あらすじ
不思議なテレポート・マシーンとの出会いをきっかけに、哲学の基本的な問題をめぐって丁寧に議論を繰り広げる。論理的思考の展開方法も学べるやさしい哲学対話。
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Posted by ブクログ
哲学っぽい内容が書いてありそうなのに、ファンタジーな装置が登場していていて、わりと薄い本だったので、軽い気持ちで手に取った。内容は、ちょっと期待を裏切るものだった。いい意味でなのか、悪い意味でなのか、わからない。語り方はやさしいのに、最終的に時間規模や宇宙規模の壮大すぎる話にまで発展して、体感5割しか理解できていない。でもおもしろいなと思う考えがあって、いつかこの本を読み返したらまた新しい発見があるんだろうな、と思った。何を複製するかによって「まずい」理由が違うことが印象深い。
Posted by ブクログ
第一章から第三章まではどこかで聞いたことのある内容だった。永井均の『転校生とブラックジャック』にテレポーテーションの話があるから、その印象が強いかなと。
ただ、テレポーテーションをしていけない理由は永井氏の本には書かれていなかったと記憶する。していけない理由として「商品」となるからというのが突き刺さった。何かを作る楽しみが奪われ、すぐさま用意できるというのは確かに便利ではあるが、幸せでもない。そして、誰かがその権利を独占したら、リベラルではいられなくなる。
第四章は、人間がテレポーテーションされたら、という話からきたのだろうが、毛色が変わった話になる。後の世の人工知能が我々を再現させたいと考えると、何回も再現させる。ほぼ確実に、我々はその再現された世界に住む一人だというわけだ。しかし、この面白いところは、再現したいと思わなければ、我々は再現されていないことになる。未来の人工知能のさじ加減で、我々がシュミレートされた世界にいるのか、実際の世界にいるのかが決定されるのだが、我々には決して認知されない。重点的には認知されないことよりも、ほぼ確率1で起きることの方に力点があるのだが。