日曜劇場『VIVANT』/ノベライズ本(下)
原作:福澤克雄
ノベライズ:蒔田陽平
**あらすじ**
乃木憂助は、公安の野崎らを巧みに利用しながら、日本を最終標的とする謎のテロ組織『テント』の行方を追う。その過程で明らかになるのは、『テント』の指導者の衝撃の正体。国家を揺るがす巨大な陰謀の中、己の正義と向き合いながら、乃木たちは「別班」として行動を開始する――。交錯する正義と裏切りの果てに、たどり着くのは予想外の結末。乃木が最後に選ぶ道とは。
**感想**
原作ドラマを視聴済みだったこともあり、物語の展開はわかっていたはずなのに、オーディオブックで改めて聴くと新鮮な緊張感と臨場感がありました。声優さんの演技力が素晴らしく、乃木憂助や野崎をはじめとする登場人物たちの息遣いや感情が声からリアルに伝わってきます。効果音も程よく挿入されており、まるでドラマCDを聴いているような没入感がありました。
特に印象的だったのは、ナレーター1人で全ての登場人物を演じ分けていた点。堺雅人さんや阿部寛さんのイメージに違和感なく、むしろその声から自然と映像が脳内再生される感覚でした。原作の壮大なロケーションや緊張感あるシーンが、ノベライズを通じて鮮やかに蘇ります。
原作に忠実に構成されているため、ドラマを楽しんだ方にはぜひオーディブルでもう一度物語を味わってほしい一冊です。ただ一ヶ所だけ、ドラマで阿部寛さん演じる野崎が放つ「ミリタリースクール?」の印象的なセリフがノベライズでは普通の言い回しになっていたのが、ちょっとだけ残念(笑)。
来年、原作の続編が発表されるという情報もあり、今から非常に楽しみです。未読の方には、まずはドラマ版を視聴した上でこのノベライズ版に触れることで、より深く物語世界に浸れると思います。