佐藤伸行のレビュー一覧
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世界最強の女帝 メルケルの謎
著:佐藤 伸行
文春新書 1067
ビスマルク、そして、メルケル、その時々の危機によくもわるくも、ドイツは、ヨーロッパの盟主を世に送っている
本書は、メルケルとはどういう政治家であるかを語ってくれる
■アンゲラ・メルケル(1954.07.17~)とは
・メルケルは演説がうまいわけでもなく、聴衆に情熱的に訴えかけるタイプではない
・メルケルは、カリスマ性とは無縁であり、ドイツの大宰相でありながら、派手なところはなく地味な印象を与える女性である
・ムーティー(お母ちゃん)というニックネームをもっている。メルケルに子供はいないが、ドイツの国母と言う意味に転化され -
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[読めぬ思惑,曲げぬ思念]第8代ドイツ連邦共和国首相として,2005年からその座を守り続けるアンゲラ・メルケル。謎に包まれた彼女の生い立ちと思考に迫りながら,外政を中心とした近年のドイツ政治を概観した作品です。著者は,ベルリンやハンブルク支局で時事通信社の記者として働いた経験を持つ佐藤伸行。
その影響力に比してあまり日本では伝えられないメルケル首相の横顔が簡潔にまとめられているだけでも大満足。そして,「メルケルとは◯◯である。」と竹を割ったような解説をしておらず,多面的な評価を与えている点にも好感が持てました。タイトルからはなんとなくゴシップ感が漂ってきますが,内容はしっかりとしたものですの -
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ネタバレトランプ大統領の誕生は、米国における白人のマイノリティ転落に対する恐怖(白人によるアイデンティティ・ポリティクスの行使)、急速なグローバル化やインターネットの登場による中間層の没落(豊かだったものが貧しくなったという感覚、インタネットの登場による生活様式の共有への不信)といったより大きな問題を表象しているに過ぎない。こうした社会の流れや急速な変動への揺り戻し、(移民に対して非同化政策を採ったことに起因する)共有できる敵を常に必要とする従来のアメリカン・ウェイという観点から、トランプ政権が徹底して自国第一主義に走ることは当然の予想である。政治的正当性への不信も含めた民主主義の劣化、享楽化(ポスト
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「メルケルさんと一緒にどこかお店に行って、もっと気の利いた洋服を
買って着せなさい」
東ドイツの副報道官に就任した時、東ドイツ最後の首相デメジエール
にこんな言葉を言わせた女性が、ドイツ初の女性宰相になるとは誰
も想像しなかったのではないだろうか。
だぶだぶのスカートにサンダル履き、無造作な髪形。外見を気にしな
さ過ぎる女性が、自分の副報道官だと知った時、デメジエールはさぞ
驚いたことだろう。
元々は物理学者だったアンゲラ・メルケルが何故、ドイツ首相になり、
EUのみならず世界の指導者のなかでも無視できない存在にまで
登り詰めたのかを読み解くのが本書。
なのだけれ -
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4選しそうな状況で一気に読み終えた。
マルケルの謎というよりも、
なぜメルケルの本がこれほどまでに少ないのかも謎だったが、
これを読むことでその理由も理解できた。
ドイツ統一も「そういやこうだったな」も思い出せてよかった。
今ってなんかバラ色すぎるでしょ、
壁が崩れた瞬間だけピックアップして、
その後の困難ほとんどないよね。
何年かぶりにトラバントという単語を思い出した。
(本にはトラバントは出てこないけど)
ドイツと中国は歴史的に見ても親密だが、
なぜか日本ではその認識がないことは大きな問題。
きちんとした歴史認識が必要という著者の主張もよくわかる。
でも結局メルケルってなんなの、とい -
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2005年にドイツ首相に就任したアンゲラ・メルケルについての本。
前半は彼女の生い立ちと首相になるまでを主に、後半は彼女の外交など首相としての機能について述べている。
メルケルが東ドイツ出身だという事実すら知らなかった自分にとって、色々なことを知ることができた。もちろんこれはあくまで一個人としての意見ということを踏まえても、たくさんの知識を得ることができたと思う。
読書ラッシュの先駆け(これから読書を本格的に始めようとする自分)にとっても、小さなトピック毎に話がまとまっていて非常に読みやすい作品だった。
ただ1つ気になったのは、著者がつい1年前に大学教授に就任したばかりだということ。若 -
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メルケルのこと知らなかったんで,前半の経歴部分,勉強になる。
西独で出生後,牧師である父の仕事の関係ですぐ東独へ移住,壁崩壊までひっそりとリケジョをやっていた。
壁崩壊ごろ政治活動開始,「東独出身の女性」ってことで,統一ドイツ誕生とともに大抜擢。
東独最後の首相デメジエール,東独出身で統一ドイツの閣僚クラウゼなど,メルケルに目をかけて引き立ててくれた先輩たちが過去のシュタージへの協力や不正会計で失脚していく中,メルケルの躍進は止まらない。
最終的に彼女は政治的大恩人,コール首相を告発で蹴落とすことで遂に党首にまで昇り詰める。
ちなみにメルケルは前夫の姓で,離婚後も3年使ったその姓を元には戻さず -
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ドイツの現首相アンゲラ・メルケルの生い立ちや政治の分析等を通じて、彼女の「謎」に迫るとともに、現代ドイツの政治的・経済的なパワーや、その問題点にも触れる。
東ドイツで育ち、30代半ばまでは地味な物理学者に過ぎなかったメルケルは、突如政治の世界に飛び込み、瞬く間に頭角を現していき、今や「欧州の女帝」と言っても過言ではなくなった。
本書は、メルケルの生い立ちから現在のドイツ政治に至るまで彼女を追いかけていくが、結局、彼女が何者なのかはよくわからないという結論に達する(原因の1つとして、彼女に関する文献や資料の乏しさが挙げられるだろう。)。
例えば、彼女が関わった大物政治家たちは皆失脚していった -
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女性グローバルリーダーのトップに君臨するメルケルさんですが、詳細全く知らなかったので読んで見たら逆に謎が深まってしまった。。。
シュタージによる徹底監視の東ドイツで育ったことで、安易に人を信じず人を見る力を養い、自分のことも謎に包む姿勢は性格と環境がいかに大きいものかと知った。ドイツでは珍しくないというが別れた夫の姓をここまで世界中に示すのも現在の夫とのプライベートを隠すためなのだろうか。
語学や記憶力、探究心が高いだけでなく、タイミングを待ち、ドイツ国民のためにブレない姿勢がたくましいので、やはりリーダーとしてはついていきたくなる人なのだろう。歴史的な罪の意識を抱えつつ、折れない所を見極め -
Posted by ブクログ
著者も告白するように核心には迫れていないけれども、バイアスで見逃している事実を教えてくれもする、凡庸であるが不誠実でもない本だ。
メルケルの政治の原理をとらえるのが困難であった代わりに読者に差し出されたものとして、特徴的なのは2つほどある。
1つは関わった権力者たちが次々と失脚してきた、あるいはその引き金を引いてさえいるメルケルの足跡や、プーチンのモノマネをするお茶目な姿といった、ややゴシップよりの記事。もう1つは、ドイツの歴史および地政学を踏まえたドイツ政治そのものの変遷。
これら2つはともに中々興味深いものを選んでおり、「メルケルの謎」というタイトルに近づかなくても一応これで満