宮竹貴久のレビュー一覧
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擬死行動をめぐる謎解き。その研究の展開に胸躍る。
ファーブルが『昆虫記』のなかで1章を割いているヒョウタンゴミムシダマシの「死んだふり」。被食を避けて生き延びるための戦略という予想はなんとなくつく。しかし、ファーブルはいろいろ実験をしてみたが、決定的な結論を得ることはできなかった。
個体差が大きかったのかもしれない。そう考えた著者は、同じように擬死するコクヌストモドキを用いて、この行動が顕著な個体とそうでない個体をそれぞれ掛け合わせ、ロングとショートの系統を作り上げる。ここから研究は大きく展開する。擬死行動とほかの行動特性のトレードオフの研究、擬死行動に関与する神経伝達物質の特定、2系統のDN -
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■「性的対立」とは「セクシャル・コンフリクト」の訳であり,オスとメスの利害が一致しないことを説明するために提唱された概念。「性的葛藤」や「雌雄の対立」と訳される場合もある。
・生物学的に説明すると,より多くの遺伝子を残すという同じ目的に対し有利となるどちらかの性の性質が,他方の性では不利に働く状態を指す。
・ファイタータイプの家系では息子に戦に勝ってメスを獲得でき,子を残すために有利となるが,娘では残せる卵数が少なくなってしまった。
・スレンダータイプの家系では娘は卵巣が大きく発達し多くの子供を残せたが,息子は戦いに勝てないので縄張りを持てず残せるこの数が少なくなってしまった。 -
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本屋で見かけて軽いタイトルに「ふーん」と思っていたのだけど(お気軽進化本って、あるっちゃあるんで)、あにはからんやshorebirdさんの評価が高かったので「ふーん?」と思って読んでみたら面白かった!たくさんの動物行動研究例が出てきてMRK先生の著作を彷彿とさせるが、MRK先生がどちらかというと鳥類とか哺乳類とかの話が多いところ、この著者はガチな虫屋さんで、脊椎動物も出てこないわけじゃないけど、一番力が入っているのは虫!それが、カブトムシとかチョウチョとか分かりやすい虫じゃなくて、じみーな虫。でも行動をつぶさに見ていくと面白い!研究が楽しくて仕方がないって空気が伝わってきて、読んでいて楽しくな
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虫から様々な生存戦略を学べた。
共通してたのは短所を伸ばして勝負するのでなく、長所または戦略を練って行動すること。
大顎が発達しているファイタータイプのオスは、戦うことで縄張りを確保しメスと交尾をする。
逆に大顎が小さいスレンダータイプのオスは大顎が小さいことで腹部が長く精巣や前翅が発達しており
、分散してたくさんの精子を送り込むことができる。また前者のオスが闘ってるときにメスと交尾をしたりもする。(=スニーキング)
自分が持っているものに目を向けてそれを活かしたり、逆に持っていないものは戦略でカバーしたりと虫から学ぶことがたくさんあった。