あらすじ
「白船」と呼ばれた第二の黒船の物語。日露戦争の勝利により太平洋の覇者となった帝国日本。フィリピン、さらには西海岸の防衛を危惧するアメリカ合衆国。対応を迫られたセオドア・ルーズベルト大統領の回答は米海軍主力、戦艦計16隻による世界就航。14ヶ月、約8万kmに及ぶ空前絶後の世界就航、その全て。
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Posted by ブクログ
元サブマリナーという経歴を持つ著者。いつもニッチともいえるテーマを選んだ作品を記していますが、今回は日露戦争後に、アメリカ海軍が主力戦艦16隻を連ねて世界を周航したことをテーマにしています。
時に日露戦争で勝利した日本脅威論などもあり、世界に対するアメリカのプレゼンスを示す必要があり、当時のセオドア・ルーズベルト大統領の肝煎りで強行された平時の『砲艦外交』の苦闘が綴られています。
改めてこの本で、この航海のことを読んでみると、当時の海軍力を対外的に示しておくことの重要性や、この周航がアメリカ海軍にとって大きな財産となったことがよく分かります。
Posted by ブクログ
日露戦争の勝利によって、太平洋の制海権を手に入れた日本。西海岸が太平洋に面するアメリカが、新たな脅威となった日本に対してとった行動は、主力海軍の世界周航。
時の大統領、セオドア・ルーズヴェルトが強引に進めた大計画。その開始から終幕までを描いた「白い艦隊」。アジアの端っこの小国日本がロシアに勝利したということが、どれだけの衝撃を世界に与えたのかがうかがえます。
世界周航で各国との外交ルートを強化し、同時に海軍の実地訓練もこなす、という目的を達成してしまったのは、壮挙でしかないのでしょう。これ以上ない示威という結果になりましたが、紙一重で自慰で終わった可能性もあったのではないか、と思います。艦隊出発までは、そんな批判もあったのではないか、と邪推してしまいます。
日本語の言葉遊びですが。
強権発動、結果よければ全てよし、の一面もあるので諸手を挙げての賞賛はできないけども、それを封じ込めるほどの実績を上げてしまった、という「白い艦隊」。