板垣巴留のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
無理に三角関係にしなくていい。
前巻までは楽しく読んでたし最新刊まだかなーと期待していたのだが……さすがにご都合主義な偶然が多すぎないか?ジャコウネコの正体は意外性があって面白かったし、シシ組と着々と親睦を深めていくレゴシや年相応の男の子なルイには和んだのだが、メロンとハルには接点を作らなくてよかった。
複数同時視点で物語を進め、一本に収束する形に持っていきたいのだろうが、あの短時間の会話でメロンがあっさり落ちるのは解せない。
そこまで特別な子じゃないからこそ、異種族同士の恋愛や社会の矛盾と等身大の視点で向き合えるのがハルの魅力だったのに、アレじゃ「出会う男がどんな童貞でもサイコパスでも惚れる最強ヒロイン」みたいで違和感。
メロンもハルに即オチしたせいで、アレ……なんかそこまでヤバくない、フツー……?となった(行動は十分ヤバいのだけど)
子供時代のいじめの話は、肉食獣と草食獣のハーフだとこうなるのね!と妙に感心。陰険だなあ。しかし追い詰められたサイコパスって大抵「生まれてきてからだれにも抱き締められたことがない」「愛されたことがない」って言いだすよね……
メロンの裏にはまだ何かありそうだが(主に家族関連)レゴシが真っ白になったの勘違いのせいかよ!!とか、脱力する展開が多かった。ビジュアルががらっと様変わりするんだから、相応の理由がほしかった。
おそらくカチッとプロットを立てず、「このアイディアいいじゃん」とその都度フレキシブルに流れを修正してるのだろうが、今巻は方々で無理がでてる。
キャラクター達が自分の意志で動いてそうなったというより、思い付きの流れで動かされてる感じで乗りきれない。
あと個人的に疑問なのだが、インターネットやSNSが現代の私達の世界並に発達してるのに、食殺事件の犯人は科学捜査で特定できなかったのだろうか?
食殺現場には犯人の体液(唾液・血液)や体毛が落ちてるはずだし、仮に証拠隠滅をはかったとしても目視では限度がある。世界観は面白いのだが、「あそこはあんなに詰めてたのにここはこんなに杜撰なの!?」と、しばしば落差に驚かされる。もうちょっとバランスを是正してほしい。 -
ネタバレ 購入済み
思想が粗末かつ未熟
【世界のルールや、社会的な影響力などが一貫/自律していない】
・法則の曖昧なレゴシの復活のような毛の変化、イマジナリーキメラの概念、新しい裏市の王の過剰な影響力、あやふやな戦闘力
・雑に肯定され、風向きが変わっていたとは言え無かったことにされる肉食主義
・裏市の支配者たちの思想の弱さ、キャラの自律性の弱さ……
【肉食=悪/責任の前提から脱却しない、草食の無責任さ】
ハルもまた、肉食の責任を持つレゴシに対して覚悟や逃避、希死念慮ばかりで、責任や関係性と向き合っている重みがない。
成熟した芯が有る女性かのように描かれているが、草食である事の責任もなく、ヒロインを演じているだけで幼稚。
軽い描写と思想の示唆はあったが、メロンの為の、使い捨ての舞台装置のままで終わっている。
なんとなく書きたいことを書いている感じはするし、大筋は面白いし、巻数も少ないから楽しく読み切れるレベルではある。
ただ、各キャラの思想や主義、醸成した社会に起こり得るう収斂・機関など、あらゆる意味での「架空の存在性」については半端な点や無批判な点が多く見受けられ、「個人の問題」を超えたあたり、つまり、「学園の外」で物語が動き始めた頃から、作品の質や作者の思想の粗が目立つ。
【総じて】
一方的に肉食への嫌悪を向け、美談にしながら理解のあるふりで描く倒錯。
結局のところ特に批判や構造への自問もなく、なあなあで肉食を否定しているだけ。
物語に作者の思想の限界が見える。浅はか。粗末。雑。