太平洋戦争における日本軍という組織の問題点をターニングポイントとなった戦い毎に解析し、問題を振り返るもの。
全般に、ほぼ「組織内融和」、「二重目的」という2つの要因に集約している。
① 「組織内融和」とは、是非の判断を行う際、人間の感情(特に「面目」や「恥」)を使用して実施する「優先度判定」である
...続きを読む、ととらえた。例えば、ある進軍の是非をとらえる際、「あいつは関係が深い後輩だから『無条件に』後押ししてやろう」とか、そういうものであろう。
それが組織を運営する上で問題だったか、というと、「根拠なく後押ししたらいけない」、ということなのだと思う。信頼関係が構築できていれば、後押しすることはよくある。
② 「二重目的」とは、例えば、ある戦いにおいて「空母を減らす」、「基地を奪還する」のいずれを優先するかを明確にせず、「空母をへらし、基地を奪還する」と併記することである。どちらかは一方を達成するためのプロセスだと思われるが、これも①の「組織内融和」の弊害だと思う。
本の中には、これにより「空母を攻める」武器にするのか、「基地を奪還する」武器にするのか、武器の選択が徹底せず、作成が失敗した、とあった。
「組織内融和」を重視するか否か、これがある組織や団体の方向性を決定すると思われる。「組織内融和」を排除せよ、という訳ではなく、重視する性質をもった組織と、重視してはいけない組織がある、ということなのでしょう。