伊藤朱里のレビュー一覧

  • 名前も呼べない

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    女の、醜くてどうしようもなくて面倒で鬱陶しくてでも、パズルの凹凸みたいに噛み合えば少しだけいとしいかもしれない感情の起伏。沈んで浮上する、その訳の分からない綺麗とは言い難いエネルギー。好みは分かれそうだけれど、私は好きだったな。

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    2016年11月06日
  • 名前も呼べない

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    「お気に召すまま」の方が良かったですかね。
    表題作の方は違和感を感じつつ読んでたら、サプライズに見事にやられました。

    「穿つ」という言葉がやたらと多用されている印象を受けました。お気に入りの単語なんでしょうか。

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    2016年07月16日
  • 名前も呼べない

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    家庭のある相手と不倫をしていた主人公の恵那は前職の新年会でその恋人に子どもが生まれていたことを知る。最後にネタバラシがあって、おっと思ったけど、それがわかったあとだと題名はもしかしてこういうこと?ってちょっとしらけてしまった。
    文章はすらっと読めるしうまいと思う。けど会話文のセンスが残念で、メリッサは痛々しくて聡明にはいまいち見えないし、ここで一言!って時のインパクトがない。あと新人は短い中でややこしい生い立ちを付け気味。

    『お気に召すまま』離婚経験者の主人公は家族、友人、勤務先の学校の人の中で色々を乗り越えていく

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    2016年04月14日
  • 名前も呼べない

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    すっかり騙されました。しかも後味の悪い方に。
    途中で違和感を覚えつつも「まあ常識的に考えてそういうことはないよな」と思い込んでいた自分への、
    これは罰か、それとも復讐か。
    「名前も呼べない」ことの意味(もしくは意図)が、今になってようやくわかった。
    名前には、意外といろんな意味が含まれているのだ。暗号のように、符丁のように。特に、その「響き」の中に。

    陳腐な感想だけれど、女性はやっぱり恐ろしい。
    主人公の恵那にはほんとうにイライラさせられた。自分が知る小説の登場人物のうちでも一二を争う「嫌な女」だ。少なくとも今年の内では一番の、「嫌な女オブザイヤー」である。
    しかし彼女を打ちのめすのだから、亮子さんも相当な「嫌な女」だ。性悪だ。ほんとうに、恐ろしい。
    それほどまでにこの二人は飢えていて、剥き出しで、朝井リョウ氏の言葉を借りれば「滾っている」。

    例えば母と娘であろうと、姉と妹であろうと、親友同士であろうと、師と教え子であろうと、
    女同士というのは結局どこかでライバル同士であり、もしかすると敵同士であるのかもしれない。
    いや、そんな耳障りの良い言葉では表せないような、「名前も付けられない」関係性があるのだろう。
    それだけにその関係性は正体がつかめなくて、時には強固であり、また逆に脆かったりもする。
    けれどお互いが存在しないと、彼女らは敵同士にもなれない。

    いくつかの「歪んだ愛」に翻弄された主人公が最後に求めるのものが、
    「性別を超えた友情」であるところが印象的だった。
    収録作の「お気に召すまま」では、主人公の父親と妹という肉親が重要な役割を担っている。

    男女の性愛なんて、脆いものだ。
    晩年の漱石作品をふと思い浮かべた。

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    2016年03月24日