黒井緑のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「潜水艦L四ヒヤリハット事例」
これはもう、ヒヤリハットではなくインシデントなのではなかろうか。聞き間違いから発生してしまった生死の境を彷徨う事故。艦内では発狂寸前ぐらいの混乱もあったのでは?解決に至った手段の選択は、『フラナガン・ブーン』にあった一幕を思い出しました。あれって、この事故から構想を得たのかしら。
帰還後、しっかり対策をとったことまで踏まえて評価するべき物語。事故の犯人探しでなく原因探しをして、きちんと対策・改善を行う。どれだけの企業がそれをできていることやら。
「ルフィジ川の墓標」
互いに目標を視認できないなか、観測と間接射撃で戦闘するという、ロマン溢れる戦闘の回です。有視界戦闘でなくとも戦いは始まってしまうというのは、戦争を別のフェーズにしてしまったのでしょう。記念すべき最初の戦闘な訳ですか。
ジャングルの河口デルタ地帯という戦場の設定が、フィクションであれば作為を感じてしまうものですが、事実は小説よりも奇なりというものなのでしょうね。
「遥かなるムルマンスク」「ムルマンスク船団を阻止せよ」
ムルマンスクの戦闘を、参加したイギリス・ドイツ両陣営の視点で描いた連作。
連作で読めるのは、とても嬉しい。しかも1冊に収めてくれるのが良い。
同時進行で両陣営を描くのも多角的でいいのですが、一つの方向からの視点を一つずつ用意して、それらが集まって多角的になるのもいいものです。
「投下高度零フィート」
高度0フィートということは着水しているわけで。それを航空雷撃と言っていいものかどうか。航空機による雷撃ということなので、ありなのか。
文言だけ聞くと冗談みたいですが、初者というのはそういうものなのかも知れない。
記憶に残った5作品。 -
Posted by ブクログ
収録されている中では「宮古湾大海戦」が一番馴染みがありました。
全てが作戦計画通りに行くはずもないのでしょうが、単艦突入となってしまったことが、失敗の大きな要因であるだろうし、作戦中止できなかったことも含めて戦力差が全てなんだろうな、と思います。やはり戦術よりも戦略なのね、と。
カバーを外して「ユトラント沖海戦」の追加情報を知る。
作者の趣味全開の作品なので、こういうところも隙がないのは楽しい。あくまでおまけなので、有無の是非は問わないのですが、あると嬉しいよねやはり。
戦争を描いた漫画であるけども悲壮感が少ないのは、戦史を描きたいという方向に振れているからでしょう。賛美でも拒絶でもなく、参考という視点になるのかな。
戦争から何を学ぶか、ということの中にどうやって勝利するか、も当然あると思うんだよね。それが戦史研究なのかな、と思います。もちろん、戦争を起こさない、というのが大前提で、それを学ぶのも戦史だと思うけどさ。
「涼月戦記」で艦の救うために死んだ3名の兵士の話は、事実であっても美談にすることではないと思うんだよな。職務の全うは滅私奉公とは違うと思うので。
そういう感傷の匙加減がさっぱりしているのも、好きな部分です。