さんば挿のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一気呵成に読んでしまった!
実に久しぶりに胸のすくような気分と温かな気持ちになれる巻。
キオカ軍の挟撃を受けて苦境に陥る姫様やマシューたち帝国軍。
そんな絶体絶命の場面に登場するイクタは正しくヒーローだろう。
でも、英雄嫌いなイクタに敬意を表するならばこれは、いわば掛けがえのない仲間の帰還だ。
帰ってきたイクタの姿を見出した仲間たちの反応が実にいい。
サザルーフの絶句。
トルウェイの驚嘆。
シャミーユのゆめうつつ。
そして、文句を言いながらも抑えられない涙を流すマシューと、言葉ではすべて否定しながら募らせた想いを語るスーヤがとてもいい。
胸が熱くなった。
そんなイクタの帰還の巻だから、多少チートな展開だとしてもそれはそれでいいよね(笑)
ジャンの作戦とハロの工作のすべてを手玉にとって、ようやく主人公が返ってきたのだと実感する。
いやなんというか、イクタが返ってきて戦闘場面の情報量が10倍ぐらいに増えた気がするな。
そしてハロの件への決着。
もう少し引っ張るかとも思ったけど、イクタが返ってきたならもはや隠し通せるわけがないのだ。
でも、この決着はたぶん賛否両論あるだろう。
そういう意味でマシューはある意味読者の代弁者だといえる。
その疑問と納得いかなさと迷いは読む者の気持ちと同じだ。
だからこそ、これは一つの選択なのだと思う。
こういう選択をする仲間がいる、これはそういう物語なのだ。
そう思えば、これはこれで納得かな。
さて、物語はイクタの帰還という大きなイベントを終えて、これからどう広がっていくのだろう?
新たなキャラの登場でこれまでの軍事だけじゃなく内政と外交にスポットが当たるのだろうか?
続きを待とう。
それにしても8巻読んでからここまで3冊、一気呵成に読んでしまった。
それだけの熱を感じた。 -
Posted by ブクログ
文句なしの殿堂入り。
どれだけ高い評価をつけても、このシリーズの持つ底知れない魅力を表すには足りないと思う。
この巻で特に顕著であったのが、登場人物の人間性の掘り下げ方、特に二面性に関するものだ。それはスパイの心であったり、揺れ動く少女の心であったりによく投影されている。
この巻の後半で少年が仲間に放つ一見論理的でない言葉たちでさえも、物語の中で描かれる人物たちの人間性の奥深さを目の当たりにした後では、奇妙な必然性を持って受け入れられるから不思議だ。
シリーズ毎巻続く物語の濃さは相変わらずで、1冊とは思えない満足感を提供してくれる。もっといろんな人に知ってほしいシリーズだ。 -
Posted by ブクログ
あー、やられた。油断してたよ。涙が止まらない。
シリーズ第9巻は本格的なキオカとの戦い。
イクタ・ヤトリなき状態でマシューが孤軍奮闘するもジャン相手にはいかにも苦しい。
そしてかつてハロであった少女の暗躍。
巧妙に巡らされる妨害工作。
いやこれは、かつてのハロを知っているだけに辛くなってくる。
ただ、少女のその全くの2重人格の構造に実はかすかな希望も感じているのだけど。
とはいえ着々と戦況が悪化していく中、これは今巻はこのままイクタの復活もなく終わるんだろうなと思っていた。
そうしたら、このラスト。
いや、油断した。
だから、かつてすべてを持っていた時代を描いた絵をイクタが見る場面から、涙があふれてきて最後まで止められなかった。
このラストに全部心が持っていかれた。
ついにイクタの目覚めの時。
カギはやっぱりヤトリが彼に残した想い。
ヤトリが彼に与え彼がヤトリに与えた全てのことがイクタの胸に蘇った時、彼もまた蘇ったのだ。
ならば、彼の望みはもちろんヤトリの望みをかなえることだろう。
さあ、日は三度昇った。
次巻が楽しみ。
それにしても、人前で読んでなくてよかった。
ほんとに涙が止まらなかったよ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価:☆5
前回、イクタが旭日連隊を立ち上げたので三すくみの状態からスタート。
トリスナイの企みによってクーデターは泥沼状態に陥ってしまう。
イクタは何とか争いをコントロールし、レミオン派有利の痛み分けにすることによってイグセムの、ひいてはヤトリの職責を減らそうとするが…といったところ。
両大将にも引けを取らずにガンガン攻めていくイクタのカッコよさは安定してますな。
隻腕のイグセムことヨルンザフの跳騎兵部隊の戦いっぷりは鳥肌ものだった。
そしてそのヨルンザフとトルウェイの戦いも大きな見所だったのではないかと。
マシューもそうだけどこうやって戦いを経験することで逞しくなっていくのがいいね。
トリスナイがラスボスって感じですが一体どうなるか。
「命を狙えなかったから……だから、代わりに誇りを狙ったんです」
「ねぇ、ヤトリシノ・イグセム。……あなたは、何のために戦うの」 -
Posted by ブクログ
この作品には新刊が出る度に圧倒されっぱなしだが、新章となった今作でもその勢いは衰えるところを知らない。
やはり今作で最も印象的なのは王女から女帝となったシャミーユだろう。作中で二年という月日が経ったとはいえ、その変容ぶりには唖然とさせられる。
前章では目覚ましい活躍をした騎士団たちも、前章の悲劇から各々立ち直ることが出来ず、過去、そして現実と向き合いながら生きている姿が印象的だ。
とはいえ、そこで読者をがっかりさせたままにしておかないのがこの作者の素晴らしいところ。後半の後宮での一幕には思わず涙させられるし、何よりこの巻ラストの展開、大きな伏線が回収された瞬間には得も言われぬ高揚感があった。
次はどんな展開で読者を圧倒してくれるだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価:☆5
今度の舞台は海ということですが、海戦でもイクタの采配は光る。
爆砲を積んだキオカ艦隊に対抗するために作戦は勿論、船乗りの技量のぶつかり合いもあって燃えた!
この作品は敵も一筋縄でいかないっていうのがいいね。
「この土壇場で選ぶなら――いちばん大きな失敗を犯して、それと正面から向き合ったやつに命運を預けたいと思う」
このマシューのイケメンさといったらもう・・・マシューが主人公でいいんじゃね?w
更に海戦の後はヒオレド鉱山に籠城するキオカ軍の攻略へ。
ここでは再びジャンとイクタが邂逅し、頭脳戦を繰り広げるのが面白かった。
そして今巻は何と言ってもラストのイクタの演説でしょう。鉱山攻略途中で起こったレミオン派のクーデター、イグセムとレミオンで帝国は二分される形になる。そこでイクタが第三勢力としてバダ・サンクレイの息子であることを明かして仲裁に入るとかもうこの先どうなっちゃうんだ!?
誰かが誰かを殺す展開とかだけはやめてくれよ・・・? -
Posted by ブクログ
壮絶、としか言いようのない、最初から最後まで圧倒されっぱなしの1冊だった。このシリーズはいつも分量の割に中身が濃厚なのだけれど、この巻はいつもにも増してそれが顕著だ。
主人公イクタと、ヒロインというより、主人公の座をイクタと分け合っているという表現の方がしっくりくる少女ヤトリ。
いかなる時も手を携え、文字通り互いの全てを知り尽くした連携で、鬼神のような戦果を上げつづてきた二人。その二人が、国を巻き込んだ大きな流れ、陰謀によって戦地にて対立する、よりにもよってその時に、今まで語られてこなかった二人の過去が明かされる……。
物語は過去と現在を交互に行き来しながら、未来に対する予感を孕ませながら進んでいく。「自分の半身」とまでお互いを呼ぶほどの二人が、敵同士として正義も何もない無意味な戦いにおいて相見える。その心中の葛藤はいかほどのものか。自分の心を、記憶を切り刻み、ただ一人の軍人として最愛の者へ刃を向けるその苦しみはいかほどのものか。その境遇を見て、自らの運命に立ち向かう二人の健気な姿に、涙が堪え切れなくなる。
戦闘は神によって差配されているかのような鮮やかさで進み、クライマックスへと突き進む。どうあがいても絶望しかない状況で、イクタが打った一手は?悲劇は止められるのか?
この巻は1章の最終巻という位置付けで、エピローグという形で2章への導入も含むのだが、そのエピローグがまた壮絶さに拍車をかけている。
結末は是非ご自身の目で確かめてほしい。 -
購入済み
在れば覧たかったもう一つの伝説
読み物としてとてもワクワクさせて頂きました。
で、途中ふと思い出したんです。
(決して非難ではなく)よく似た「と在る宇宙の伝説」を。
成りたくなかったのに成ってしまう軍属、そして政治に利用されて成らされてしまった「創られた英雄」、でも結果を見れば部下達も皆納得。
体力面では劣り、精神面では「軍属」の対局に在る「常怠」でありながら皆が考えつかない視点から『ミラクル』な「勝利」を味方にもたらし、必要なためにはあっさり降伏してしまえる辺り。
味方を普通の上官じゃ言わない内容で鼓舞しちゃう『ペテン師』。
数え上げれば切りが無いんですが…
「ってあれ?コレもし帝国側にヤ◯ ウェンリーが生まれていれば…的な?」
それに脇役達もキャラたってます。
はい、私は絶対最終巻まで読み続けますよ、最後の1ページまで。
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Posted by ブクログ
物語のクライマックスに登場する言葉を借りれば、「全身に鳥肌が立つのを感じた。」といったところだろうか。
この本について、何よりも特筆すべきはその内容の濃さだ。印象的なプロローグに始まり、息もつかせぬ展開には、読者としてただただ圧倒されるしかない。なにしろ最初に巻き込まれた事件のくだりを読んでいるときは、この事件だけで1巻が終わると思っていたほどなのだ。
魅力ある文章も物語に華を添えている。主人公イクタが語ってみせる台詞には、登場人物だけでなく読者の私達をも、理屈をすっ飛ばして本能で頷かせる摩訶不思議な力がある。
その内容の濃さ故に、次巻から内容が薄くなってしまうのではないか――物語が佳境に差し掛かる頃にふと頭をよぎる不安さえも、本書のシメに待っている壮大なストーリーにひとたび触れてしまえば、杞憂だと断言できるだろう。
こんな本との出会いがあるから、読書はやめられない。最大限の賛辞を込めて、そうエールを送りたくなる一冊。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまずあれやね、ちゃんと陣形を図面で見せてくれるのは素晴らしいよね。
ファミ通のお気に入り異世界架空戦記の最新刊はそれで戦術がイマイチピンと来なくてテンション上がらなかったんだけど、
丁寧な戦術の説明に細かな戦闘の描写のおかげで、
臨場感あふれる脳内描写で楽しめました。
海戦のオチはしまらなくてそれこそ面白かったですしねw
で、海戦終了時点でまだ100Pあって「長げえよ!」
ってちょっと思ったんですが、
ふっ飛ばすぐらいの急展開ですね。
目の前にライバル置いといて逆方向に引っ張られる的な。
一本道ですまないのは当たり前ですが、
まさかライバル目の前にして…放置するのかなコレ?
いやいや、だとしたらジャンかわいそすぎやろ…
どーすんの??
にしてもイクタ親父の英雄譚は熱かったなー
あの演説でテンション上がらないなら
もうこの作品読まなくていいんじゃね?ってくらい
イクタの行動原理が詰まった演説でした。
今後の展開、楽しみであり恐いですね。
またしんどい展開がてんこ盛りしてそう。
ここでジャンを無視したらそのツケがあとで回ってきそうだし…
さー…、どーすんのか。 -
Posted by ブクログ
隣接するキオカ共和国と戦争状態にあるカトヴァーナ帝国。
その国にある事情で嫌々高等士官試験をしようとしている戦争嫌いで怠け者で女好き少年イクタ。
そんな少年がのちの名将となるとは誰もが予想してなかった。
戦乱渦巻く世界で生きるイクタ少年の半生を描いた作品。
最近、こういったファンタジーの作品が増えていて、脱力系の主人公の作品も結構あると思う。
この作品もその系統なんですけど、構成力、キャラなど頭1つでてる気がします。
主人公が強いわけじゃないけど、知恵を絞って闘う姿もいいし、脇を固めるキャラ達も一癖、二癖あって読んでいて飽きない。
変にコメディに走るのではなく、シチュエーションや言葉のやり取りで笑わせられる。
今後の展開に大いに期待したい作品です! -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価:☆5
本格派ファンタジー戦記第3弾。
圧倒的な戦力差、そして現れる「不眠の輝将」ジャン・アルキネクス。絶望的な状況の中での撤退戦に果たして勝機はあるのか――!? と言ったところです。
いやーホント面白い!安定しすぎてて怖いw
始めはかなり成り行き感が出てたイクタだけど、もうすっかり名将としての風格が出てきてるね。
いつもの軽い感じが消えてた分、読んでるこっちにも緊張感が伝わってきた。
序盤のマシューがかっこよすぎて涙腺熱くなってしまった・・・。
「だったら!――ここで仲間にかける言葉は、『先に逃げろ』じゃないだろうが!」
いつの間にこんなイケメンに(ノД;)
イクタとジャンの戦略のぶつかり合いが面白かった。
時間と共に推移していく戦場の様子も頭の中で容易に思い描けるのは、それだけ文章がしっかりとしている証拠でしょう。
イクタやヤトリ、二人の息の合いすぎなコンビプレイはもちろんだけど、この戦闘で一番褒め称えられるべきはサザルーフ大尉だよね。
自分の能力の限界をきっちりと認めることができる上官なんてそうそういないよ。
サザルーフ大尉にはこれからも出番あって欲しいw
最後に姫様が出てきて、「あ、そういえばいたなぁ姫様」と思ったのは秘密(笑)