あらすじ
近年、世界中で新発見が相次ぎ、進化生物学界で論文が急増中のテーマ「性的対立」。この分野の国内第一人者である昆虫学者が、四半世紀以上の長きにわたる自身の研究成果を紹介しながら、進化生物学の初歩から驚きの最新知見までを明らかにする。より多くの精子をより効率的にばら撒きたいオスと、より質の良い精子を厳選したいメス。そんな繁殖戦略の違いによって生じる「性的対立」と「対抗進化」の世界を、著者は昆虫学の目で問い直す。受精、つまり「愛の成就」に最も重要な決まり手とは何か。われわれ人類の求愛行動への示唆にも富んだ、目からうろこが落ちる一冊。 【目次】はじめに/第1章 ドーパミンが生き方と求愛を決める/第2章 がんばるオス/第3章 オスががんばるとメスはどうなってしまうのか?/第4章 そして「性的対立」が生じる/第5章 愛の最終決定権を握っているのはメスである/第6章 愛はタイミングで決まる/第7章 オスとメスの決別/終章 性的対立とは何か?/おわりに/参考文献
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
人間の記述もあって、オルガスムスがないと、精液が体外に流れ出てしまうという説が面白かった。
エロマンガでは、イっても、逆流する描写があるが、あれは嘘であり、オルガを感じると精液は奥に流れ込む。
月野定規先生が比較的正しい。
昆虫の方はいろいろ面白かった。
メスの生殖器官を閉じる方法論がいろいろあってこれは、SFにおいて応用がきく内容ではないかなと思った。
Posted by ブクログ
したがるオスと嫌がるメスの生物学。宮竹貴久先生の著書。男と女、オスとメスとの闘いや生存競争は、人間でも昆虫でも同じなのかも。宮竹貴久先生の研究者としての昆虫の生殖行動の研究にかける情熱が伝わってくる良書です。宮竹貴久先生の素敵な研究者が子供向けに講義をしてくれたら、理科好きの子供がきっと増えるのではと思います。
Posted by ブクログ
■「性的対立」とは「セクシャル・コンフリクト」の訳であり,オスとメスの利害が一致しないことを説明するために提唱された概念。「性的葛藤」や「雌雄の対立」と訳される場合もある。
・生物学的に説明すると,より多くの遺伝子を残すという同じ目的に対し有利となるどちらかの性の性質が,他方の性では不利に働く状態を指す。
・ファイタータイプの家系では息子に戦に勝ってメスを獲得でき,子を残すために有利となるが,娘では残せる卵数が少なくなってしまった。
・スレンダータイプの家系では娘は卵巣が大きく発達し多くの子供を残せたが,息子は戦いに勝てないので縄張りを持てず残せるこの数が少なくなってしまった。
Posted by ブクログ
虫から様々な生存戦略を学べた。
共通してたのは短所を伸ばして勝負するのでなく、長所または戦略を練って行動すること。
大顎が発達しているファイタータイプのオスは、戦うことで縄張りを確保しメスと交尾をする。
逆に大顎が小さいスレンダータイプのオスは大顎が小さいことで腹部が長く精巣や前翅が発達しており
、分散してたくさんの精子を送り込むことができる。また前者のオスが闘ってるときにメスと交尾をしたりもする。(=スニーキング)
自分が持っているものに目を向けてそれを活かしたり、逆に持っていないものは戦略でカバーしたりと虫から学ぶことがたくさんあった。
Posted by ブクログ
進化生物学的な個体の努力と遺伝子の戦略が多くのケースで紹介されていて、知的好奇心をくすぐられる。
からの結論付近の「僕らはみんな生きている」ってのがスッと入ってくる。進化生物学的には今現世に生を得ている個体は勝者であり、一見劣等感を覚えるような特徴でさえ、進化生物学的にはパートナーを見つけるための戦略であるという、ややこしい自己肯定感が生まれる
Posted by ブクログ
<目次>
はじめに
第1章ドーパミンが生き方と求愛を決める
第2章がんばるオス
第3章オスががんばるとメスはどうなってしまうのか?
第4章そして性的対立が生じる
第5章愛の最終決定権を握っているのはメスである
第6章愛はタイミングで決まる
第7章オスとメスの決別
終章性的対立とは何か
おわりに
p226 生きている虫の個性は、遺伝子をつないできた
進化の勝者である。今、生きていることは、進化生物学
的には。すでに勝者なのだ。だから、臆することなく
個性を際立たせて対立や共存の道を生きている虫に
思いをはせ、明日からの毎日を生きてほしい。
虫のことと描きながら、いつも人に置き換える
イメージを持たす文章を書く、著者。