高橋順子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
月の名前のほかに、月を題材にした俳句や和歌、著者による詩とエッセイ、美しい写真が散りばめられた本。
特に印象深かったのは、「有明月」。
国語の授業で習った和歌では、決まり文句のように頻出する上、恋人への恨みがましさや別れの切なさが歌われるので、うんざりしていた。
しかし今改めて解説を読むと、心に沁みる。異名の数をとっても群を抜いており、古代の人が特別な想いを託してきた言葉だとわかる。
月の名前は、月そのものの美しさや季節の風物詩から名付けられたものが多いようだが、「有明月」は、月の姿よりも人の心情の方に思いが至る。
ちなみに、2017年の中秋の名月は、10月4日(水)とのこと。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ茨木さんの詩集2冊目。
前回の詩集と若干ダブっている。
好きな詩は2作品。
『知命』:
「知命」とは「五十にして天命を知る」(論語)から五十歳の称らしい。
小包の紐のほどき方やこんがらかった糸の束をなんとかしてよ、と人から言われ鋏で切ったら、と言っても了解しないので、もそもそと手伝う。
「ある日/卒然と悟られる/もしかしたら/たぶんそう/沢山のやさしい手が添えられたのだ/一人で処理してきたと思っている/わたくしの幾つかの結節点にも/今日までそれと気づかせぬほどのさりげなさで」
これまで何事も一人でしてきた、とおごっていてはいけない。
周りの誰かのやさしい手がさりげなく差し伸べられたに違いない