宮竹貴久のレビュー一覧

  • 「死んだふり」で生きのびる 生き物たちの奇妙な戦略

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    擬死行動をめぐる謎解き。その研究の展開に胸躍る。
    ファーブルが『昆虫記』のなかで1章を割いているヒョウタンゴミムシダマシの「死んだふり」。被食を避けて生き延びるための戦略という予想はなんとなくつく。しかし、ファーブルはいろいろ実験をしてみたが、決定的な結論を得ることはできなかった。
    個体差が大きかったのかもしれない。そう考えた著者は、同じように擬死するコクヌストモドキを用いて、この行動が顕著な個体とそうでない個体をそれぞれ掛け合わせ、ロングとショートの系統を作り上げる。ここから研究は大きく展開する。擬死行動とほかの行動特性のトレードオフの研究、擬死行動に関与する神経伝達物質の特定、2系統のDN

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    2025年05月04日
  • 特殊害虫から日本を救え

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    使命感と熱意と緻密さによって、地域の農業に安寧をもたらしてきたことが書かれている。また、いま、特殊害虫への対応の体制維持にとって、大きな課題があることに警鐘が鳴らされている。社会を支えている人たちの中には、日ごろ目につかないところにいるエキスパートがいるということを、改めて感じた。

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    2024年08月06日
  • 特殊害虫から日本を救え

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    基本的にはミカンコバエ、ミバエ、アリモドキゾウムシなどの話である。放射線の力を使って不妊化した成虫を放つことで、個体数を減らしていくという、農学部ならよく知っている手法がメインだが、間違ってマーカーの取れた個体をカウントしてしまっていたという苦労などもあり、根絶は容易ではないことがよくわかる。生命とは実に不思議な厄介な相手だと実感する。この根絶作戦がなければ、沖縄の作物を我々が普通に手にすることもなかったのだ。農学部の静かな熱い戦いの物語を読みたい人向けだ。

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    2024年06月04日
  • 「死んだふり」で生きのびる 生き物たちの奇妙な戦略

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    意外と深い死んだふり。
    研究戦略と実験方法は面白い。
    誰もがやらないテーマを見つけて研究するところは見習わないといけない。

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    2024年05月11日
  • 「死んだふり」で生きのびる 生き物たちの奇妙な戦略

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    アリモドキゾウムシとハエトリグモという身近な昆虫を選び実験を行い、海外の論文に投稿する、というプロセスが丁寧に書かれている。
     生物学を専攻する教育養成系大学の学生にとっては、まず読んでみるといい。さらに小中高の教員にとっても、児童生徒に生物の実験を行うことの基本を教えるいい参考となるであろうと思われる。

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    2023年11月12日
  • したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界

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    人間の記述もあって、オルガスムスがないと、精液が体外に流れ出てしまうという説が面白かった。
    エロマンガでは、イっても、逆流する描写があるが、あれは嘘であり、オルガを感じると精液は奥に流れ込む。
    月野定規先生が比較的正しい。
    昆虫の方はいろいろ面白かった。
    メスの生殖器官を閉じる方法論がいろいろあってこれは、SFにおいて応用がきく内容ではないかなと思った。

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    2020年07月07日
  • したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界

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    したがるオスと嫌がるメスの生物学。宮竹貴久先生の著書。男と女、オスとメスとの闘いや生存競争は、人間でも昆虫でも同じなのかも。宮竹貴久先生の研究者としての昆虫の生殖行動の研究にかける情熱が伝わってくる良書です。宮竹貴久先生の素敵な研究者が子供向けに講義をしてくれたら、理科好きの子供がきっと増えるのではと思います。

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    2018年07月29日
  • したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界

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    ■「性的対立」とは「セクシャル・コンフリクト」の訳であり,オスとメスの利害が一致しないことを説明するために提唱された概念。「性的葛藤」や「雌雄の対立」と訳される場合もある。
    ・生物学的に説明すると,より多くの遺伝子を残すという同じ目的に対し有利となるどちらかの性の性質が,他方の性では不利に働く状態を指す。
    ・ファイタータイプの家系では息子に戦に勝ってメスを獲得でき,子を残すために有利となるが,娘では残せる卵数が少なくなってしまった。
    ・スレンダータイプの家系では娘は卵巣が大きく発達し多くの子供を残せたが,息子は戦いに勝てないので縄張りを持てず残せるこの数が少なくなってしまった。

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    2018年07月28日
  • 「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術

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    BS日テレの久米書店で紹介されていた本です。
    虫についてとか。
    遺伝子的に同じような行動をとることもあるけれど、個々の環境によって遺伝子レベルで変化することも長期に渡れば可能だということを言っていたのがとても印象的です。
    たとえば、両親も太っている、その環境にいるから太っているというのはあるけれど、
    本人の意志次第でどうにでもなるということで。

    あー遺伝でー。っていうのは本当に努力が足りないのかなぁとか思ってみたり。
    遺伝しばりで言い訳があることも多々あってなるほどなー。本人次第なんだなぁ。としみじみ考えさせられました。

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    2016年06月21日
  • 恋するオスが進化する

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    本屋で見かけて軽いタイトルに「ふーん」と思っていたのだけど(お気軽進化本って、あるっちゃあるんで)、あにはからんやshorebirdさんの評価が高かったので「ふーん?」と思って読んでみたら面白かった!たくさんの動物行動研究例が出てきてMRK先生の著作を彷彿とさせるが、MRK先生がどちらかというと鳥類とか哺乳類とかの話が多いところ、この著者はガチな虫屋さんで、脊椎動物も出てこないわけじゃないけど、一番力が入っているのは虫!それが、カブトムシとかチョウチョとか分かりやすい虫じゃなくて、じみーな虫。でも行動をつぶさに見ていくと面白い!研究が楽しくて仕方がないって空気が伝わってきて、読んでいて楽しくな

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    2013年07月07日
  • 恋するオスが進化する

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    昆虫や鳥の性差が、どのようにして生まれたのか。オスが派手な鳥、メスに比べて極端に小さいオス。この手の研究は、ここ10年で目覚ましい発達をしているのか、最新の話題が読め、おもしろい。「交尾」を「セックス」としてとらえ、擬人化することにより、わかりやすくなっているが、これが、人間だったら、男が貢がされたりするのはもちろん、食べられたり、ひきずりまわされたり、子育てをさせられたり、といろいろ考えさせられる。

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    2011年12月16日
  • 恋するオスが進化する

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    何故生物が進化するか、は分かるようで分かっていない。ここに来て有力になりつつあるのが、「性行動がバネになって進化するのでは」という説だそうです。主に昆虫の繁殖が紹介されますが、受精の際、メスの寿命を縮める目的で毒素も同時に体内に送り込むもの、などここ10年ほどで常識を覆す発見が相次いでいるそう。

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    2011年12月05日
  • 恋するオスが進化する

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    虫の世界を中心にオスとメスがどう進化してきたのか。
    その関係の同性間の争いや異性との争いなどを通して進化の傾向などをみていく。

    誰とどう争うかで進化の方向性も変わる。
    どのような進化をすべきか、進化をしすぎるとバランスが悪くもなる。

    虫の世界の面白い雑学のはずが、企業にも当てはまる気がしている。
    たかが雑学と侮らず、企業をどうするか考える材料になる一冊。

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    2011年11月30日
  • 「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術

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    正しくは、エボリューションというのは進化ではなく変化である。つまり、退化や縮小も、進化生物学的な正解となる。

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    2025年04月23日
  • 特殊害虫から日本を救え

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    徹底した現場主義のようなものが見られて、改めて実地調査の大事さがわかった。現地の徹底的な調査をもと、現場ごとトライアルアンドエラーを繰り返して問題を解決していく様子は読んでいて爽快だった。とてつもなく大変だったのだろうが。。
    このような仕事をされている方がいることを初めて知った。改めて、日本の食を守ってくれている方に感謝したいと思った。

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    2024年07月01日
  • 特殊害虫から日本を救え

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    先送りの話の人。不妊化して農作物の移入害虫を駆除する話。再侵入があって対応する話がなんかえぐい。働き方改革と相性悪そう。ゴキブリには使わないんだという話が説得力があった。

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    2024年06月15日
  • したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界

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    虫から様々な生存戦略を学べた。
    共通してたのは短所を伸ばして勝負するのでなく、長所または戦略を練って行動すること。

    大顎が発達しているファイタータイプのオスは、戦うことで縄張りを確保しメスと交尾をする。
    逆に大顎が小さいスレンダータイプのオスは大顎が小さいことで腹部が長く精巣や前翅が発達しており
    、分散してたくさんの精子を送り込むことができる。また前者のオスが闘ってるときにメスと交尾をしたりもする。(=スニーキング)

    自分が持っているものに目を向けてそれを活かしたり、逆に持っていないものは戦略でカバーしたりと虫から学ぶことがたくさんあった。

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    2023年10月10日
  • 「死んだふり」で生きのびる 生き物たちの奇妙な戦略

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    死んだふりをする昆虫ゾウムシやコクヌストモドキ、アズキゾウムシなどを捕まえて仕分けて何世代にもわたって実験を繰り返す。結果の面白さの前に研究をする人々に対して頭が下がります。
    この成果が医療の発展につながるかもしれないというのもワクワクします。

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    2022年12月28日
  • したがるオスと嫌がるメスの生物学 昆虫学者が明かす「愛」の限界

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    進化生物学的な個体の努力と遺伝子の戦略が多くのケースで紹介されていて、知的好奇心をくすぐられる。

    からの結論付近の「僕らはみんな生きている」ってのがスッと入ってくる。進化生物学的には今現世に生を得ている個体は勝者であり、一見劣等感を覚えるような特徴でさえ、進化生物学的にはパートナーを見つけるための戦略であるという、ややこしい自己肯定感が生まれる

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    2020年05月15日
  • 「先送り」は生物学的に正しい 究極の生き残る技術

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    人間社会での先送りは生物学的には、人間以外の生き物ではあり得ること。先送りが間違っているとは言えないことなどを知ることができる書。

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    2016年07月19日