アントン・チェーホフのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
13篇の作品のそれぞれに、翻訳者によるとっても丁寧な解説が加えられています。チェーホフの作品を読むのは初めてでしたが、この解説のお陰ですんなり作品の世界に入っていくことができました。
残酷だったり、皮肉たっぷりだったり、冷笑的だったり、いずれの物語も真っ直ぐではなく捩くれていて、かなり暗くて危ないです。物語の背景となる自然や人々の暮らし振りの描写からして暗い。この暗さはロシアの風土と歴史と社会制度に根差したもののような気がします(因みにチャイコフスキーやショスタコーヴィチなどのロシアの作曲家の音楽も根が暗いですね。何だか似ていると思います)。
「この短篇はユーモア雑誌に掲載された」などと解説にあるけど、こういった作品を「ユーモア小説」なんて言ってよいのでしょうか? ロシアのユーモアは日本人のユーモアとは相当程度違うものだと思いました。
個人的には「中二階のある家」、「牡蠣」、「ロスチャイルドのバイオリン」がよかったです。これらの作品でチェーホフは、人間をちょっと斜めから眺めているようでいて、実はその身も蓋もない本質をズバリと言い当てている気がします。 -
Posted by ブクログ
宝塚星組公演で初めて「かもめ」を観た。それがとても良い公演で、久し振りに宝塚で良いお芝居を観た!という気持ちになったし、特にラストシーンは、今思い出しても胸がざわっとする。
それで、すごく好きになったので原作に興味をもったのと、宝塚版では喜劇としての演出ではなかった(と思う)ので、喜劇としてはどんななのかしらと思ったのだった。
でも結局公演の印象が鮮烈で、それが蘇るばかりで、それはそれでとても良かったし、あっけないけど恐ろしい幕切れはやっぱりたまらないんだけど、わたしの力では違う読み方がいまいち出来なかった…。もう一度読んでみようかなぁ。
他の舞台を観てみたい。 -
Posted by ブクログ
チェーホフはなんかおもしろい。
みんながみんな片思いで報われないなんて筋書きだと、ふつうは悲劇色が強くなりそうなものだけれど、チェーホフはそんな状況を茶化しておどけてるように思える。
冷笑というよりブラックユーモア。そういえばウディ・アレン的と言えなくもないかも? まあそれはいいや。
決して書きすぎず、かわりに「間」をいれるのもかっこいい。
自由なかもめの象徴としてのニーナ。彼女はある日のかもめのようにトリゴーリンという文学者によって他愛なく抹殺される。でもトリゴーリンはそのかもめのことをまったく覚えてない(「覚えていないなあ!」の反復がいかにもおもしろい)。辛気臭いトレープレフはその死すら報われないなあ。 -
Posted by ブクログ
トリゴーリンの台詞に思わず胸がチクチクとした。いつも“そのこと”しか考えられなくて、一つ仕事が終わればまた次の仕事をしたくてしようがない…。大嫌いだけど、そうしなくちゃいられないっていう麻薬みたいな中毒性が創造することを生業とする人には付きまとって離れないみたいなんだ。そのこと、最近になったようやくわかってきた。
大作家ではないけれど、ある程度の成功を手に入れたトリゴーリンの苦しみと、まだ何も手にしていないニーナの彼への憧れ、やりたいことも中途半端で、周りからも認めてもらえないトレープレフの憂鬱…本当に共感できる。どれもこれも、一生涯のなかで散々味合うことになるんだろうな…。
ニーナの有名になるためだったら友達や家族から悪口を言われたってがまんするっていうくだりのあたりは、ほんと、なんか、胸が痛くなるくらい。否定したいけど、否定しきれない自分がいるから…なんともいえない。そりゃ、有名になりたいもんね。だけど、それには犠牲も伴うってこと。
でも、あがいても自分を囲い込む世界を打ち壊せなくて、最後に自殺してしまうトレープレフの気持ちが、一番、今の自分には共感できるかな。
ニーナみたいに、逆境を乗り越えて、自分の弱さに立ち向かう強さを、手に入れなければなと…読んだ後に思う。
ふぅぅー… -
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清水邦夫「楽屋」にかもめの台詞の引用がたくさんでてきたのでどんな話なのか気になって読んでみた。
さらーっと読んだところだと、共感できるところは少なく、おもしろポイントを見つけにくかった。。登場人物が多くて(誰だっけ?ってなる)、この人が主人公!という感じでもなく、俯瞰気味だからかな。
芝居として見るならまた個々のキャラや背景を想像したくなってきて違う感想になるのかも。
母アルカージナがさっぱりしていて好き。なぜか脳内ではラプンツェルのゴーレムのビジュアルをしてた。
読んだ後にネット検索で過去のお芝居のキャストを見たけど、トレープレフ坂口健太郎はちょっとわかるかも -
Posted by ブクログ
映画「ドライブマイカー」と「愛を読む人」で立て続けにチェーホフが出てきて、この映画の本質を理解するにはチェーホフ読まないとダメなんじゃ?と思い、初ロシア文学。なので解説付きのこちらを手に取った。やはりロシア文学、独特のいいまわしが難しい。あと、なんとなく悲しい終わりのものが多い。ねむい、ワーニカ、牡蠣はかわいそうな子どもの話だった。チェーホフが子ども時代に辛い体験がおおかったからそう言う内容が多いと。知らなかった。
いたずら、はちょっと軽いタッチで伝えたい本質も伝わった。かわいい、は、それってかわいいの?と意を唱えたくなるが、男性目線から見れば自分がなく好きな人にひたすら染まる女はかわいいのかもしれない。愛を読む人で読まれてた。奥さんは子犬を連れて、は両思いながらも不倫関係で結ばれない2人の話だった。意外なテーマだ。本編とは別に、チェーホフの言葉で「結婚するなら僕の空に毎晩現れないお月様のような妻がいい」と言っていて、病気のチェーホフはそれが現実になった。この心理は意外とどの男子も持っている願望じゃないか。女性の神秘性や影のある感じ、いつまでも恋人でいたいという。一方で女性は、太陽のような明るく強い男性を好むだろう。そしていつもその温かな光で照らし守ってほしいという。男女の分かり合えなさの序章。もう少しロシア文学を読んで深めてみたいと思う。