水谷竹秀のレビュー一覧
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日本を自ら離れフィリピンに向い、そこでお金を使い果たし、ビザの更新もできずに不法滞在し、ほぼホームレス状態の日本人達を「困窮邦人」と言う。
彼らの実態を追ったルポ。
2011年の開高健ノンフィクション賞受賞作。
そんな人達が、そんなに沢山いるのか!
と、驚いた。
個人的には自業自得なのではないかとは、思う。
彼らの不法滞在の罰金と帰国の渡航費用を大使館が出せないのは、当然だ。
日本で真面目に働いている人たちの税金を、そこには使えない。
フィリピン人は貧乏でも、そんな困窮邦人を見捨てない。なんやかんや食事を与えたり、寝床を貸したり、世話をする。
それが困窮邦人を増やす原因にもなっている。
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ネタバレだから、居場所が欲しかった。 バンコク、コールセンターで働く日本人 単行本 – 2017/9/26
ありのままの自分を受け入れてくれる居場所があるかどうか
2018年7月5日記述
水谷竹秀氏による著作。
2017年9月30日第1刷発行。
著者は1975年生まれ。
上智大学外国語学部卒。
フィリピンと日本を拠点に活動するノンフィクションライター。
三重県桑名市出身。
最新刊は『だから、居場所が欲しかった。』(集英社)。
ほかに『日本を捨てた男たち』(集英社)など。
たまに文藝春秋や新潮45などで執筆しています。
本書は「kotoba」(2013年11号~2014年17号)に掲載されたもの -
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開高健ノンフィクション賞を受賞した作品ということで気になっていた作品ではあるが、タイトルからして、どうせリベラル寄りからの単純な社会批判の作品だろうと放置してきた。
しかし、暇なので読んでみたところ、なかなか面白かった。確かに、時折、日本社会の構造に疑問を投げかけている部分もあったが、可能な限り事実を重視し、フラットな立場で書かれていたことに好感が持てた。
読み終わっても、やはり女の尻追いかけて勝手にフィリピン行って、有り金使い果たして帰国できなくなることは完全な自己責任であり、可愛そうとかは思わない。
しかし、登場する困窮邦人たちの気持ちも分からなくはない。自分が同じ立場なら、フィリピンに逃 -
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インタビューを受けた人たちが一様に言う「日本の生きづらさ」には共感する。日本だと就職で「一般的な」レールを外れると立ち直れなかったり、人と比べることで劣等感を感じ得ないところ。とはいえ、バンコクであっても日本人が多い分、結局は人の目を気にする状況があるのでしょうが。
途中に出てきた子のように、若い時に経験として働くならいいかもだけど、ある程度の年齢になってから、そして背負うものがない場合には、先が見えない分何かを見据えて生きないとつらい。
正直自分も某国で何とは無しに滞在していた経験があるので人ごとではないということと、その滞在中に出会った日本人たちのことを思い出してしまった。
あとは、ど -
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ネタバレ新聞書評に載るなど、そこそこ話題の本のようだが、何か似たようなテーマの本を読んだことがあると思ったら、以前、同じ著者の「脱出老人」を読んでいたことが分かった。たしかに、取材方法も文章の筆致も似ている。そういう意味では、老人よりは若い30代、40代で、バンコクのコールセンターという日本語ができれば誰でも勤まると言われる仕事に流れてきた人が取材対象。もっとも、著者の目は暖かく、彼らを「日本では生き辛い人」として、また、タイを包容力のある国として描いている。本書を読んで、バンコクでゆるく生きようという人が増えてしまいそうだ。
著者は、日本で主流からはずれてしまった人に寛容だったり、色々と柔軟な思想の -
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日本を飛び出し、バンコクのコールセンターで働く日本人たちのリアルに迫ったノンフィクション。
タイ語もわからない、仕事は日本語を使った電話業務…ではなぜ彼ら、彼女たちはわざわざ日本を飛び出してタイへ飛んだのか…?
インタビューを通して知る、コールセンターで働く人々の思いや事情
そして、そこから見える日本の社会とは…。
コンプレックスからタイにはまった人、
タイ人にはまった人
家庭的な事情のある人、
性別の悩みからタイに渡った人、
などなど…日本での生きづらさを抱える人々。
そんな彼らが捜したもの…
それは、「自分が自分でいることができる居場所」
日本にはもはやそれがないという。
将来に -
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以前に見た大連のコールセンターのドキュメンタリーを思い出しました。
ドキュメンタリーの切り口も同じような感じではあったけど、この本の方が個々の事情を掘り下げている分、読みながら感情移入しがちでした。
全然感情移入できなくてややもすれば嫌悪を抱くケースもありましたが、それだけ各人の生い立ちや感情が直球で飛び込んできた印象です。
「居場所」について考えたことなんてそんなにないと思っていた自分が、日常の中で知らず知らずに自分の身の置き所や置き方を考えてることに、読んでいてふと気づきました。
その鈍感さが、「居場所」を求めてわざわざタイに移住するまでに駆り立てるものはなんなのか、読んでいてわかるよう