【感想・ネタバレ】だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年05月29日

このバンコクのコールセンターの仕事、「海外で働く」というと聞こえは良いけれど、実は学歴・職歴も語学力も必要ない、日本語が喋れれば誰にでもできる仕事。
そのため日本の社会に馴染めなかった人や事情があって日本を出なければいけなかった人が流れついてきている。
非正規で時給もタイで生活するのに精いっぱいなく...続きを読むらいで(当然日本円に換算するともっと安い)日本語しか使わないので、貯金ができるわけでもなく何のスキルも身につかないまま、日本よりも居心地の良いタイでだらだらと生活し続ける人たち。日本に帰るお金も、もしものことがあったときに使えるお金もない。
その中にも働きながら語学や起業などの勉強をしたり、ちゃんと将来のことを考えている人もいる。
そんな人たちにインタビューをしたという内容。

まず、こんな世界があったんだ…と衝撃を受けた。
どの企業がこういったやり方をしているのだろうというのも気になったけど、さすがに実名は出せないよな~

もし海外で生活したいという気持ちがあるなら、こういった会社ではなく語学なり勉強してもっと収入も社会的地位もある会社で働いた方が良いと思う。

いつもこういったジャンルの本を読んでいて、他人事とは思えない。
私は運良く自分に合った会社で、自分のことを理解してくれる仕事仲間と一緒に働くことができているけど、運が悪ければこうはいかなかったかもしれないし、この先そうなる可能性だってある。
海外に行こうという発想にはならないだろうけど。

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Posted by ブクログ 2020年04月21日

ルポであるので当然だが非常にリアルに人事ではなく読ませてもらった話もあった。バンコクの政治や近現代の歴史の勉強にもなる。どんな時代で境遇でも希望を失わずにどう生きていくか。

以下、メモ


タクシン・チナワット元首相が2006 年1月一族の保有する通信会社の持ち株をシンガポール政府系投資会社に73...続きを読む3億バーツで売却したことに遡る。この売却利益に対する納税を小額にするための工作をしたという疑惑が高まり、知識層や都市部の中間層から怒りが爆発。大規模な抗議集会に発展した。

タクシン元首相の妹インラック・チナワット政権。国外逃亡中のタクシン元首相を対象に含む恩赦法案が2013年11月に強行採決さらた。これに猛反発した野党・民主党のステープ・トゥアクスパン元副首相は決起集会を呼びかけ

農民へのコメ担保融資制度
農民が収穫したコメを政府発行の証券と交換し、その証券を農業・共同組合銀行に持ち込むと換金できる仕組み。この制度の実施以降、政府が抱え込んだ大量の在庫米は品質の低下が著しく、当初予定していた国外への売却は容易に進まなかった。この結果現金を受け取れない農民が続出した。最終的には80万世帯に対して900億バーツの支払いが滞り、インラック政権にとって、大ダメージとなった。

中年での40歳以降や30代半ばからの転職は難しい→どれだけ会社に依存せず力を付けられるか。

コールセンターで働きながらDJで食っていくことを夢見る男性→コンプレックスが頑張りの源。無い物をカバーすべく他で努力する。チビでハゲ→身体だけは鍛える。なるべく自分が格好良く見える服装を考える→ハゲ隠しの帽子。貯金してDJ機材を買う。歯が二本欠けている。

一家で夜逃げした家族の一人息子→17歳で訪タイし、高校から1年でタイ語の基本を身につけた。

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Posted by ブクログ 2019年09月28日

だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人。水谷竹秀先生の著書。もちろん自ら望んでバンコク、コールセンターで働く日本人も少なからずいるはずだから、独り善がりで高慢な意見は言えないけれど、マイノリティーやいろいろなきっかけで一度や二度道を踏み外してしまった人を受け入れるだけの器が...続きを読む日本社会には無いという情けない現実があるのかな。

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Posted by ブクログ 2018年11月23日

バンコクにある日本企業のコールセンターで働く(働いていた)たくさんの日本人の話。コールセンターで働く人たちは、日本企業の駐在員や現地採用の人とは明確に線引きされ、下に見られている、という彼らの位置づけについての説明が分かりやすい。
彼らを通して日本社会のあらゆる問題に触れていて重層的。日本では見いだ...続きを読むせなかった居場所をバンコクで見出した彼ら、恐らく殆どの人は日本に帰ってくることはないのではないかと思う。やっぱり日本って生きにくいよね、と改めて感じた。

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Posted by ブクログ 2018年08月16日

日経新聞で紹介されており、読んだ本。
バンコクのコールセンターで働く日本人に取材をする中で、日本の社会の在り方が浮き彫りになっていく。
語学力は必要なく、規則も自由で責任も問われないバンコクコールセンター。さまざまな理由で日本社会に馴染めずドロップアウトした人たちの居場所、受け皿となっている。
考え...続きを読むさせれらる内容だった。読めてよかった。


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Posted by ブクログ 2017年12月23日

自分も、この登場人物の方達のように、
「はじかれる」可能性なんて、当たり前にある

60点を切った人間は、社会から必要とされない。
日本社会は、ある角度から見ると、減点主義が徹底している社会です。

多くの日本人は、満点の100点から始まりますが、
コミュニケーション能力、性格、
容姿、そして「場の...続きを読む空気を読む能力」等を基準にして、
日本社会の独特の価値感で、その人の価値・能力を判断されます。

周囲が「これはないな」と判断したら、容赦なく減点されます。
幼稚園、小学校、中学校、高校に進むにつれ、判断基準もシビアになります。

60点は一種の比喩ですが、そういう「基準」があることは事実だと思います。
基準以下と判断された人は、日本社会では、本当に生きにくいと思います。

この著作の登場人物は、どの方も日本社会の「基準以下」の人です。
そして、登場する多くのマイノリティーの方にとってみれば、
地獄のような社会だったのでしょう。

日本を抜け出すしか方法がないよなと思います。

著者のフィールドワークは時にはフィリピンであったり、
そしてタイだったりします。
取材対象は主に日本社会から、「はじかれた人」です。
おそらく著者も、執筆という日本社会とのつながりがなければ、
きっと「はじかれた人」に属する人なのでしょう。

そうでなければ、取材対象者へのルポタージュにかける異常な情熱は説明できません。
この著作を通して、日本社会がもう少し、様々な人間、価値観を受けいれてくれる
社会になることを願ってのことなのでしょう。

ただ、日本社会は、ますます生きにくい社会となっています。
それは、うつ病を始めとする精神疾患の増加、ひきこもり、ニート、SNEPの増加数など
を見れば一目瞭然です。以前は、日本は豊かでしたが、
今、日本はどんどん貧しくなっています。
社会の分断は、これからますます勢いをましていきます。
弱者を保護するための人的資源も、そしてお金も圧倒的に不足していきます。

読後感は、なんともいえないものです。
自分も、この登場人物の方達のように、「はじかれる」可能性なんて、当たり前にあるからです。
そうなりたくないなら、いかに減点されないように努めなくてはいけません。
それが、果たしてできるのか、、、本当に難しい。

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Posted by ブクログ 2017年12月02日

名著「困窮邦人」の水谷さんの待望の新作。
   
前作への感想文で、僕は「次のテーマ、「現地採用」の若い日本人が何を目指すか、ってのはどーすか?」と書いた。実はその頃にはとっくに実現していたこの企画。今回はバンコクの「コルセン」で働く「ゲンサイ」の人たちがテーマ。
  
水谷さんの著書を際立たせてい...続きを読むるのは、圧倒的な当事者感。バブル崩壊から就職氷河期を経た世代しか持ちえない視座。僕にとって非常に貴重な書き手です。
   
既成の価値観(例えば有名大学→大企業)はあれから四半世紀経っても世間的には大して変わらないけど、個々の中ではずっとグラグラし続けてるわけで、価値観の境界の「こっち側」で踏ん張る適性が割とあって何とか生きている僕にとっても、本書で描かれる「あっち側」の人の姿は、パラレルワールドの僕なのである。
   
筆者の感覚もきっとそうで、自身を「あっち側」に置いて、取材対象者と同じ立場から発信してるから、パラレルワールドがまるでさも現実であるかのように迫ってくる。バンコクの地理に詳しければもっと面白かったんだろうなあ。
    
水谷さんは次の「暗がり」をどこに見出すだろう?例えば、日本の巨大企業の真ん中でスタックした40代のジレンマ、とかどうかな?「こっち側」の人を揺らがせるところを見てみたい。

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Posted by ブクログ 2021年12月21日

フィリピン編に続いて読破。著者にはこの手の、海外に定住して日本に帰国したくない人間たちにフォーカスしたシリーズをこれからも期待したい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年12月14日

だから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人 単行本 – 2017/9/26

ありのままの自分を受け入れてくれる居場所があるかどうか
2018年7月5日記述

水谷竹秀氏による著作。
2017年9月30日第1刷発行。

著者は1975年生まれ。
上智大学外国語学部卒。
フィリ...続きを読むピンと日本を拠点に活動するノンフィクションライター。
三重県桑名市出身。
最新刊は『だから、居場所が欲しかった。』(集英社)。
ほかに『日本を捨てた男たち』(集英社)など。
たまに文藝春秋や新潮45などで執筆しています。

本書は「kotoba」(2013年11号~2014年17号)に掲載されたものを加筆・修正したものです。

タイの首都バンコクでコールセンターで働く日本人達への取材をまとめた本である。
読んでみた思ったのは日本社会特有の大人かくあるべしという型にはまることを拒否した人々が多いという印象。
(途中に日本を捨てた男たちに出てきたような駄目中年も1名登場するあまりに主体性がなさ過ぎる。貯蓄もなさ過ぎ・・タイでもマック難民になってしまっていた)

男性を買う姉妹や日本に帰っても不安定な非正規雇用など世間の冷たい視線を感じながら生きるならこういったあり方も良いだろう。
ある意味、日本社会の不寛容さから逃げてきた人達なのだ。
今、アベ自民によって事実上の移民(外国人技能実習生の拡大)が行われている。
この不寛容さや制度を変えていないのに移民拡大とは・・
センスの無さにも呆れる。
本書に登場する日本人達はある意味大人の対応を行い日本から離れたわけだが、果たして移民達はそういう行動を取るだろうか。
むしろもっと日本社会とぶつかり日本を変えていく原動力になって欲しいが・・

もう一つ思い出したのは中国、大連にあるコールセンター。
TV番組の特集で報道していたけれども日本語しか話せない日本人でほぼ構成されており、といった点もこのバンコクのコールセンターで働くスタッフに通じる。
まあコールセンターという職種故なのか。

バンコクでは狭い日本人社会のヒエラルキーの中で低いものとみなされている。
危険手当とかも当然ないし。
月給は3万バーツ。
家賃は月5000バーツ。
気温も平均29度。
薄手の服で年中過ごせる。

やはりというかこの仕事はつなぎの仕事と認識している人も多く高い職歴としても認知されにくい。
やりがいや面白みはない半面、責任を感じなくて済む仕事。

本書をノンフィクションとして正直で良いと思ったのはP142からの部分でインタビュワーのある種の自己責任を著者が認めている点。
同情できる人かどうかで取り上げるかどうかを決めて報道しているのではそれは事実を報道しきっているとは言い難いだろう。
メディアや市民団体、NPOは同情できる、日本社会が間違っていると主張できる困窮者ばかりを取り上げる傾向があるのは覚えておくといいだろう。
(それでも自己責任論には大きな問題があるとは思うが)
著者のデビュー作である日本を捨てた男達にはホントどうしようもない人たちがこれでもかと紹介されていた。
自分でも読んだ時にこれは自己責任としか言いようがないなと思ったものだ。

後半、ゲイである人やLGBTの方も出てくる。
ただタイ社会でも性的マイノリティは差別されているのが現実であり
(中央官庁や教師などの世界ではいない)
あくまで性風俗産業を外貨獲得の手段として日本や他国に比べれば容認しているに過ぎないという。

印象に残った点

日本でコールセンターが普及し始めたには、フリーダイヤルサービスが導入された1985年以降のことだ。
中略
故にコールセンターはまだ数十年という歴史の浅い、割と新しいビジネスなのである。

フィリピン中部、セブ島への留学斡旋業者に以前、聞いたことがあるが、英語留学する場合、渡航先で英語力を高められるかどうかは日本にいる段階で
ある程度決まっているという。
「もちろん日本でできる準備は限られていますが、たとえば、過去に英語の授業を苦手としていても、初級者レベルの文法や単語を改めて勉強しておくことはできます。
行ってしまえば何とかなると考えている人は、やはり苦労しているケースが多いですね。事前の準備する人は、それだけ英語力の向上に真剣に取り組みます。
準備をしない人はやはり他人まかせなところが少なからずあり学びたい、身につけたいという意欲においてそもそも負けているのです」

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年04月28日

時間をかけて取材をしっかり行ったうえで書かれた本。

日本国内のコールセンターで働いたことがあり、東南アジアに1か月程度しか滞在したことがない私からみても、若干物足りなさを感じる。

あと数倍、話の広がりがあるとなおよかった。

ラオスの話は親近感があった。
あの店、行ったことがあれば、なお楽しめた...続きを読む(- -)

払ってもいい金額:900円

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Posted by ブクログ 2020年01月27日

色んな背景を持つ人たちに丁寧に取材した本だと思う。身につまされるような気もした。タイの持つ魔力が何となく分かるし。結局はその人次第と言っても、コールセンターで働きながら夢を追い続けられる人はすごいと思う。

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Posted by ブクログ 2019年11月07日

「幸せ」につながらない「仕事」は
とても 悲しい
とても むなしい

ずいぶん前に読んだので
おぼろげな記憶ですが

ブータン国での
取材をされた著者の言葉の中に

たくさんの(ブータン国の)人が
家族がいて 幸せ
家族と一緒に食べられることが 幸せ
仕事があることが 幸せ

というようなフレース...続きを読む゙が
あったことを なぜか 思い出していた

このルポルタージュに登場する
人たちの「居場所」は
その「幸せ」とどれほど距離が
離れているのだろう
などと 考えてしまった

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Posted by ブクログ 2019年10月06日

閉塞感の強い日本から脱出し、バンコクのコールセンターで働く人々のルポ。
以前、テレビ番組でコールセンターで働きながら東南アジアに移住したアラサー女子を見たことがありますが、それとは随分違う印象。
外国で働きながら住むことを想像したくて手に取りましたが、私には観光ビザで滞在できる範囲で長期旅行する方が...続きを読むいいと分かりました。

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Posted by ブクログ 2019年05月12日

海外旅行、海外労働に興味があるので手に取ってみた。いわゆるタイに沈没していった人はどうやって生活しているのだろうと思っていたが、その一つの手段がコールセンターなんだと分かった。日本の閉塞感から海外に行くと開放的になれるという気持ちは分かる。ただそこでどう生きていくかはそれぞれの個人の問題だと思う。明...続きを読む日は我が身ではある。

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Posted by ブクログ 2019年04月06日

インタビューを受けた人たちが一様に言う「日本の生きづらさ」には共感する。日本だと就職で「一般的な」レールを外れると立ち直れなかったり、人と比べることで劣等感を感じ得ないところ。とはいえ、バンコクであっても日本人が多い分、結局は人の目を気にする状況があるのでしょうが。

途中に出てきた子のように、若い...続きを読む時に経験として働くならいいかもだけど、ある程度の年齢になってから、そして背負うものがない場合には、先が見えない分何かを見据えて生きないとつらい。
正直自分も某国で何とは無しに滞在していた経験があるので人ごとではないということと、その滞在中に出会った日本人たちのことを思い出してしまった。

あとは、どなたかのコメントにも書いてあったけど、著者がどういう経緯でこの仕事に就き、どういう気持ちで取り組んでいるのかすごく知りたいと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年09月27日

新聞書評に載るなど、そこそこ話題の本のようだが、何か似たようなテーマの本を読んだことがあると思ったら、以前、同じ著者の「脱出老人」を読んでいたことが分かった。たしかに、取材方法も文章の筆致も似ている。そういう意味では、老人よりは若い30代、40代で、バンコクのコールセンターという日本語ができれば誰で...続きを読むも勤まると言われる仕事に流れてきた人が取材対象。もっとも、著者の目は暖かく、彼らを「日本では生き辛い人」として、また、タイを包容力のある国として描いている。本書を読んで、バンコクでゆるく生きようという人が増えてしまいそうだ。
著者は、日本で主流からはずれてしまった人に寛容だったり、色々と柔軟な思想の持ち主のようであるが、バンコクでゴーゴーボーイを買う女たちに強い衝撃を受けたことを隠しておらず、意外に保守的な面もあるというギャップが面白かった。

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Posted by ブクログ 2018年05月18日

日本を飛び出し、バンコクのコールセンターで働く日本人たちのリアルに迫ったノンフィクション。

タイ語もわからない、仕事は日本語を使った電話業務…ではなぜ彼ら、彼女たちはわざわざ日本を飛び出してタイへ飛んだのか…?
インタビューを通して知る、コールセンターで働く人々の思いや事情
そして、そこから見える...続きを読む日本の社会とは…。

コンプレックスからタイにはまった人、
タイ人にはまった人
家庭的な事情のある人、
性別の悩みからタイに渡った人、
などなど…日本での生きづらさを抱える人々。

そんな彼らが捜したもの…
それは、「自分が自分でいることができる居場所」

日本にはもはやそれがないという。

将来に対する不安、
未来への希望と期待、
現状の自分自身の生き方、
彼らが感じるもやもやした不安と思いは
多くの人の中にあると思う。

読み終わってあらためて思う
私自身もそんな思いが心の底にあることを。

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Posted by ブクログ 2018年10月18日

ぐっときた
タイトルでもきたけど、読むともっときた
共感するところが多々あった
自己肯定感が低い
日本にいると劣等感や疎外感を感じる
海外でなら、それが和らぐことを、私も自分の旅を通して知っている
登場する人たちと私が違ったのは、ゴーゴーバーに嫌悪感があったこと、寄り添ってくれる友達がいること
たま...続きを読むたま、私の居場所は日本にあった

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Posted by ブクログ 2018年02月17日

前2作が面白かった(という言い方は適切か⁉︎)ので、今回も期待を持って読んだ。

バンコクか…
こんな日本人の世界があるのか…
知らない世界を知れて良かった、

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Posted by ブクログ 2018年02月15日

以前に見た大連のコールセンターのドキュメンタリーを思い出しました。
ドキュメンタリーの切り口も同じような感じではあったけど、この本の方が個々の事情を掘り下げている分、読みながら感情移入しがちでした。
全然感情移入できなくてややもすれば嫌悪を抱くケースもありましたが、それだけ各人の生い立ちや感情が直球...続きを読むで飛び込んできた印象です。

「居場所」について考えたことなんてそんなにないと思っていた自分が、日常の中で知らず知らずに自分の身の置き所や置き方を考えてることに、読んでいてふと気づきました。
その鈍感さが、「居場所」を求めてわざわざタイに移住するまでに駆り立てるものはなんなのか、読んでいてわかるようでいまいちスッキリわからないもどかしさにつながっているのかもしれないです。

あと、タイはLGBTの人を受け入れていて寛容さがあると思い込んでいたけど、実態はどうもそうではないというのが驚きでした。一面的なイメージだけで勝手に思い込んでいたのを反省。

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Posted by ブクログ 2022年07月10日

タイのコールセンターを起点に、色んな理由で日本には居場所がなかった人達について描かれたノンフィクション。ここに登場した人達が幸せに暮らしてることを願う。

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Posted by ブクログ 2019年09月19日

日本人の弱さを見せつけられる。
反面教師とする事が、本書の価値か。
こうした享楽に耽る堕落した人間をゼロにはできないが、生み出さない努力は社会として倫理教育の強化から動き出さないといけない。

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Posted by ブクログ 2019年03月03日

バンコクに行く往復で読破。すごく不思議な感想を抱いた。面白かったか、と言われると、はてな。出てくる人物のいる世界を20年ぐらい前に垣間見ただけに、想像はつく。共感するかと言われると、全く出来ない。かといって切り捨てることも出来ない気もする。作者ほどこの人達のそばに立つことは出来ないだろうけれど、指摘...続きを読むしたいことは判らないでも無い。日本社会が抱えたいびつな姿の発露が、バンコクに1つ出ていると言うことだけどね。
出てくる人物に共通しているのは、どこかで判断・決断をする能力がおかしくなっている。この本で抱いた一番の感想は、この本が誰の人生を支えるのか、自分には判らなかった、と言うことかな…。意味分かんないね。

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Posted by ブクログ 2018年06月28日

タイのバンコクには、現地のレートの給与でコールセンターで働く邦人がいる。郵便局をリストラされて、妻の母国タイに引っ越した男性、一緒に連れてこられた子ども。タイのゴーゴーバーの男性目当ての女性たち。東南アジアでフィールドワークする著者が現地でインタビューを繰り返し、日本の実家にも訪れてエスノグラフィ的...続きを読むに深掘りされている。興味本位にならず、そこではたらく人に中立的に寄り添う姿勢が好感が持てた。

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Posted by ブクログ 2018年04月05日

東京から4,614km遠く離れたタイのバンコク。
その高層ビルで、
「お電話ありがとうございます。
○○社の△△です!
ご注文ありがとうございます!」
と語りかける日本人オペレーターがいる。
いうまでもなく、非正規労働者。
借金苦・LGBTの男女など、
様々な理由からタイに渡る。
総じて「日本で周り...続きを読むとうまくやれなかった」
という人たちが多い。
タイでは、捲土重来を期して、
きちんと働き、タイ語の習得とか、
向上心を持って勉学に励むという
タイプの人は極めて少ない。
オペレーターの仕事を選んだ理由からして、
電話は日本人との受け答えなので
言葉の障害はなく、服装は自由、
勤務時間は融通が利き、残業もない。
給料は高くはないが、物価が安く、
贅沢をしなければ十分暮らしていける…。

それでは海外勤務経験ありとは
胸を張って言えるはずもなく、
再度日本でやり直そうと帰国しても、
そこには受け入れ場所はなく、
熱気溢れるタイに舞い戻る人も少なくない。

今日の日本の閉塞感、生きづらさは
社会がもたらしたものである。
ただいずれの先進国にも「光と陰」は存在する。
タイのコールセンターで働く人たちを
著者は「陰」の側にカテゴライズするが
はたしてそうなのか。
彼らは行動を起こした。
生きていくためにタイでの就労を選んだ。
高飛びなのか、跳躍なのか、勇躍なのかは
そんなの何だっていい。

寧ろ、不正に生活保護費を受給している
4万人超の厚顔で遊民を宿す温床こそ、
高度成長を終えた日本のもう一つの現実が
あるんではないかと思うな。

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Posted by ブクログ 2017年12月06日

エピローグに筆者の思いが凝縮されているのだろう。

日本の生きづらさ、が問題意識の核にあるのだろうか。
海外にいてこそ、それを語れるような気もするが、それは日本に特有なものなのかどうか。

ひとつひとつのエピソードは、それなりに興味深いが、全体として訴えかけるものが、少し伝わりづらいと感じた。

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