清水一行のレビュー一覧

  • 毒煙都市(電子復刻版)

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     1932年7月7日に勃発した盧溝橋事件の直後の、9月25日にM市の弾薬や肥料等を作る化学工場で2度の爆発事故が起こり、黄白煙が市内に流れ込む。直後より近隣の子供たちを中心として消化器症状や咽頭痛を訴え、症状のある子どもを連れた親たちが開業医の元に殺到する。事故直後より、赤痢と決めつけて対処を始める行政機関。臨床を知る医師達は、検便検査等を行わず連日徹夜で治療に奔走する。あまりの惨劇に、医学部や行政が動き出し対処にあたる。原因は赤痢か。赤痢であるなら上水道が原因だ。しかし、上水道は治水の悪いM市より遠く8キロ離れた水源から運ばれ、特許も持つ当時としてはほぼ完璧の濾過浄水機能を備えており、治水担

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    2022年11月13日
  • 敵対的買収

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    会社法で取得制限株式の制度が定められる以前の、実際の事案がベースになっていると思われる小説。

    驚いたのは、TOBに関すると言うよりも、単身赴任サラリーマンの悲哀に関する描写が、事案のそれを上回っていた事だろうか。

    どちらかというと、そっちが面白かった☆5つ!

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    2014年05月21日
  • 相続人の妻

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    山種証券の2代目の話。バブルが崩壊して飛ばし、損失補填で苦しむ。さっさと処理しておけばよかったのだが相場の反騰に期待してズルズル、どんどん損が巨大化。弟のヤマタネに助けてもらうチャンスもあったのにズルズルいっちゃって大蔵省も乗り出してきてあーあーで終わり。時代の空気感を味わう。どこまで本当かわからないが、雲隠れのところはちょっと酷すぎたな。

    結局は弟に助けてもらうが、財務不安は収まらず、このあとは怒涛の金融再編、銀行支配が強まり傘下に。さくらフレンドそしてSMBCフレンドになり、今は日興。ヤマタネ、山種美術館は残った。

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    2025年06月22日
  • 小説 兜町

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    この時代の良くも悪くもダイナミックさを随所に感じる作品である。現在の日常と較べて生きている実感、喜怒哀楽、浮き沈みをより感じることができる。

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    2022年11月20日
  • 追われる男

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    プレハブ住宅メーカーのワンマン経営者多河久雄の物語
    北九州で社員3人で創業、ブームの乗り業績を伸ばし
    東京進出、東証2部上場するがバブル崩壊、中国進出するが中国の政治社会風土に苦戦、阪神大震災で作業員の手配にヤクザを使いまたその縁で粉飾を理由に恐喝され・・・などで多額の借金を背負うはめに・・・
    最後は富士の樹海で白骨遺体で発見される。
    自殺か殺されたのか?????
    第一章の中国に借金を取り返しに行き現地で行方不明に・・・
    これにつながるのか。

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    2013年02月12日
  • 乗 取 り

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    昭和48年のオイルショック後の物不足パニック(トイレットペーパー洗剤)を背景に洗剤会社が巧妙な罠で乗っ取られる「乗っ取り」
    企業ぐるみ選挙、まさかの落選、選挙運動に携わった者が責任をとらされ左遷「企業爆破」賭けゴルフで何千円と動く「餌食」遠い昔の光クラブ事件を題材にした「遠い金脈」他

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    2013年01月07日
  • 直訴

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    6つの短編。それぞれおもしろかった。
    オーナー経営者の決断、ライバルとの出世競争、ワンマン創業者の末路
    公害企業の広報マンの苦悩・・・・

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    2013年01月04日
  • 絶対者の自負

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    キャリア官僚の天国から地獄
     金融庁での情報漏洩の責任をとらされ民間銀行へ
     そこでも行員の着服、幼なじみからの裏切り(架空投資話)
     絶対者(新聞記者)から追い込まれていく

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    2012年12月20日
  • 小説 兜町(しま)

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    4~5回は読んでるでしょうか。本田やソニーがベンチャーだった時代のお話。普通に配当利回り1割二分とかって話出てくるw
    株式投資で稼いでるところを見たことがないヘタクソなうちの母親ですら稼げたという時代ですからねw羨ましい時代ですね。

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    2012年12月18日
  • 逆転の歯車

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    この本は某総合商社の一役員が「大企業」というレールにうまく

    乗っかったばかりに吸えるだけの蜜を吸い、一方で痛すぎるとばっちりを食らった

    ある男の小説。



    「30代前後から実社会での適応力をベースにした、本当の意味の実力時代、そして

    30代後半から40歳代前半にかけての7,8年が、社の内外の事情や偶発的なものを含めて

    運命左右の段階ということである。」



    該書を呼んだことがあるか、同僚や先輩方に聞いたところ、ほとんどの人がその存在を知らなかった。

    自分たちの歴史を少しでも知ろうと思わないのか、少し不思議にも思った。

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    2010年08月16日
  • 器に非ず

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    本田宗一郎と彼を支えたNo.2藤沢武夫に焦点を当てて対照的に且つ、陽の目を見ない藤沢を重点的に書いた作品。
    もちろん小説なのでフィクションではあるのだけれども、企業小説だから時系列的に起こる事象はほぼ事実。
    天才と秀才。そのくくりだけじゃ言い表せない何かが伝わってきて、良かった。

    20年前の作品らしいけど全然読める。むしろ周り周って新しい。

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    2009年10月04日
  • 暗黒の月曜日(ブラック・マンデー)

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    短編集
    ・暗黒の月曜日 勧角証券?
    ・星の失墜 東京エレクトロン ウィキでは情報封鎖?
    ・漁夫の利 オークマ(大隈鐵工所)、東海銀、大隈武雄→松谷昭

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    2025年06月28日
  • 真昼の闇

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    野村の大田淵小田淵時代の損失補填から酒巻時代への話。
    本のストーリーとしてはどうっちゅうもんではない。あー、あの時のあれねーと時代の空気感や精神を味わう小説といえる。

    バブル期に日本を動かした人たちは戦前戦中生まれ。
    単純に忠誠心を買われて目をかけられただけで凡人が役員へ引き上げられる。まあ、そんなもんで、企業でもそういうもの。住友も磯田は高卒の人間を自分が出世すると共に引き上げていってイトマン事件へつながっていく。バブル期のみならず現在も。トヨタ自動車すらそういうとこがあるようで。

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    2025年06月22日
  • 小説 兜町

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    昭和の相場師を主人公にして虚実ないまぜにして、当時の熱狂を描き切った作品。
    当時を懐かしむ世代には響くのかもしれない。
    自分は相場師が資本市場で必要とされているプレイヤーというよりは、人間の欲望を満たす為の存在としてしか捉えられず、この物語には没入出来なかった。
    後半に向けて、市場経済としての行く末を論じていたりする記載も増えて、難解だが読みごたえがあるな、と感じた。

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    2023年02月21日
  • 敵対的買収

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    1985〜1988年の3年に渡って展開された、長野県の企業同士である、ミネベアによる三協精機の敵対的買収劇の始まりから決着間際までをモデルにしたお話。

    日本におけるM&Aの第一世代の話として有名らしい。買収は結局、攻め側の社長の病気と資金枯渇で三協精機側の逃げ切りに終わる。

    作品のその後の話。16年後の2004年に、三協精機は日本電産(Nidec)の子会社となり、ミネベアは先代の攻めのスタイルを継承した娘婿がM&A路線を継続し、日本電産と同じ一兆円企業に。

    作中の男女関係は、流石80年代だけあって現代の感覚からはかなり見苦しい。

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    2023年01月29日
  • 動脈列島

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    昭和49年の作品の文庫。
    10周年を迎える新幹線を爆破する
    というテロリストとの戦い。

    …なんですが。
    騒音公害で知人が死んだという
    テロ犯人側からも書かれているので
    そちらの事情も理解できる。

    サスペンス部分より
    当時の技術や交通、世相がわかる
    懐かしのミステリでした。

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    2021年03月03日
  • 風の神様

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    実在する人物を基にしたフィクション。
    愛人の存在とか人間関係とかは作者の創作が入っているだろうけど、破滅への時系列は概ね事実に即していると思う。

    なんというか、バブル崩壊後は珍しくもないと知りつつも、後半の金策に駆けずり回り、最後に勢いで自殺による生命保険を当てにするに至る描写は、読むだけで胃がいたくなる。
    マチ金にまで手を出している以上、実際にはこれでも生ぬるいほどの過酷な場面もあっただろう。そういう時代だったし、盛者必衰の理というのはわかっているが、それでも居た堪れない。

    一方で、不況と言われて久しい今になって読めば、ただ可哀想では済まず、なんてバカなんだと呆れてしまうのもまた真理。狂

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    2016年02月06日
  • 歪んだ器

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    舞台は東京北千住
    ボケはじめた母親とその子供たち(長男、長女、二男)その嫁、夫の物語
    介護、家族の秘密、家業のクリ-ニング業の倒産、さびれた商店街の再生
    今まで読んだ清水作品とは一味違うほのぼのとした作品。

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    2013年02月09日
  • 勧奨退職

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    気楽に読める7つの短編
    現実の企業を想起させる会社が出てくる
    半田自動車、音響メーカーのフロンティア、マスコミのミツワなど。
    男と女の人間模様を描いているがあまり印象に残る作品はなかった。

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    2013年02月01日
  • 直訴

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    五話入り、短編集です。サブタイを付けるならずばり、「社会に揉まれる男たちの苦悩~ザ・勝ち組中年~」って感じでしょうか。
    主人公はみんな中年(勝ち組)。なぜか家庭の話はあまり出てこず、もっぱら「会社」「地位」「女」の三大プロブレーモで悩んでます。
    どうやらこの三つ、三角関係であることが多いらしく、お互いがお互いの足を引っ張り、挙句の果てにどれを取るか悩むみたいです。

    各話、短いわりには内容が濃く、薄っぺらい人間などもありませんでした-が!話のポイントが明確になってなく、最後まで読んでようやく、「あ、この話は女がメインだったんだ~」と気づくことしばしば。

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    2011年05月16日