だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人

だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人

小説・文芸
1,540円 (税込)

7pt

「お電話ありがとうございます。○○社の△△です。ご注文ですか?」陽光溢れる、東南アジアのタイ、バンコク。高層ビルの一角にあるコールセンターでひたすら電話を受ける日本人がいる。非正規労働者、借金苦から夜逃げした者、風俗にハマって妊娠した女、LGBTの男女……。生きづらい日本を離れ、彼らが求めたのは自分の「居場所」。フィリピン在住の開高健ノンフィクション賞作家が現代日本の現実をあぶりだす問題作。【目次】プロローグ/第一章 非正規の「居場所」/第二章 一家夜逃げ/第三章 明暗/第四章 男にハマる女たち/第五章 日陰の存在/エピローグ

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だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    タイのバンコクに日本企業のコールセンターがあるそうです。オフショアってやつですね。
    そこで働くオペレーターたちは服装も自由、当日欠勤なども厳しく言われることもない、日本語しかできなくてOK。刺激もない楽で退屈な仕事だけど、ある程度の金額がもらえるので応募してくる日本人は多いそう。

    「なんか良さそう」と思うけど、コールセンターで働く人たちの地位は現地採用者の中でも低く、賃金も最低ラインより低め。タイの物価を考えると十分暮らしていける金額であり、日本での居場所を見つけられなかった人たちは退屈な仕事を我慢しコールセンターで働くのだといいます。

    OBを含むオペレーターたちへのインタビューを通じて見えてくるのは、日本社会の閉塞感です。元気で未来への希望に満ちたタイの雰囲気から眺めた日本は、ギスギスした雰囲気や、40代以降の再就職の難しさ、将来への不安がより強く感じられます。そうした現状から逃れるように、少しの収入で暮らせるコールセンターにしがみついても、タイに残りたいと願う気持ちは、私にも共感できるものでした。

    自分自身も、毎日定時まで働いて出世も見込めず「老後の資金が不安だ」「このままでいいのかな」と漠然とした不安を抱えながら生活をしていますが、そんなあくせくした働き方や生活に疑問を持つというきっかけをくれる本だと思いました。

    タイで生きる彼らの姿は、単なる“逃避”ではなく、息苦しい日本社会から一歩外に出てみることで見えてくる、新たな生き方や価値観のヒントなのかもしれません

    0
    2025年05月04日

    Posted by ブクログ

    このバンコクのコールセンターの仕事、「海外で働く」というと聞こえは良いけれど、実は学歴・職歴も語学力も必要ない、日本語が喋れれば誰にでもできる仕事。
    そのため日本の社会に馴染めなかった人や事情があって日本を出なければいけなかった人が流れついてきている。
    非正規で時給もタイで生活するのに精いっぱいなくらいで(当然日本円に換算するともっと安い)日本語しか使わないので、貯金ができるわけでもなく何のスキルも身につかないまま、日本よりも居心地の良いタイでだらだらと生活し続ける人たち。日本に帰るお金も、もしものことがあったときに使えるお金もない。
    その中にも働きながら語学や起業などの勉強をしたり、ちゃんと将来のことを考えている人もいる。
    そんな人たちにインタビューをしたという内容。

    まず、こんな世界があったんだ…と衝撃を受けた。
    どの企業がこういったやり方をしているのだろうというのも気になったけど、さすがに実名は出せないよな~

    もし海外で生活したいという気持ちがあるなら、こういった会社ではなく語学なり勉強してもっと収入も社会的地位もある会社で働いた方が良いと思う。

    いつもこういったジャンルの本を読んでいて、他人事とは思えない。
    私は運良く自分に合った会社で、自分のことを理解してくれる仕事仲間と一緒に働くことができているけど、運が悪ければこうはいかなかったかもしれないし、この先そうなる可能性だってある。
    海外に行こうという発想にはならないだろうけど。

    0
    2020年07月08日

    Posted by ブクログ

    ルポであるので当然だが非常にリアルに人事ではなく読ませてもらった話もあった。バンコクの政治や近現代の歴史の勉強にもなる。どんな時代で境遇でも希望を失わずにどう生きていくか。

    以下、メモ


    タクシン・チナワット元首相が2006 年1月一族の保有する通信会社の持ち株をシンガポール政府系投資会社に733億バーツで売却したことに遡る。この売却利益に対する納税を小額にするための工作をしたという疑惑が高まり、知識層や都市部の中間層から怒りが爆発。大規模な抗議集会に発展した。

    タクシン元首相の妹インラック・チナワット政権。国外逃亡中のタクシン元首相を対象に含む恩赦法案が2013年11月に強行採決さらた。これに猛反発した野党・民主党のステープ・トゥアクスパン元副首相は決起集会を呼びかけ

    農民へのコメ担保融資制度
    農民が収穫したコメを政府発行の証券と交換し、その証券を農業・共同組合銀行に持ち込むと換金できる仕組み。この制度の実施以降、政府が抱え込んだ大量の在庫米は品質の低下が著しく、当初予定していた国外への売却は容易に進まなかった。この結果現金を受け取れない農民が続出した。最終的には80万世帯に対して900億バーツの支払いが滞り、インラック政権にとって、大ダメージとなった。

    中年での40歳以降や30代半ばからの転職は難しい→どれだけ会社に依存せず力を付けられるか。

    コールセンターで働きながらDJで食っていくことを夢見る男性→コンプレックスが頑張りの源。無い物をカバーすべく他で努力する。チビでハゲ→身体だけは鍛える。なるべく自分が格好良く見える服装を考える→ハゲ隠しの帽子。貯金してDJ機材を買う。歯が二本欠けている。

    一家で夜逃げした家族の一人息子→17歳で訪タイし、高校から1年でタイ語の基本を身につけた。

    0
    2020年04月21日

    Posted by ブクログ

    だから、居場所が欲しかった。バンコク、コールセンターで働く日本人。水谷竹秀先生の著書。もちろん自ら望んでバンコク、コールセンターで働く日本人も少なからずいるはずだから、独り善がりで高慢な意見は言えないけれど、マイノリティーやいろいろなきっかけで一度や二度道を踏み外してしまった人を受け入れるだけの器が日本社会には無いという情けない現実があるのかな。

    0
    2019年09月28日

    Posted by ブクログ

    バンコクにある日本企業のコールセンターで働く(働いていた)たくさんの日本人の話。コールセンターで働く人たちは、日本企業の駐在員や現地採用の人とは明確に線引きされ、下に見られている、という彼らの位置づけについての説明が分かりやすい。
    彼らを通して日本社会のあらゆる問題に触れていて重層的。日本では見いだせなかった居場所をバンコクで見出した彼ら、恐らく殆どの人は日本に帰ってくることはないのではないかと思う。やっぱり日本って生きにくいよね、と改めて感じた。

    0
    2018年11月23日

    Posted by ブクログ

    日経新聞で紹介されており、読んだ本。
    バンコクのコールセンターで働く日本人に取材をする中で、日本の社会の在り方が浮き彫りになっていく。
    語学力は必要なく、規則も自由で責任も問われないバンコクコールセンター。さまざまな理由で日本社会に馴染めずドロップアウトした人たちの居場所、受け皿となっている。
    考えさせれらる内容だった。読めてよかった。


    0
    2018年08月16日

    Posted by ブクログ

    自分も、この登場人物の方達のように、
    「はじかれる」可能性なんて、当たり前にある

    60点を切った人間は、社会から必要とされない。
    日本社会は、ある角度から見ると、減点主義が徹底している社会です。

    多くの日本人は、満点の100点から始まりますが、
    コミュニケーション能力、性格、
    容姿、そして「場の空気を読む能力」等を基準にして、
    日本社会の独特の価値感で、その人の価値・能力を判断されます。

    周囲が「これはないな」と判断したら、容赦なく減点されます。
    幼稚園、小学校、中学校、高校に進むにつれ、判断基準もシビアになります。

    60点は一種の比喩ですが、そういう「基準」があることは事実だと思います。
    基準以下と判断された人は、日本社会では、本当に生きにくいと思います。

    この著作の登場人物は、どの方も日本社会の「基準以下」の人です。
    そして、登場する多くのマイノリティーの方にとってみれば、
    地獄のような社会だったのでしょう。

    日本を抜け出すしか方法がないよなと思います。

    著者のフィールドワークは時にはフィリピンであったり、
    そしてタイだったりします。
    取材対象は主に日本社会から、「はじかれた人」です。
    おそらく著者も、執筆という日本社会とのつながりがなければ、
    きっと「はじかれた人」に属する人なのでしょう。

    そうでなければ、取材対象者へのルポタージュにかける異常な情熱は説明できません。
    この著作を通して、日本社会がもう少し、様々な人間、価値観を受けいれてくれる
    社会になることを願ってのことなのでしょう。

    ただ、日本社会は、ますます生きにくい社会となっています。
    それは、うつ病を始めとする精神疾患の増加、ひきこもり、ニート、SNEPの増加数など
    を見れば一目瞭然です。以前は、日本は豊かでしたが、
    今、日本はどんどん貧しくなっています。
    社会の分断は、これからますます勢いをましていきます。
    弱者を保護するための人的資源も、そしてお金も圧倒的に不足していきます。

    読後感は、なんともいえないものです。
    自分も、この登場人物の方達のように、「はじかれる」可能性なんて、当たり前にあるからです。
    そうなりたくないなら、いかに減点されないように努めなくてはいけません。
    それが、果たしてできるのか、、、本当に難しい。

    0
    2017年12月23日

    Posted by ブクログ

    名著「困窮邦人」の水谷さんの待望の新作。
       
    前作への感想文で、僕は「次のテーマ、「現地採用」の若い日本人が何を目指すか、ってのはどーすか?」と書いた。実はその頃にはとっくに実現していたこの企画。今回はバンコクの「コルセン」で働く「ゲンサイ」の人たちがテーマ。
      
    水谷さんの著書を際立たせているのは、圧倒的な当事者感。バブル崩壊から就職氷河期を経た世代しか持ちえない視座。僕にとって非常に貴重な書き手です。
       
    既成の価値観(例えば有名大学→大企業)はあれから四半世紀経っても世間的には大して変わらないけど、個々の中ではずっとグラグラし続けてるわけで、価値観の境界の「こっち側」で踏ん張る適性が割とあって何とか生きている僕にとっても、本書で描かれる「あっち側」の人の姿は、パラレルワールドの僕なのである。
       
    筆者の感覚もきっとそうで、自身を「あっち側」に置いて、取材対象者と同じ立場から発信してるから、パラレルワールドがまるでさも現実であるかのように迫ってくる。バンコクの地理に詳しければもっと面白かったんだろうなあ。
        
    水谷さんは次の「暗がり」をどこに見出すだろう?例えば、日本の巨大企業の真ん中でスタックした40代のジレンマ、とかどうかな?「こっち側」の人を揺らがせるところを見てみたい。

    0
    2017年12月02日

    Posted by ブクログ

    フィリピン編に続いて読破。著者にはこの手の、海外に定住して日本に帰国したくない人間たちにフォーカスしたシリーズをこれからも期待したい。

    0
    2021年12月21日

    Posted by ブクログ

    色んな背景を持つ人たちに丁寧に取材した本だと思う。身につまされるような気もした。タイの持つ魔力が何となく分かるし。結局はその人次第と言っても、コールセンターで働きながら夢を追い続けられる人はすごいと思う。

    0
    2020年01月27日

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