清水一行のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1932年7月7日に勃発した盧溝橋事件の直後の、9月25日にM市の弾薬や肥料等を作る化学工場で2度の爆発事故が起こり、黄白煙が市内に流れ込む。直後より近隣の子供たちを中心として消化器症状や咽頭痛を訴え、症状のある子どもを連れた親たちが開業医の元に殺到する。事故直後より、赤痢と決めつけて対処を始める行政機関。臨床を知る医師達は、検便検査等を行わず連日徹夜で治療に奔走する。あまりの惨劇に、医学部や行政が動き出し対処にあたる。原因は赤痢か。赤痢であるなら上水道が原因だ。しかし、上水道は治水の悪いM市より遠く8キロ離れた水源から運ばれ、特許も持つ当時としてはほぼ完璧の濾過浄水機能を備えており、治水担
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Posted by ブクログ
実在する人物を基にしたフィクション。
愛人の存在とか人間関係とかは作者の創作が入っているだろうけど、破滅への時系列は概ね事実に即していると思う。
なんというか、バブル崩壊後は珍しくもないと知りつつも、後半の金策に駆けずり回り、最後に勢いで自殺による生命保険を当てにするに至る描写は、読むだけで胃がいたくなる。
マチ金にまで手を出している以上、実際にはこれでも生ぬるいほどの過酷な場面もあっただろう。そういう時代だったし、盛者必衰の理というのはわかっているが、それでも居た堪れない。
一方で、不況と言われて久しい今になって読めば、ただ可哀想では済まず、なんてバカなんだと呆れてしまうのもまた真理。狂 -
Posted by ブクログ
五話入り、短編集です。サブタイを付けるならずばり、「社会に揉まれる男たちの苦悩~ザ・勝ち組中年~」って感じでしょうか。
主人公はみんな中年(勝ち組)。なぜか家庭の話はあまり出てこず、もっぱら「会社」「地位」「女」の三大プロブレーモで悩んでます。
どうやらこの三つ、三角関係であることが多いらしく、お互いがお互いの足を引っ張り、挙句の果てにどれを取るか悩むみたいです。
各話、短いわりには内容が濃く、薄っぺらい人間などもありませんでした-が!話のポイントが明確になってなく、最後まで読んでようやく、「あ、この話は女がメインだったんだ~」と気づくことしばしば。