一見ファンタジーに見えて、物凄い同時代性を持った作品だと思う。
メロンとメロンの父親の、一体どちらが「邪悪」なのか。少なくとも作者は「父親みたいな奴こそが邪悪なんだ」って言いたげだけれど...僕も同意します。
最後のページがね...。沁みます。ほんの少し世の中が変わったところで、「みんなと同じ幸福
...続きを読む」を2人が手に入れることはまだ難しいんだろうけど、とにかくどうか幸せでいてくれよ、と願います。
朝井リョウの『正欲』と併せて読むべき作品、とか言ってみる。両作はある意味、対になっている。「普通」であるように見えるけど実は双方向ではない愛(『正欲』)と、双方向だけど周りに認められ難い愛(『BEASTARS』)、みたいな。いずれにせよ本作は今の時代に読むべき作品だと思います。
レゴシが世界を変えたと言っても劇的に変えたわけではなく、「一夜で全くもって変わったりはしないけど、確かに漸進していっている」という描き方をされていたのが良かった。
綺麗事じゃなく、みんな愛する人と幸せであるために苦しんでいるし戦っているんだということがきちんと表現されていて良かった。
名作。