アントン・チェーホフのレビュー一覧
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“チェーホフの魅力、たっぷり丸わかり”
チェーホフの作品を読んでみようと思ったきっかけは、『1Q84』(村上春樹)でした。
“チェーホフがこう言っている。(中略) 物語の中に拳銃が出てきたらそれは発射されなくてはいけない。”
こんな記述があり、村上春樹さんが影響を受けているのはドストエフスキーだけではないと知り、興味を持ちました。
訳者の沼野充義さんは、定訳となっているタイトルに変更を加えるといった、あらたな試みをしています。作品選択も素晴らしいです。
年がら年中、恋なしにはいられない、オリガちゃんのお話(「かわいい」)、家庭教師をしている少年の兄と恋愛中の場面をのぞき見されてしま -
購入済み
わかりやすい
舞台の方を先に観て、いまいち掴みきれなかったのでこちらの本を読みました。
本編後の著者の解説がとても分かりやすく、本書と舞台の映像を見返すことでしっくりこなかった部分がとても心地よくふに落ちました。 -
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購入済み
とっつきやすい訳
現代の言葉やニュアンスが織り込まれた訳で、読みやすかったです。
最後の解説で、かもめが「喜劇」と言われる理由がよくわかりました。 -
Posted by ブクログ
わたしが参加している読書会の、10月の課題図書だったので読んだ。
理由は自分でもよくわからないがロシア文学が苦手、戯曲が苦手、ということでチェーホフは読んだことがなかったのだけれども、意外とおもしろかった。
ある夏、ソーリンの(おそらく少し田舎の)家に集まった文化人の会話……としかまとめられないなあ。いろいろなエピソードが重層的に進行するのだけれども、わたしはそのうち、作家志望の青年、トレープレフと、女優志望の若い女性、ニーナのwannabe2人の精神的な破滅と成長の物語が中心なのではないかな、と思った。トレープレフは成長しないwannabe、ニーナは最後の最後で一皮むけるwannabe。わ -
Posted by ブクログ
ロシア文学って“誤解を受けやすい”と思う。その思潮や言動が必ずしも日本人が美徳と考えているものと一致せず、この本は特に、他の露人文豪の作品を並べて見ても、日本人からすると不可解なものが多いように思える。
したがって、自分の感性に合う・合わないだけでこの作品群を評価してしまうのは早合点であり、もっと人間本来の真性に照らして“深く”読むべき。
そうなると分量としては少ないこの短編集の作品を読み終えるのは私にとって意外と時間がかかった。有り体に言うと「この作品、何が言いたいの?」と感じて終わる作品もいくつかあり、1つ読み終えました、ハイ次、とは中々ならず、熟考のためしばらく本を置くというのも1回や -
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Posted by ブクログ
大学のゼミでこの本からとった「いたずら」の一編を読んだ時からすごく気になっていた。そして思ったとおりはまった。
訳者による気合いのはいった解説(もはや「ロシア文学講義」である)が短編ごとに挿入されるのは、ちょっと野暮ったくはある。けどそのおかげで童話「おおきなかぶ」の謎の「一本足」くん(とても笑える)にも出会えたし、リルケの「トスカ」という言葉をめぐる切実な手紙も素敵だし、なによりチェーホフの逸話はどれも面白いので良しとする。
なかでも自分的に大ヒットは「牡蠣」だ。絶賛。大拍手。
解説にもあるけれど、ピュアな想像力を前に「わ!うれしい!」となっちゃうこと請け合いなのだ。
あと女の人にまつわる -
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Posted by ブクログ
訳者の表現が偏りすぎな部分もあるが(とくに他のロシア文学も読んだことのある自分はナッちゃんで興ざめ)、作品ごとに解説があり、全体的に講義をうけているような雰囲気で、自分のようなチェーホフ初心者にはありがたい一冊だった。
解説は、近くて遠い国ロシアのわかりづらい文化などにも及んでいて、これをきっかけにロシア文化を知ってみようと思った。
もったいない。
いままでの人生でチェーホフを知らなかったなんて。
急に詩的な羅列が入る部分など秀逸で、その言葉の選び方のセンスまで憎たらしいほど素敵である。
訳者がチェーホフを「七分の死に至る絶望と三分のユートピア希求の夢」というふうに表現しているのだが、この分 -
Posted by ブクログ
「新訳でよみがえる」ということであるが、実はチェーホフを読むのはこれが初めてである。
翻訳物でしかも古い時代の戯曲の場合、まずその言葉遣いからして馴染めない事が多いが、本書は、現代の俳優に向けての新訳であるということで、非常にセリフが現代的であった。思わず何箇所か声に出して読んでしまった。大変刺激的で演劇的興奮をもたらすセリフばかりである。
演劇界や文学界の事情に疎いため、この作品が「悲劇」として捉えられているということを知らなかった。「かもめ」についてレクチャーしてくれた人も、この作品の喜劇性について言及していたため、最初からそういった目で読んでしまったということもあるがが、しかし読後の感 -
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Posted by ブクログ
やっぱり...やっぱり読みづらい。
チェーホフの本、戯曲ばっかで読み慣れない。
が、内容は好きです。
たぶんハリウッドとか劇団四季からしたら卒倒するレベル(偏見)で話にまとまりがないというか、オチがないというか、グルグル回る気分。
そこがなんとも人間を描いているって感じで好き。登場人物みんなして悩みすぎ。人間性に難ありすぎ。これを喜劇とか言ってるチェーホフも尖りすぎ。
私もこの本をこんな風に楽しんじゃってる時点で、中高時代、流行りの少女漫画の話に全くついていけなかった事実を今更ながら噛み締めることになった。
この本のどこに喜劇性を見つけるかで、その人の人間感が問われようにも感じます。