下村湖人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
朝に道を聞けば、夕べに死んでも悔いなし。永遠は現在の一瞬にある。刻下の道を生きる心こそ、生死を乗り越えて永遠に生きる心なのである。
本当の力があるか否かは努力して見た上でなければ分からない。力の無いものは途中で倒れる。倒れもしないうちから、自分の力が足りないことを予定するのは点に対する冒涜だ。相手に言い訳するとともに、自分自身に言い訳している。
それは、お前の求道心がまだ本当には燃え上がっていないからだ。本当に求道心が燃えていれば自他におもねる心を焼き尽くして、素朴な心に帰ることができる。素朴な心こそ、仁に近付く最善の道だ。
世の中の進歩を望むものは、その進歩のためにまず己自身を進歩させ -
Posted by ブクログ
FeBeのオーディオブックで聞きました。「論語」は倫理で勉強した程度の知識しかなかったですが、このように人間味があるとは意外でした。
孔子の考えの深さの印象深さもさることながら、弟子や諸侯の小人(俗人)っぷりに人間味を感じました。
孔子のそばで様々なことを聞いていても妬みや打算が出てしまったり、支配階級であっても孔子に対して恐れを感じて遠ざける、でも打算から近くに寄りたい、など。
孔子の考えは共感しきれなくても、周囲の小人っぷりには非常に共感できる。あー、こういう気持ちはよく分かる。私もこう感じるだろう!って。
その小人に共感した後に、孔子の言葉を聞くと頭が下がります。弟子だったら頭下がりっ -
Posted by ブクログ
孔子と弟子とのやり取りを描いた「論語」を、生涯を通して論語を研究した著者が、ストーリー仕立てで再構成したもの。
人物の心理描写がとても生き生きと生々しく描かれていて、すんなりと読むことができた。
本当に紀元前5世紀の書なのか?と思えるほど、人間の抱く悩みは古今東西ここまで共通するのかと思わされる。
あらゆるタイプの人物が弟子として描かれていて、一人は共感できる弟子がいるのではないでしょうか?
こんなことやってしまうな、思ってしまうな、とつい弟子に感情移入してしまい、緊張感を持って孔子の発言に聞き入ってしまう。
個人的に刺さったのは、「自らを限る者」の章。弟子の冉求(ぜんきゅう)は、孔子の