平野一郎のレビュー一覧
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読むのが苦痛になる本。というのも、彼ヒトラーの主観が強くて、怒りや僻みや妬みのようなネガティブな心象をエネルギー源にした鬱屈した意見を延々とぶつけられ続けるからだ。ポジティブで力づけられる要素以上にネガティブ要素を強く感じてしまうのは、既に私が歴史的帰結を知ってしまっているからなのだろう。
きっと当時のドイツではむしろこの怒りと熱さは共感を持って迎えられたのだろう。
また影を裏に控えた強いナルシシズムも文章から透けて見える。
更に文章自体も繰り返しや飛躍が多く、テンポが死ぬほど悪い。読みにくいったらありゃしない。構成も良くないし文学的な良さは皆無。
こうすべきだ、という主張に対し、都度その根 -
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ナチスがどうして力を得たのか、それを知りたくて読み始めました。人間の弱った時に共通の敵を見つけ(悪いことはなんでもユダヤ人のせい)、選民意識(アーリア人種あげ)を持たせて自己を救うその理論がエグかった…。いろんな潜在的な差別や自尊心をくすぐっていくのがうまくて恐ろしい。
ヒトラー大衆を扇動する方法を知っており、その実行力があったと言う部分はやはり天才だったのかなと思います。
ただ、数々の虐待や戦争はヒトラー1人で成したものではなく、多くの人が賛同した故であることを刻んでおかねばなりません。ヒトラーは無から全てを作り出したのではなく、人々が潜在的に思っていることを都合のいいように言語化して展開 -
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上巻同様の理由で星は3つ。
上巻がヒトラー自身の神格化と思想の謳詠にあったわけだが、下巻は思考を凝縮化し仮想敵すなわちマルクシズムとユダヤ人を作り出し当時の大衆を惹き付け政権掌握をした手法と論説が述べられている。
書籍としては読み難いこと極まりないしアドルフ・ヒトラーが書いたものでなければ読まなかったであろうが、「窮鼠、猫を噛む」が如く賠償と外圧に苦しみ追い詰められたドイツ国民が世紀の大悪人に希望の光を見つけて一縷の望みを託してしまったことに第二次世界大戦の悲劇がある。諸悪の根源をシンプルにヒトラー単独に帰すのではなく、人類すべての連帯責任であったことは留意する必要はあろう。 -
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高評価を付けるとファシストと勘違いされそうなので星は3つ。
アドルフ・ヒトラーが起こした歴史的大罪と自決による責任回避行動を振り返って「人類史上最悪の悪魔」「史上最高のペテン師」などと本書を批判することは容易であろう。だが、発刊当時(1925~1926年)のドイツ(当時ヴァイマル共和政)の国状を考えるとまた見方は変わってくる。第一次世界大戦の敗戦後、パリならびにロンドン協定の賠償金に喘ぐドイツ。自信を無くし未来も見えない中で、極めて論理的に理路整然と国家の将来を説く綺羅星の如く登場したのがヒトラーである。正否は別とし、圧倒的な知識量と天才的発想で課題と対策を提示し超一流の演説術で国家論を語り -
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上巻よりも更に斜め読み。難解。
ほとんど頭に入ってないかも……
私は否定的な感情を盾にしながら、覗き穴から常にチラチラ…怖いもの見たさとはこのこと。
ヒトラー。彼が独裁者になる前の本である。
国家社会主義ドイツ労働者党の党首として、彼は民主主義を民主主義で破壊し、最も優秀なヒトラーが大ドイツ帝国の復活を成すことに全てを懸けて行く。
彼はユダヤ人を世界から駆逐し、共産主義を倒し、最も崇高なアーリア人種の世界を作ることを夢見た。
その後、首相から国家元首として、独裁者に君臨し、ことごとく思想の具現化を進めるに至る。
よくもまあ、こんな本を書いたなぁと思う。
その時代にしか起こり得ない英雄 -
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難解な本。一つの事柄に溢れる感情がテンコ盛り!
長い長い書き言葉に耐えきれず、斜め読み。
なぜヒトラーは歴史に残る通り、極端なまでの政治思想を持つに至ったかについて書かれている。有名なミュンヘン一揆の失敗により、国家反逆罪で有罪判決を受けたヒトラー。裁判では自らの責任を認めた上で、その弁舌で裁判を演説の舞台とし、自らを弁護した。その裁判は終始、ヒトラーに同情的であり、感動すら巻き起こした。
ともあれ、有罪となったヒトラーはリンツ刑務所内で本書を口述筆記した。刑務所では建物内を自由に歩き、面会も制限がなかったそうだ。
彼はドイツの没落を嘆き、ユダヤ人を憎み、民主主義、共産主義を否定した。
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ヒトラー 民族主義的な国家観を論述した本。国家観、読書の方法、多数決(議会制)批判、大衆運動や宣伝のコツ あたりは 興味深く読める
国家観
*国家の権威は 自己目的にあらず
*人間としての権利は 国家の権利を破る
*経済観、経済的発展とは無関係
*自己存在の目標を達成するための共同社会組織
*民族的な有機体
*全体のために個人を犠牲にする能力と意思が 国家を形成する
*資本に対する国家の課題は 資本を国家の召使いにして、国民の支配者であると思わせないこと
読書について
*歴史を学ぶとは 〜歴史的な事件の原因となった力を発見すること
*読書は 本質を保持し、本質でないものを忘れる
*読書は -
Posted by ブクログ
行っていることは民族をちょっと入れ替えればいつでもどこでも言われている自民族優秀、他民族劣等論理で特別な内容じゃない。
また、100%悪な人間はおらずいつも一人一人の正義の争いで負けた者が悪になるんだろうから(受け売りでちゃんと調べてないが、聖書の中で神と悪魔で人を殺した数を集計すると神の方が人を圧倒的に多くの人を殺しているらしい…)ヒトラーのやった中にも経済政策などの良い面があれば評価し見習わなければ折角の人間の歴史の教科書になる部分を捨ててしまうことになるだろう。確かにヒトラーのみに責任を押し付けてお終いにすれば楽だろうが。
そして、気づかずに操られるのが宣伝の効果なのだから自分は操られて -
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ゲルマン人優秀万歳!
ユダヤ人劣等隔離せよ!
な本。
集団をまとめる際には共通の敵を作れに則り、
身近で個別具体例には信じられる内容を織り交ぜながら、冷静に考えるとどうしてそうなるのだけど、想定読者には受け入れやすい結論に導かれる。
ユダヤ人はいつの時代もその特殊環境から勤勉で優秀で強靭で冷徹なためか妬まれるんだね。
日本人も同様に勤勉だと言われる事もあったと思うけど比較的安全に切り離された国土でぬくぬくと少し煽てるとすぐに木に登ってしまうのとは全く別物なのだろう。
当時のまだ世界はバラバラだった時代は多様性があったが、グローバル化で統一化が簡単にはかられる今の時代は簡単に全体でコケる事が出来