日本のGDPは名目では1991年から、実質では2006年から伸びていない状況です。物価変動の値を除いた実質よりも名目GDPが良く登場することを考慮すると、日本のGDPはこの20年間成長していないので、殆どの日本人は日本はもう成長できないと諦めているかもしれません。
日本のGDPが伸びない原因について多くの解説を読んできましたが、公共事業を絞りすぎたのも一因です。この本では、地震に強い日本を作るために「列島強靭化」をすればGDPは900兆円にまで成長できるとしています。
日本政府はこの20年、公共事業を削ることばかり考えてきたようですが、昨年(2011)の東日本大震災を契機に公共事業を見直すことで、成長する日本になってほしいと思いました。
特に、デフレとは「生産性の過剰」によるもので、「生産性の向上はデフレを深刻化させる」(p55)というのは私は初めて読んだように思いました。
以下は気になったポイントです。
・レジリエンスの三条件とは、1)致命傷を受けない、2)被害を最小化する、3)すぐに回復する(p6)
・過去2000年間に、東日本→西日本→関東大震災と連動していることが3回ある、それは2-20年間の間隔がある(p37、47)
・東京地下は、日本列島が乗っかる4つのプレートのうち、実に3つもが複雑に入り組んでいる場所であり、地震場発生するパターンも多い(p40)
・関東に震災が起きた時の被害総額は112兆円とされているが、この推計は M7.3を前提としている、現時点では震度7は想定外とされている(p43)
・デフレとは生産性の過剰によりもたらされるので今や生産性の向上は不要、生産性の向上はデフレを深刻化させる(p55)
・現代の20・30代から40代までの世代の精神構造は、そのひとつ前の世代の平和ボケの精神構造から、好むと好まずに大きく乖離している(p67)
・西日本の沿岸部は、巨大な津波が予想されている、特に、紀伊半島・四国と九州の太平洋沿岸部(p97)
・都市の発展にとっての切り札として挙げられるのが、新幹線を中心とした鉄道整備(p104)
・明治9(1876)の人口ベスト15と現在を比較すると、和歌山・徳島・富山・金沢・熊本・鹿児島・函館は、政令指定が受けられなくなった、これは相対的に衰退したことを意味する(p105)
・新幹線の整備投資が行われた都市は発展し、そうでなかった都市は衰退したのが、日本の近現代の歴史である(p110)
・函館ー札幌間は300キロも離れていて東京と名古屋ほどに離れていて、現在は3時間以上かかるが、新幹線ができれば1時間程度で結ばれる(p114)
・九州方面は東日本大震災の翌日に、博多ー熊本ー鹿児島の九州新幹線が開通した(p115)
・国債の問題を論ずるときには、「政府はどんな対処ができるか」という論点がすっぽり無くなっている(p138)
・金融政策(政府が国債を販売と同時に、日銀が購入)が採用可能である限り、日本国政府は一般の法人や世帯よりも破綻に至る陥るリスクを格段に低く抑えられる(p140)
・アメリカのFRBは、リーマンショック後、たった2年で日本円にして235兆円もの大量のおカネを、米国債を購入することを通して市中に供給した(p146)
・古い体質を変えなければ成長はありえないということは以下の2点で現実と乖離している、1)高度経済成長は古い体質から生まれた、2)行政改革、構造改革、事業仕分けは古い体質を改革しようとしたが、その結果、日本は一斉成長しなかった、いずれも需要を減らして供給を増やすデフレ促進策だったから(p156,159)
・円高基調の最も根本的な原因の一つがデフレ、このデフレこそが日本企業の海外移転と国内産業の空洞化の根本的な原因となっている(p194)
2012年9月30日作成