水谷竹秀のレビュー一覧
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国際ロマンス詐欺と聞いて、真先に思い浮かんだのは映画にもなった「クヒオ大佐」。まあこれは、外国人を装った日本人詐欺師なのだが。
よく考えれば、おかしい話だということがわかるはずなのだが、 そこが外国人に憧れる気持ちも利用した詐欺事件だ。
実はアフリカのナイジェリアに犯人がいるらいいということがわかった。そこで、著者はナイジェリアまで取材に行く。そこで出会ったのがヤフーボーイ(ガール)と呼ばれる若者たち。主に学生だが、生活費を稼ぐため詐欺に手を染めている。大学の授業料は無料だが、そこは貧しいアフリカの国である。先進国の人々をカモにすることには、たいして罪悪感を感じないようだ。根は深いのか -
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老後にフィリピンへ移住する人のルポ。いろいろな動機がある。
借金払えず物価の安い国へ、北国(特に雪下ろし)から夫婦で逃避、老親の介護疲れで親とともに移住または親のみ移住、フィリピンの若い奥さんを求めて移住。
なぜフィリピンか?若くて貧乏な娘が、日本人に(金目当てで?)つくしてくれるから独身のおじさんが結婚目当てで行くのは有名だが、家族で移住する人にとっては、気候が温暖で生活費が安く、メイドを雇う文化があり、情に厚い(年寄を大切にして見捨てないのが当たり前)というのが理由というのが判った。
移住が上手くいく人も行かない人も自己責任でがんばっているようです。
日本で年老いていくことに我慢できない人 -
Posted by ブクログ
バンコクに行く往復で読破。すごく不思議な感想を抱いた。面白かったか、と言われると、はてな。出てくる人物のいる世界を20年ぐらい前に垣間見ただけに、想像はつく。共感するかと言われると、全く出来ない。かといって切り捨てることも出来ない気もする。作者ほどこの人達のそばに立つことは出来ないだろうけれど、指摘したいことは判らないでも無い。日本社会が抱えたいびつな姿の発露が、バンコクに1つ出ていると言うことだけどね。
出てくる人物に共通しているのは、どこかで判断・決断をする能力がおかしくなっている。この本で抱いた一番の感想は、この本が誰の人生を支えるのか、自分には判らなかった、と言うことかな…。意味分かん -
Posted by ブクログ
東京から4,614km遠く離れたタイのバンコク。
その高層ビルで、
「お電話ありがとうございます。
○○社の△△です!
ご注文ありがとうございます!」
と語りかける日本人オペレーターがいる。
いうまでもなく、非正規労働者。
借金苦・LGBTの男女など、
様々な理由からタイに渡る。
総じて「日本で周りとうまくやれなかった」
という人たちが多い。
タイでは、捲土重来を期して、
きちんと働き、タイ語の習得とか、
向上心を持って勉学に励むという
タイプの人は極めて少ない。
オペレーターの仕事を選んだ理由からして、
電話は日本人との受け答えなので
言葉の障害はなく、服装は自由、
勤務時間は融通が利き、残 -
Posted by ブクログ
著者の水谷竹秀(1975年~)は、上智大学外国語学部卒の、フィリピンを拠点に活動するノンフィクション・ライター。本書は、2011年開高健ノンフィクション賞受賞作で、2013年に文庫化。発表直後には、本書を基にしたドキュメンタリー番組も複数制作され、かなりの反響を巻き起こした。
本書は、現地在住の著者が、現在フィリピンに数百人いると云われる、所持金を現地で使い果たし、日本への帰国費用どころか日々の食費もなく、路上生活やホームレス状態の「困窮邦人」を取材したルポルタージュである。登場する困窮邦人は、日本のフィリピンクラブで出会った女性を追い掛けて渡航した人々のほか、偽装結婚に利用された人、暴力団関