春日太一のレビュー一覧

  • 市川崑と『犬神家の一族』

    Posted by ブクログ

    市川崑は…
    著者と同世代のアタクシにとっては「竹取物語」のようなワケのわからない映画を撮るヒト、でした。
    でも後に大映時代の作品や金田一シリーズを通して見直しましたけどね。
    「おとうと」「野火」「悪魔の手毬唄」が良いです。

    本書は金田一シリーズ好きには興味深いエピソードが満載です。石坂浩二のインタビューもあります。

    この著者の良いところは、ダメな役者にはきちんと名指しで批判するところです。
    今回は吉永小百合を"監督クラッシャー"とまで言いきっています。
    誠に正しい評価だと思います。
    「映画女優」はなんでこのヒトが主演なの?と不思議に思い、「つる」はこんな役を演りたがるの

    0
    2017年10月03日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

    Posted by ブクログ

    むかしむかし映画黄金期のことでした。

    映画館の扉が閉まらないほどお客が詰めかけ、面白いように儲かった時代があったんだそうな。
    映画会社はそんな状況にあぐらをかいて大した企業努力もせず、わが世の春を謳歌していました。

    とにかく頭数だけはそろえようとザクのように同じような映画をぽこぽこ量産していたのです。
    似たようなタイトル、変わりばえしないストーリー…
    なにしろ作ってる当人たちもどれがどれだかわからなくなるほどの有り様だったと申します。

    そんな状況にお客はとうとう飽きてみんな映画館に来なくなっちまいましたとさ。ちゃん♪ちゃん♪

    とはいえ、最近の「誰が観るねん⁈」みたいなロクでもない映画よ

    0
    2017年10月03日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

    Posted by ブクログ

    時代劇がなぜ終わったのか。

    とにかく演者、スタッフともに人材不足。
    これにつきると思いました。
    ただ現代劇やバラエティも同じことなんですけどね。
    著者の岸谷"SET"五朗の評価はまことにその通りですが、火野"チャリ"正平の評価はちと高すぎませんか?

    TV時代劇はもうNHK以外は新作はムリでしょ、なんて思ってたら水戸黄門復活のニュースが⁉︎
    しかもまさかの金八っつぁんですって。
    TBSも無茶しますね〜。
    金八っつぁんには昔世話になったからですかね?
    きっと印籠出してから長いですよ、説教入りますからね

    0
    2017年10月03日
  • 「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで

    Posted by ブクログ

    28年間の長期に渡り放送された「鬼平犯科帳」。なぜ視聴者をこれほどまでに魅了したのか。その秘密を製作者や出演者、スタッフのインタビューを通じて探る鬼平ファン必読の書。
    製作者側からも視聴者側からも愛された番組と思う。手抜きがない作り手の情熱がそのまま観る私たちに伝わっていた。リアルタイムに観て、かつ今の時代はDVDやBS・CSで繰り返し出会える。なんて幸せなんだろう。個人的にエンディングテーマが流れると、ほぼ毎回涙が流れた。

    0
    2017年06月12日
  • 「ドラマ鬼平犯科帳」ができるまで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    インタビュー記事の要素が多いのですが、巻末にまとめてじゃなくて、表題ごとにインタビューの日または、掲載日を入れて欲しかったのです。
    錦之助版の一部に"協力 松竹"があったのですが、あれは京都だったのでしょうか。
    スタッフに属人性が高いのは、はじめて知りました。

    白鸚版以外は、丹波、錦之助、吉右衛門版を観たことあります。

    0
    2017年04月15日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

    Posted by ブクログ

    時代劇を瀕死に至らしめた人々への訴追状。著者が自らの一生の生業として名乗っている時代劇研究家としての心の底からの叫び。この熱さは一絡げで時代劇と呼んでしまっているものを成立させてきた人とシステムを徹底的に現場で取材しているからこそ、そしてそのクリエイティブを愛してしまっているからこそ派生しています。誰もやっていないことを選んでいる男の覚悟も感じます。ただ、本書が滅びゆくものの挽歌としてではなく再生への檄文として書かれている印象からすると、今後、著者は研究者としてではなく当事者としてこの芸能に関わるのではないか?と予感するのですが…

    0
    2017年02月04日
  • 市川崑と『犬神家の一族』

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    映画監督市川崑の解説本でありオマージュ本。市川崑業績
    解説,角川映画の第一弾として話題となり,代表作の一つに挙げられる『犬神家の一族』から作風を紹介するとともに,金田一耕助を演じた石坂浩司のインタビューという三部構成。
    『犬神家の一族』は市川監督自身によってリメイクされているけれど,そのリメイク批判は徹底している(私は珠代役は松嶋菜々子が好ましい)。
    石坂浩司へのインタビューがあるためか,内容は石坂さんをヨイショしすぎ感あり。映画プログラムに石坂さんの面白い論考があったのですが,資料として,その点は見落としていると思われるが残念。

    0
    2016年08月07日
  • 市川崑と『犬神家の一族』

    Posted by ブクログ

    市川崑の映像美へのこだわりってやっぱすごいんだな。あと、犬神家がミステリーを映画で成功させた稀有な例というのも、興味深い。引用されてたヒッチコックの話も面白かったんで原典読みたい。

    0
    2015年12月07日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時代劇の危機の原因は何なのか、ひとつずつ整理されている。
    「今のプロデューサー・監督・脚本家が『七人の侍』を作ったら、野武士個々の生活背景や内面・彼らの内部の細々とした人間関係まで丁寧に描きかねない」(169P)
    本当にありそうで怖い…。
    大河の迷走っぷり(6章)は今も(花燃ゆ)なので、いやはやその通りですね、という感じ…。

    0
    2015年07月04日
  • 役者は一日にしてならず

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    このインタヴューの男優の人から、よく名前が挙がる
    高倉健、若山富三郎、勝新、大瀧秀二、志村喬
    やはり俳優としてだけじゃなく、生き方、人柄も魅力的だったんだろうな。

    蟹江敬三、夏八木勲なもう他界してしっまったね。
    このインタヴューが読めてよかった。

    0
    2015年06月12日
  • 役者は一日にしてならず

    Posted by ブクログ

    ま、つまり、年配の男優さんのインタビュー集なんです。
    ただ、一応ねらいとして、女性遍歴とかではなくて、「芝居と言う仕事に取り組んできた歴史」という切り口が意識されている、ということですね。
    夏八木勲、蟹江敬三、平幹二朗、松方弘樹、千葉真一、中村敦夫、林与一、近藤正臣、前田吟、平泉成、杉良太郎、綿引勝彦、伊吹吾郎、田村亮、風間杜夫、草刈正雄、
    という16人。多いですね。一人一人はそんなに長くありません。
    やっぱり、こういう面々に対して、まだ生きている訳ですけど(インタビュー時点では)、

    「日本映画史」「日本の映画、およびテレビドラマ及び演劇まで含めた、視覚物語芸能史」「つまりは、日本俳優史」

    0
    2015年05月30日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

    Posted by ブクログ

    役者・監督・プロデューサー・脚本家、実名を出して歯に衣着せぬ評論を展開している。著者の時代劇に対する熱い思いを感じる。

    0
    2015年05月09日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

    Posted by ブクログ

    時代劇がほとんどやらなくなった今どうしてこんなに衰退したのかどうか論じた本。役者と制作サイドを経済的な支えみたいなものがなくなったせいでどんどんとクオリティーが下がったという意見はほぼ同意。まあ、それは時代劇だけじゃなくて、他のテレビ番組に言えることだけどね。あと、大河がどんどんと朝ドラ化している、主人公中心過ぎてつまらなくなっているという批判も頷ける。特に去年の軍師官兵衛はとてもひどくて見れなかったよ。

    0
    2015年02月01日
  • なぜ時代劇は滅びるのか

    Posted by ブクログ

    分析は平板なのだが、個人的には色々考えさせられた。時代劇が本質的にファンタジーなら、今、その遺伝子は漫画やラノベに息づいていて、「るろうに剣心」がその後継者なんだろう。

    0
    2014年11月03日
  • 仲代達矢が語る 日本映画黄金時代

    Posted by ブクログ

    1932年生まれの、俳優・仲代達矢さん。

    仲代さんがご自分のキャリアを振り返り、語った内容を。日本映画史研究家・春日太一さんが、書いて本にしました。
    春日さんは1977年生まれ。お若いですね。でも、最近、割と精力的に日本映画史の本を出しているような気がします。
    どれも、視点は定まっているし、好感が持てます。さしづめ、DVD鑑賞世代、とでも言いますか。
    そういう若い世代の人が(まあ若いって言ってももうすぐ40歳なんでしょうけど)、堂々と昔のことを本に出来るのは、悪くありません。
    いつまでも、「俺は同時代で知ってるもんね」という評論家・執筆者が数十年変わらぬ芸で商売してるだけでは、良くないですか

    0
    2014年04月24日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

    Posted by ブクログ

    マンションで読む。再読です。題名と中身は異なります。本来、戦後日本映画史だと思います。でも、面白いです。

    0
    2013年09月10日
  • 仲代達矢が語る 日本映画黄金時代

    Posted by ブクログ

    仲代達矢氏へのインタビューを再編し、名監督・名優たちとのエピソードを交えながら日本映画の全盛期の様子を伝える。数多くの出演映画に関する内容から映画俳優としての氏の強い存在感を再認識するとともに、演技に対して妥協を許さない役者としての矜持が窺われる。

    0
    2013年03月03日
  • 仲代達矢が語る 日本映画黄金時代

    Posted by ブクログ

    読み進むうちに、日本映画を見てみたくなった。でも洋画を含めても、『椿三十郎』を凌ぐラストシーンは、私には思いつかない。いいなぁ、室戸半兵衛…

    0
    2013年02月26日
  • 天才 勝新太郎

    Posted by ブクログ

    イオンモールで購入する。バスの車中、ドトールで一挙に読む。正直、期待ほど面白くない。ただし、面白くないわけではない。期待が高すぎただけです。僕のこの俳優への認識は、「迷走地図」、「中村玉緒」、「大麻」です。多分、この認識が世の多数派でしょう。第1に、幹部候補生ではなかった。最初は、ゲテモノ映画ばかりだった。芸術映画、社会派映画は好みではなかった。第2に、脚本家、演出家を兼ねた俳優だった。そのため、脚本家、演出家との衝突は必然だった。黒澤監督が例外ではない。全ての巨匠と衝突している。これは意外だった。最後に、テレビの内情は意外でした。大映崩壊後、組合管理になり、安価な料金で有能なスタッフが雇えた

    0
    2014年07月16日
  • 仁義なき日本沈没―東宝vs.東映の戦後サバイバル―

    Posted by ブクログ

    1973年までに至る、東宝と東映の歴史を描いている。

    戦後の日本映画の歴史を辿るには最適の一冊と言える。
    と同時に、この当時に形作られたシステムが現在にまで
    及んでいる事が分かる。

    映画ファンには必須の本と言える。

    いずれ映画も、また衰退の時期を迎えると思うが、
    そんな中でもいかに時流をつかむことができるのか、
    が、映画には一番重要な事であるという事を本書は教えてくれる。

    0
    2012年04月02日