あらすじ
日本の食を守るための、
想像を絶する戦いの記録。
数十年前まで、九州以北では南西諸島で採れる農作物の多くを食べることができなかった。
当時、ウリ類や熱帯果樹をむさぼり食う“特殊害虫”が蔓延し、法律でこれら作物の移動が禁止されていたのだ。
それが今、ゴーヤやマンゴーが日本全国の食卓に並ぶようになったのは、
害虫根絶に人生をかけた現地職員の、想像を絶する戦いがあったからだ。
本書は、根絶事業に自ら携わり、死闘の現場を間近で見てきた現役昆虫学者による奮闘の記録である。
日本の食を支えた名もなき戦士たちの、努力と情熱と執念をぜひ知ってもらいたい。
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Posted by ブクログ
使命感と熱意と緻密さによって、地域の農業に安寧をもたらしてきたことが書かれている。また、いま、特殊害虫への対応の体制維持にとって、大きな課題があることに警鐘が鳴らされている。社会を支えている人たちの中には、日ごろ目につかないところにいるエキスパートがいるということを、改めて感じた。
Posted by ブクログ
基本的にはミカンコバエ、ミバエ、アリモドキゾウムシなどの話である。放射線の力を使って不妊化した成虫を放つことで、個体数を減らしていくという、農学部ならよく知っている手法がメインだが、間違ってマーカーの取れた個体をカウントしてしまっていたという苦労などもあり、根絶は容易ではないことがよくわかる。生命とは実に不思議な厄介な相手だと実感する。この根絶作戦がなければ、沖縄の作物を我々が普通に手にすることもなかったのだ。農学部の静かな熱い戦いの物語を読みたい人向けだ。
Posted by ブクログ
徹底した現場主義のようなものが見られて、改めて実地調査の大事さがわかった。現地の徹底的な調査をもと、現場ごとトライアルアンドエラーを繰り返して問題を解決していく様子は読んでいて爽快だった。とてつもなく大変だったのだろうが。。
このような仕事をされている方がいることを初めて知った。改めて、日本の食を守ってくれている方に感謝したいと思った。
Posted by ブクログ
先送りの話の人。不妊化して農作物の移入害虫を駆除する話。再侵入があって対応する話がなんかえぐい。働き方改革と相性悪そう。ゴキブリには使わないんだという話が説得力があった。