飯田隆のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
複数論理で,名詞に単複の区別がない日本語の文を上手く扱ってやろう,というビッグな取り組み(のまだまだ手始めの部分をきれいに整理してご説明)をしてるという本.例文をいっぱい出してくれてるので,たぶん誰でも頭を働かせながら読むことができるけど,飯田せんせいのプロジェクトとそれに向かって進む議論を十分に把握しようとするのはきわめて難しい.すんなり読める感じがしてじつはかなりの奇書.「三人の」みたいな量化表現をさらっと述語ですよーとやってたりするハンパない本です.
ある程度頑張って追いかけようという人は,文のパラフレーズを一生懸命やってんのは真理条件を考えてるっていうのを意識しながら,とくに1章を丁寧 -
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[ 内容 ]
「68+57=5」は間違っていない。
「+」という記号が「プラス」という概念を表すことの根拠は何か?
現代の言語哲学をリードするクリプキとともに、ことばや記号に内在するパラドクスを解きほぐす。
[ 目次 ]
第1章 グルー(ひとがふだんしている推論の多くは帰納法である;「グルー」が登場する ほか)
第2章 クワス算(「68+57」の正しい答えは「5」である!;同じ話を「グルー」について繰り返してみる ほか)
第3章 懐疑的解決(実際のところ、どれだけ困ったことになっているのだろうか;意味について語ることをやめようという人もいる ほか)
第4章 ウィトゲンシュタイン(懐疑的議論と -
Posted by ブクログ
第一章から第三章まではどこかで聞いたことのある内容だった。永井均の『転校生とブラックジャック』にテレポーテーションの話があるから、その印象が強いかなと。
ただ、テレポーテーションをしていけない理由は永井氏の本には書かれていなかったと記憶する。していけない理由として「商品」となるからというのが突き刺さった。何かを作る楽しみが奪われ、すぐさま用意できるというのは確かに便利ではあるが、幸せでもない。そして、誰かがその権利を独占したら、リベラルではいられなくなる。
第四章は、人間がテレポーテーションされたら、という話からきたのだろうが、毛色が変わった話になる。後の世の人工知能が我々を再現させたいと -
Posted by ブクログ
著者の著作を読むのは本当に久しぶり。以前に読んだのは確か、ウィトゲンシュタインの解説本か何かだったと思う。本書は現在の「新しい」論理学において、日本語をはじめとする日常言語が非論理的だというレッテルを貼られがちであると言う現状に危機感を抱く著者が、日本語を例にとりそこで働いている論理のメカニズムを明らかにしようとするもの。
正直なところ、かなりとっつきにくい内容だと思う。まず何よりも、本書のテーマは日本語の論理構造から日本人の精神構造を抽出しようというような、巷間よくあるようなわかりやすいものからはかけ離れている。日本語は単に日本の一般読者が受け入れやすい題材として取り上げられているだけ