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Posted by ブクログ
ひと月ほど前に読んだ『「死んだふり」で生きのびる』の著者、宮竹さんの新書本。死んだふりの方は、岩波なんとかライブラリーというレーベル(?)だったからか、研究のプロセスなんかがじっくり語られていたが、こちらは現代社会で働くサラリーマン読者をかなり意識した内容になっていて、「あなたのまわりにもこういう生存戦略をとる人いませんか?」と共感を呼ぶかたちで、生物の多様な生き延び方が紹介されている。
とくに、先送り、ウソつき、寄生、サボり(休み)など、正直や勤勉を良しとする社会においては悪いこととされる所業が、生物学的には正しいのだということを、たくさんの生き物たちの例を引いて教えてくれる。『ザリガニの鳴くところ』で自然から生き方を学んだ女性主人公の姿を読んで生物ものに最近興味を持った私には、読みやすさという加点もあり、ドンピシャの本だった。
弱いものには弱いなりの生き方がある。そもそも、強い/弱いという評価も、その時々の状況における一時的なものでしかない。つらいときというのは、「こうでないといけない、このやり方でないといけない」という思い込みにとらわれすぎて、今の事情に合わない生き方をしてしまっていることがあるかもしれない、と気づいた。
また、どんなメリットも何かしらのデメリットとの二律背反なのだという点も覚えておきたい。たとえば、ミジンコは角がある姿の方が食べられにくくて有利なら、はじめからその防衛型の体になっておけば良かったじゃないかというとそうではなく、角があるほうが成長が遅くなるというデメリットがあるから、その個体の置かれた環境に合わせた最適化の結果として姿が変わるそうだ。だから、新しく何かができるようになったり、今までと違う行動をとったりしたことで何かがうまく行ったときに、「なんで今までこうできなかったんだろう、私は愚かだった」と過剰に過去の自分を悪く捉えることも、「これでやっと正しい私になれた」と勝手にゴールした気分になることも、きっと間違っているのだろう。
終盤に書かれていた、オス/メスの分化は寄生からの共生だったという説もなかなか衝撃的たったので、関連の別の書籍も読んでみたい。
Posted by ブクログ
進化生物学の先生がおかきになった本。
進化生物学自体はダーウィン以降に始まった比較的古い学問分野だが、当初は「生物というのは種の保存のために頑張って生きている」という考え方だったものが、1970年代に主では無く遺伝子が生存競争の中心であるという考え方が生まれた。リチャード・ドーキンスが提唱した「利己的な遺伝子」とうものである。こうしたコンセプトの変化をうけて、日本でも進化生物学は、生物の行動や姿かたちを遺伝子レベルで考えていくものとなった。
本書では、「先送り」や「死んだふり」「擬態」「寄生」といった行動、習性が本当に遺伝子の保存、発展に役立っているのかと言う事の研究を紹介している。
たとえば、死んだふりをするコクヌストモドキが、死んだふりをしない個体より生存率が高いのかと言うのを、この虫を探してきて実験する。
こんな事をやっている学者がいるのかと思うのだが、学問というのは限りなく細分化されているのでいるようである。
何となく生存上有利なのだろうと考えている擬態やカッコウの托卵といった行為が本当に生存有利かどうかを突き詰めて実証していく姿に敬意を表するものである。
しかしながら、多分本書の売りであるのだろうが、こういった生物の行動様式をビジネスの世界に当てはめて演繹するのは如何なものかである。確かに純粋に科学読み物とするより、話題性もアリ販売数も増えるのかも知れないが、少々強引過ぎるところがあるように思う。
私的には、そんな味付けをしなくても十分に面白い本だと思うのだが(^^ゞ
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