【感想・ネタバレ】日本語と論理 哲学者、その謎に挑むのレビュー

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Posted by ブクログ 2022年04月02日

複数論理で,名詞に単複の区別がない日本語の文を上手く扱ってやろう,というビッグな取り組み(のまだまだ手始めの部分をきれいに整理してご説明)をしてるという本.例文をいっぱい出してくれてるので,たぶん誰でも頭を働かせながら読むことができるけど,飯田せんせいのプロジェクトとそれに向かって進む議論を十分に把...続きを読む握しようとするのはきわめて難しい.すんなり読める感じがしてじつはかなりの奇書.「三人の」みたいな量化表現をさらっと述語ですよーとやってたりするハンパない本です.
ある程度頑張って追いかけようという人は,文のパラフレーズを一生懸命やってんのは真理条件を考えてるっていうのを意識しながら,とくに1章を丁寧に読んでおくとよいだろう.各章のまとめは先に目を通しておこう.
5章はある程度独立してるし,総称文にかんするやや雑多な覚書といった感じなので.みんな読めるはずだし読みなさい.

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Posted by ブクログ 2020年12月13日

 著者の著作を読むのは本当に久しぶり。以前に読んだのは確か、ウィトゲンシュタインの解説本か何かだったと思う。本書は現在の「新しい」論理学において、日本語をはじめとする日常言語が非論理的だというレッテルを貼られがちであると言う現状に危機感を抱く著者が、日本語を例にとりそこで働いている論理のメカニズムを...続きを読む明らかにしようとするもの。

 正直なところ、かなりとっつきにくい内容だと思う。まず何よりも、本書のテーマは日本語の論理構造から日本人の精神構造を抽出しようというような、巷間よくあるようなわかりやすいものからはかけ離れている。日本語は単に日本の一般読者が受け入れやすい題材として取り上げられているだけで、ここで扱われているのはあくまで言語一般の構造だが、これがなかなか一般人には問題意識として共有されにくいのではないか。一応、外国語との比較で日本語が非論理的であるとされる場合に例としてよく挙げられる助数詞の話題からスタートしてはいるが、すぐに専門用語が頻発するやや難解な議論が続く。よほど言語の使用に注意深い人でないと中々ついていくのが大変だろう。

 それでも、苦労して読み進めるうち、著者の言わんとするところが徐々に理解できるようになってくる。言語が日常的に使用される中で、純化された論理学で明示される論理構造が一見見えにくくなっていることが多いが、ここでは実践的な使用に照らしながら日常言語に隠された論理性を炙り出そうと言うのだ。いかにもウィトゲンシュタイン研究者らしい、言語ゲーム的な手法だと思った。どうやら論理学の分野ではまだ受容されているとは言えない著者独自の理論も含まれているようだが、なるほどと唸らせられる場面が多く、後半に行くにつれテンポよく読み進めることができた。

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