平井呈一のレビュー一覧
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本書は、東京創元社が1958年から59年にかけて刊行した<世界恐怖小説全集>(全12巻)のうち第12巻が実に60年を経て文庫化されたもの。この全集に収録された作品のうち主要なものがその後の編集を経て、創元推理文庫『怪奇小説傑作集』になったことは知っていたのだが、本書の元版である平井呈一編 ”実話集” のことは良く知らなかった。
Ⅰに収められているのは、いわゆる幽霊屋敷もの。語り口がやや時代がかっていて少し読みづらく、またまとめて一度に読んでしまったので、何編も続くとちょっと退屈を感じてしまった。
Ⅱも実話とはあるのだが、あまりに思いがけない出来事が出来したり(例えば「死の谷」)、一応の -
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数多の西洋怪奇小説の紹介と翻訳で、本邦における怪奇翻訳の礎を築いた、翻訳業界そして編集業界の巨匠、平井呈一。彼の偉業である怪談翻訳集成第2弾、前半は平井をして「近世怪奇小説四天王」と言わしめた4人のうち、M.R.ジェイムズとA.ブラックウッドの傑作選、後半は平井の翻訳者の原点である初期翻訳作品2点の他、彼が翻訳したラフカディオ・ハーンの文学講義や平井氏の翻訳に対する姿勢が見えるエッセー等を収録。
以下、なるべくネタバレなしの収録作品各話感想。
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★ジェイムズ「消えた心臓」(1 -
Posted by ブクログ
後期作品「恐怖」(1917)以外は1890年代の初期作品を集めた、イギリスの古典的怪奇小説作家マッケンの中短編小説集。630ページとかなり分厚くて読み応えのあるボリュームだった。高校時代あたりにマッケンは1,2冊読んでいたようだが、その頃とはたぶん違う視点で読んだ。
いずれの作品にしても、マッケンの興味は「幽霊」でも「犯罪」でもなく、遙菜遠い森に潜む何かや、先史時代の名残を示す存在にあるようだ。日常世界に潜む何かを露出していこうというスタイルは、ラヴクラフトと共通である。というか、ラヴクラフトがマッケンの影響を受けているらしい。
しかし、マッケンの作品では「隠されていた存在」がクライマッ -
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ヴィクトリア朝時代の英国ウェールズに産まれた稀代の作家アーサー・マッケン。牧師の子であったがアーサー王伝説の色濃いウェールズで育った故か、神学と同時に隠秘学(オカルト)にも傾倒し、前期はケルト神話やギリシア神話をモチーフとした幻想的な怪奇小説を連続して発表したが、いずれも当時の価値観に合わず「不道徳な汚物文学」として批判された。第一次世界大戦を経験した後、後期には主にエッセイや犯罪実録を執筆するようになる。
本書はその怪奇小説家としてのマッケンをリスペクトした傑作集である。クトゥルフ神話~ラヴクラフトを経由してマッケンを手に取った。次は『怪奇クラブ』を復刻してほしい。
以下、ネタバレ無 -
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