吉川潮のレビュー一覧
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松岡弓子の『ザッツ・ア・プレンティ』が「父親の介護記録なんだけど、その父親がたまたま立川談志だった」本だったとすると、『談志歳時記』は「恩師に最後まで付き合った教え子の記録なんだけど、その恩師が立川談志だった」という本。
吉川潮が家元を直接看取ったわけではないけど、最盛期から晩年衰えるまでを、関係者の中では一番冷静に見ていた人なんじゃないかしら。それは「恩師と教え子」という関係であり、落語家における「師匠と弟子」の関係とはまったく違う関係なのです。乱暴な線の引き方をしてしまえば、血を、DNAを引き継ぐのが「師匠と弟子」ならば、「恩師と教え子」は世界観を、了見を共有する。こう書くと比較的思っ -
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不祥事で仕事を干された人に仕事場を提供する、来客に家にある品々を贈る、それだけではなく階下のタクシーのトランクに乗せ、雨の中、戸外で客人を見送る、新潟の農家と交流しながら毎年田植えと稲刈りを楽しむ、農家はその人柄をしのんでいる、娘の結婚式で娘を抱き抱え満面の笑みを見せる、ぬいぐるみ好き―。
すべて立川流家元、立川談志のエピソード。談志を表面的にしか知らない人は意外に感じるかもしれません。
傲慢、不遜、乱暴、異端―。家元はそんなイメージで語られることが多いですが、家元に関する書物を読むと根は温かい人だったようです。そうしたエピソードが満載なのが本書です。
ただ、家元自身はこうした心温まるエピソー -
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落語家、5代目春風亭柳朝の伝記小説ではあるけれど、ある典型的な「江戸っ子」の破天荒な一代記として読んでも面白い。
一時は志ん朝、談志、円楽とともに「四天王」などと呼ばれながら、他の3人とくらべるとどうも地味で影の薄い印象のある柳朝だが、この本を読むとそれもまたこのひとの「江戸っ子気質」に理由があったのか、と納得できる。
「自分が主役でないと思ったら、一気に隅のほうに引っ込んで悪あがきを見せない。石にかじりついてでも、ここで逆転してやろうなどという根性がない。淡白、見栄坊、恥ずかしがり屋……」
とはいえなにより落語が大好きで稽古熱心、「芸」で他の3人に劣っているというわけではまったく、 -
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ネタバレ前著、『談志歳時記』(新潮社)とも重なる部分があるが、それは盟友であった家元、立川談志が亡くなるまでの記録であった。
本著は、元落語立川流顧問の著者が、顧問を辞めた以降までを綴った回顧録。
ぜひ立川流ファンには読んで欲しいし、よくぞここまで書いてくれました、と思う反面、気に入っている落語家へのえこひいきと、弟子に対して少々辛辣な部分が目立つ。
大まかに説明すると、気に入っている人はひたすら褒める。しかし、多額の借金をしたあの弟子は許さない、あいつは前座の頃役に立たない等。明らかに、著者の好き嫌いで弟子に対する評価が大きく違う。読み手であり立川流ファンに対して、言わなくてもいいことまで書いて -
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戦後の落語史について書かれたもので、正直に言うとほぼ知っていることばかりであまり期待はしていませんでした。(一時期、この手の本をよく読んだんです。10年以上前だったか)
特に期待をせずに読んだせいか、割と面白く読めました。こういう本とか「モダン・ジャズの名演名盤」とかの本は、判っているからスラスラ読めるし、やっぱり好きだから判っていてもニヤニヤ楽しめちゃうんですね。
ただこの本は、最近出た本だったので。
三笑亭可楽さんとか、文楽円生志ん生から、協会分裂事件前後~小さん政権、志ん朝談志時代...という流れが、ちゃんと2010年代現在に繋がっている感じが読み取れて、それは特に面白かったです。
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東京の落語の歴史を総まとめした一冊。ただし東京のことだけなので、上方のことについては書いてないです。上方の出版希望!
ちょうど落語についてお勉強したい頃で、特に落語社会についてはマジで無知だったものですので、ちょうどいいやと。どうして立川流・円楽一門が寄席に出られないのか、その理由である落語協会分裂騒動って何だったのか、などについてお勉強になりました。また読み直したら流れつかめるかもねー。あと、著者の吉川さんは立川流の顧問なので、立川流・および談志さんについての著述が多いのが特徴。談志さんきいてみよーと音源をさがしにいくきっかけにもなりました。カンシャ。
ただいっぱい落語家さんの名前が出てくる -
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人気落語家のインタビュー本。
立川流顧問の吉川潮だからこそ落語家の本音に迫り、話を引き出せているような感じがする。
特に立川志の輔のインタビューが良い。(ただ志の輔のインタビューではずれというものを見たことがないので、志の輔の答え方がうまいだけなのかもしれない)春風亭小朝や、三遊亭円丈など、なかなかインタビューを見ることができない落語家が持っているのも嬉しい。立川談春や、立川志らくのように、若い時から知っている落語家たちのインタビューも良い。
ただ気になるのが、林家三平や林家正蔵などをくさしていること。著者の本の中で触れているように落語ブームなどは来ていないのだ。そんな狭い落語界の中で足を引っ -
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寄席には1回しか行ったことはないし、リアルタイムに「落語」を聞いたことはほとんどないが、テレビやラジオではよく聞いている。
落語については、日本人のほとんどがその程度の興味だと思うが、これも伝統的な「日本文化」の一つと思い、本書を手にとってみた。
聞いたことのある落語家の名前が数多く出てくるが、その派閥抗争の凄まじさは、いやいや「芸の世界」は厳しいと評するべきか、それとも「人間はどこも同じ」と見るべきか。
ただ、落語の世界で「立川談志」がひとつの新しい流れをつくった「偉大(?)」な人物であったことがよくわかる。
著者は、「立川流顧問」だそうだから、この見解も当然なのかもしれないが、学 -
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[ 内容 ]
その時、円生が怒り、談志と志ん朝は動き、円楽は耐えた…。
落語界最大の抗争、落語協会分裂騒動とは何だったのか。
志ん生、円生の復帰、ラジオ、テレビによる人気の沸騰、立川談志一門の協会脱退、寄席の衰退と復活。
落語史に残る大事件から、時代を象徴する噺家の栄枯盛衰まで。
四十年以上、「東京」の落語を見続けてきた演芸評論の第一人者による戦後落語史。
現在の落語界が見えてくる格好の入門書。
[ 目次 ]
第1章 昭和二十年代
第2章 昭和三十年代
第3章 昭和四十年代
第4章 昭和五十年代
第5章 昭和六十年代
第6章 平成元年~十年
第7章 平成十一年~二十年
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