの?と思っちゃう肉親のためなら破滅上等キャラが鳴りを潜めただけで -
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続きを読みたい衝動を抑えきれず、歩きながら読んでしまう危ない本に久しぶりに出会った。
まったく無関係にみえるような登場人物たちが、なぜ、あるものに対して共通の違和感を抱くのか、それが分からないのがもどかしい。まるで何かの象徴のような、思わせぶりのアイテムや歌や風景は、混沌と混乱で作られた沼にわたしを引き摺りこんでゆくのだ。
ずるずると。
小さな島の海岸で異常な数のカモメにつつかれていたのは、腕のない子どもの死体だった。それを発見したのは犬を散歩中の女性で、驚いた彼女が海のほうに目をやると、その海面には更に9人の子どもの死体が浮かんでいた。
全然違う場所にあるのに、同じ時間を指している複数の時 -
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★5 フランスのピレネー山脈で発生する猟奇殺人、重々しくも心臓に突き刺さる骨太ミステリー #黒い谷
■あらすじ
フランスはピレネー山脈で男性の奇妙な惨殺死体がに見つかった。さらに半年後にも同様の猟奇殺人が発生してしまい、憲兵隊ジークラー大尉が事件の真相を追う。
一方、以前事件で停職中になっていたセルヴァス刑事の元に、八年間も行方不明になっていた恋人マリアンヌから電話がかかってきた。かつての恋人を探すためセルヴァスは奔走するも、足取りがわからない。さらに連続殺害事件との関連も見えはじめ…
■きっと読みたくなるレビュー
★5 おもろいっ! 自分がミステリーを書くなら、こんなのを書いてみたいと -
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やってくれたな、今回も!
オープニングから最高に好み、訳の分からないことが起きてるゾクゾク感に包まれ、モンモール村の雰囲気も素晴らしい!
ただ、製薬会社って設定でなんとなーく予想してたことが当たっちゃったよ。ベアゲルター感満載です←ストーリー違いますよ、念のため。
腹がたたない程度にはあ?と思わせてくれるのはルブリならではでしょう。この感覚は彼の作品でしか味わえません。次作にも期待大です。巻頭に村や登場人物イメージした曲が紹介されてて、ググって聴いちゃいました。モンモール村、ジュリアンのテーマが良かったです。道尾秀介氏作品のようで、こういうの大好きです。 -
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すごい
何を言っても確かにネタバレになる
読後の爽快感はない
ただただ凄いもんを読んだな……って放心
ピースを嵌めていく感じじゃなくて、玉ねぎの皮を延々と剥いていく感じ(?)のミステリー
途中まではピース嵌めてたんだけどな
一個謎がひらけたと思って、え?でもこれってさ…って立ち止まるし、物語中でもそうなってる
残りページ数みても、いや絶対まだ謎が解け切ってないじゃない何この残りページ数…ってなるのちょっと嬉しい
一緒に謎を追いかけて行って、ラストは特に嫌だな〜嫌だな〜嫌な予感がするな〜って稲川淳二になってオワ、、、(脱力)になった
フランス人たち名前覚えられるか不安だったけど杞憂でした
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Posted by ブクログ
ベルナール・ミニエ『黒い谷』ハーパーBOOKS。
全仏ベストセラー第1位の警部セルヴァズ・シリーズの第6作。最近では余りお目に掛からない奇怪な連続殺人を描いた700ページ超の長編ミステリー小説。
主人公が停職中の刑事で、8年前に失踪した主人公の元恋人から連絡があり、そこで得体の知れぬ犯人による奇怪な連続殺人事件が発生するという、まるで全方向を網羅する形で興味惹かれる読み応えのある作品だった。
果たして、セルヴァズの警察人生は……マリアンヌは本当に生きているのか……奇怪な連続殺人事件の犯人の正体は……
ピレネー山中の凍結した湖面で全裸状態で腹を斬り裂かれた遺体となって発見された29歳の -
Posted by ブクログ
すごいなフランスミステリー…。
結末に賛否両論あるようで、確かに好き嫌いがはっきりと分かれる作品だと思う。
私はこの結末だからこそ、めっちゃくちゃ心に刺さった。
読んだ後にずっと考えてしまって、しばらく閉じた裏表紙を見てボーっとして動けなかった。
映画を観た後のようだった。
構成がすごいし、読み始めたらダイソン並みの吸引力で物語に吸い込まれてしまって一気読みした。
読んでる時には、中学の時に習ったシューベルトの『魔王』が脳内BGMでずっと流れていた。ピアノの前奏からもう怖い。
今だに中学の時の『魔王』の授業を覚えてるくらい『魔王』の衝撃はすごかった。
この『魔王の島』も同じく忘れられな -
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ネタバレフランスの作家、ジェローム・ルブリの邦訳第二作。邦題の雰囲気が前作「魔王の島」と似ているが、全く関係ないので今作から読んでも問題なし。
小高い山と二つの丘、その下に広がる森に囲まれたモンモール村。古くからの魔女狩りの言い伝えがありつつも牧歌的な村が、羊飼いが羊を殺し自殺する事件をきっかけに一変する…
前作はサイコサスペンス+フランスらしいミステリだったが、今作は外連味が一味も二味も違い、ホラーサスペンスの域。個人的には、版元は異なるが、マネル・ロウレイロの「生贄の門」のしっかりとした捜査パートを、ホラー寄りに振り切った感じ(もちろん、ラストは全く異なるが)。
ミステリとしては前作の方が衝 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2作目?が出るからようやく読んだ。
そんなに調べてないのにラストがねぇーみたいな感想をチラッとみて構えてたけどこの終わりかた好きでした。
脳内で多層化した妄想ミステリーは映画ではよくあるよね〜
アイデンティティーみたいな感じ?って思いながら読んでたし。
島の話、監禁の話どれも興味をひくし、フリだけの面白くない話になってないのがいい。
主人公ダミアンの設定がいいですね。
何かを失い、それに取り憑かれた人生を生きてる人が出てくるだけで面白く感じちゃう。
ラストはメメントみたいでいいですね。メメントに近いなって感じたらもう満足するようになってる。
救われない終わりかたもいいなあ、2作目も期待