山形浩生のレビュー一覧
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ポール・クルーグマンが、なぜ金融緩和によるインフレが不況時に有効なのかを分かりやすく解説。
デフレでは→個人の消費の減少→企業の収入の減少→設備投資ができなくなる→給料少なくなる→個人の消費の減少・・・
という悪循環が生まれ、ここで誰かが資金を注入しなければいけません。
簡単に言うと、これができるのは政府だけであって、政府が金融緩和政策を行うべきだと解いている。
さらに、金融緩和政策によってデフレが解決しないのは、量や時間が足りなかったせいで、金融緩和そのものが無効なわけでもないと論じている。
とにかく、この経済学の分かりにくい現象をわかりやすく平坦な言葉で、例を使って解説してくれるのでマクロ経済の勉強になります。 -
Posted by ブクログ
本書の中心的な主張は、流動性の罠に陥った経済の下では、財政政策と金融政策(一時的でない継続的な金融緩和)の両方が必要だということである。これは、マクロ経済学の初歩中の初歩であるISーLMモデルの意味するところと基本的に一緒であり、特に目新しさはない。
ただ、「実際」の経済ではIS曲線やLM曲線がどのような形(傾き)で、外生変数の変化に対して、どれ位の幅でシフトするのか(シフトしないのか)が分からないのが厄介な所である。
結局、不況に対する万能薬はないので、(1)効果があると考えられる政策は全てやる、(2)効果が出るまでやり続ける、(3)政府が景気回復に対して強いコミットメントを持つ、という至極もっともな結論が示される。
本書の内容に対する反論余地はあまりないのだが、(1)〜(3)を行うことは簡単なようで難しい。 -
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「CODE」はテクノロジーがどんな社会を生み出しうるか、という現状整理であり思考実験であったのに対して、これはどんな社会を目指しうるのか、という行動指向のもの。だから、
CODEほどのカチッとしたロジカルさはないし、思想面でも納得のいかないところがある。レッシグの実現したい社会がほんとうにいい社会なのか、まだ納得がいかない。それでも一つの可能性として、商業経済と交換経済とのハイブリッドの形はありうるだろうし、ただ商業経済だけを考えるのでは片手落ちであることは疑いようがない。
ひとつ疑問なのは、こういうかたちで社会制度を考えているひとというのはどの程度いるのだろう。とても可能性があると思うのだけど。コードという考えかたは、すくなくとも日本では社会分析の、ツールくらいにしかなっていないようにおもう。 -
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行動経済学の紹介の常として、合理的経済人を前提とした今までの経済学では不十分、という書き方をする。それは確かにそうだけど、それは今までの経済学が間違っている、ということじゃない。
合理的経済人を仮定した経済学はどんどん発展しているし、たくさんの経済事象を説明できる。政策立案や制度設計の役にも立っている。ただ、それだけじゃ、全ての経済事象を説明しきれないから、もっと人らしい人を仮定して分析してみよう、ということ。そういう前提がこの本にはある。従来の経済学の成果と限界との両方を最先端でわかっている学者だからこそ書けたわけで、経済学の可能性を示した本であって、間違っても経済学批判の本じゃない。
そういうのを知らない人がこの本を読んだなら、今までの経済学は間違ってる、役に立たない、と思いかねない。そういう勘違いが起こったなら、きっと著者たちの意図とは正反対だろうなあ。
と思って読んでいたら、訳者あとがきでちゃんと説明してくれていた。このあとがきを読んで、ちゃんと普通の経済学も勉強してみよう、ってことになれば、それが一番いいんだろう。 -
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著者の2人はともにアメリカ経済界の重鎮で、
Robert J. Shiller はアメリカ株式市場のバブルを10年前から指摘し、
George A. Akerlof は『情報の経済学』の始祖であり、
レモン市場理論と限定合理性の理論を説き、
2人ともこれまでとは違う経済理論の可能性を開拓しました。
本稿は2部構成で、
第一部でアニマルスピリットを説明します。
安心・公平・腐敗/背信・貨幣錯覚・物語の5つを挙げ、
経済学の切り口プラス、
おもに心理学、社会学、哲学、人類学の考えを取り入れ、
既存の経済理論を修正しています。
第二部では、金融恐慌に対する8つの論点を解説し、解決策を提示します。
昨年前期に大学院経済学研究科を10単位ほど、背伸びして履修しました。そこで使用したTextをこの時期に読み返したのも、売れ筋ランキング経済部門で2009トップとの記事を見たからです。
2008年金融危機批判は、ともすれば
『人々は合理的になりすぎてお金に目が眩んだせいだ』といったような、
「合理性」と「目先のお金しか考えない」「弱肉強食」の話を混同した、
支離滅裂な経済学批判になりがちですが、
これは長期的利益やお金以外の効用を含めて説明することで、簡単にひっくり返ってしまう浅はかな批判です。
本書はそういった批判に加担するものでなく、
戦後60年間、地球上のすべての資本主義経済を雇用率90%以上でまわしてきたマクロ経済学理論の力を認めたうえで、
その不備をいかに補い、いかなる攻撃にさらされても動じない完全理論に近づけるかを、新分野の行動経済学のツールを使って考察します。
人々が完全には合理的になりきれないことを、
心理学、社会学、哲学、人類学をメインに説明していますが、
そういったアニマルスピリットをかつてエコノミストが採り上げなかったのは、
彼らがそれを知らなかったからではなく、
どう理論モデルに数学的に組み込んでいけばいいのかが皆目分からなかったからなんだと僕は思います。
自分たちも昨年夏は、ここで一番苦労したのですが、
本稿でそこに対する具体的ツールについて何ら触れられていないのは少し意外でした。新興分野ゆえのおもしろさ的なのがここにあります。
裏を返せばビギナー向けです。
経済学の盲点はどこにあって、人間の弱さを補うための社会経済政策に、既存理論の精緻化だけでなく、アニマルスピリットを加味して政策的インプリケーションにどれくらい留保をつけるべきか、今まさに中央銀行と経済官僚が模索している、その姿を見てみたい人に薦めます。
ほんといい本でした。 -
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基本的に訳者の山形浩生氏の解説に同意。
レッシグの言いたいことも分からなくはないが、子供たちを犯罪者にしないというだけの理由で、ファイル共有を合法化するというのはさすがに無理だろう。
それを合法化するなら、せめて
・それにより失われる、RO的著作者達の創造活動のためのインセンティブ、(会社等の支援環境を含めた)創造環境、及びそれらから生み出されるはずだった作品の量
と
・それにより生み出されるりミック作品の量、ファイル共有環境の充実により新たに生み出されるリミックス的ではない作品の量
を比較し、少なくとも後者が前者と同じ以上でないとだめだろう。
でもどう考えても、Winnyやマジコンを使う人間が創造活動にいそしむとは思えない。もちろん膨大な著作物利用可能環境の中におかれることで、新たな想像力・創造力が刺激されることはあるかもしれない。
しかしそもそも創造活動にいそしむものは、自分の作品について愛があり、それが故に他人の作品についても、自分の身に置き換えることで尊重することができる人間だろう。ファイル共有を行っている人間が追及しているのはただ単に自分の快楽だけであり、そこにモノを生み出すことに関する敬意はみじんも感じられない。
著作権のあり方を見直すというのであれば、人が自身の創造活動から得られる利益の範囲みたいなものについての考え方を示して欲しかったな。自己の作品の利用許可・禁止に関するn人ゲームの均衡解を求め、それによりどのような属性の人だとどのような著作物利用戦略の解になり、それにより得られる利益はどのくらいになるか。こういった話でもあれば、著作権に関する進展のない議論の応酬を超えた知見が得られると思うのだが。子供のため云々の情緒的な話をいくら繰り返しても、RO側は全く譲らないだろうし、一般人の意識も変わらないだろう。
訳者あとがきによると、レッシグは今後政治とか民主主義に関する問題に軸足を移すらしいので、多分彼の本を読むのはこれが最後だろう。うーん、まだ問題山積みだから、色々なアイデアを読みたかったんだけどな。 -
Posted by ブクログ
人々が経済合理的に活動するという前提で構築されたマクロ経済理論に対する批判の書で、リーマンショックを含めた経済危機を説明するものとして世間でも高く評価されています。
読む前までは、「アニマルスピリッツが必要」ということを、勝手に非合理的だが冒険的な投資行動が経済には必要だということを言うのかと思っていました。しかし、ここでの「アニマルスピリッツ」の定義はそういうものではなく、もっと広い非合理的な行動のことを指しています。
具体的には、アニマルスピリッツ(非合理的行動)の5つの側面として、
1)安心、2)公平さ、3)腐敗と配信、3)貨幣錯覚、4)物語、を挙げています。これが本書の主張の肝になります。後半では実際に経済分野で生じている現象にアニマルスピリッツが及ぼしてるであろう影響を例を挙げて論じていきます。
著者らは全編を通して、合理的期待や効率的市場といったものを前提としたマクロ経済理論に、本書で挙げたアニマルスピリッツの原理を組み込まないといけないと結論付けています。ただ、その具体的方法については私の理解では曖昧にされたままです。
山形さんの訳もいいのか悪いのか分からない出来で、世間の評価から期待が大きかっただけに、何だか読みにくいというマイナスの印象が残りました。内容や主題は悪くないのですが... -
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タイトルでもある「アニマルスピリット」という言葉は、書中に何度も出てくるが、訳者によればケインズの「一般理論」において出てくる言葉であるという。元々の邦訳では「血気」と訳されていたようであるが、本書においては、経済的合理性だけで行動することができない人間の意味で使われているため、言葉の持つ印象と乖離することからそのまま、「アニマルスピリット」としてそのまま引用されている。さて、そのアニマルスピリットであるが、基本的に5つに分類されている。1.安心2. 公平さ3.腐敗と背信4. 貨幣錯覚5. 物語こうした要素が人々の合理的な判断を限定的なものにし、ときに非合理的な行動をもたらすという。本書は、著者が書中でも述べているようにマクロ経済学の本であり、行動経済学が主たるテーマとして書かれているわけではない。したがって、R/セイラーのような、実験に基づく人々の非合理的行動のケーススタディはあまりなく、非合理行動をより一般化したものである。それだけに抽象的で難解である。それだけに、読者が投資や実務などの実社会での活動にここで書かれていることを直接役立てるようなことは期待すべきではない、極めて理論的な内容である。基本的は、フィリップス曲線やインフレなどのマクロ経済の基礎知識がないと理解が難しいであろう。
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アニマルスピリット
・非経済的な動機や不合理な行動。
・行動への突発的な衝動。
・10年後の収益なんて推計できない。不確実ななか、決断を下すのはアニマルスピリット。
・5つの側面=安心、公平さ、腐敗と背信、貨幣錯覚、物語
社会主義者
・政府は、自ら人を雇うことで失業を解消する。
アダム・スミス
・「見えざる手」
・民間市場は政府の介入なしに自分の力で「見えざる手によるかのように」完全雇用を保証してくれる。
・自由市場資本主義は基本的には完璧で安定している。政府が介入する必要はまったくない。
・人々が、自分の経済的利益を合理的に追求すれば、「相互に有益な生産と交換」が行われ、完全雇用になる。
合理的な労働者=自分の生産よりも低い賃金を受け入れる労働者 ← 合理的な雇用主なら、雇用し、生産を増やす。
ジョン・メイナード・ケインズ
・「アニマルスピリット」
・『雇用・利子および貨幣の一般論』
・政府が借金をして消費すれば、失業者に仕事を取り戻せる。
・ほとんど経済活動が合理的な経済動機から生じることを認めつつも、
多くの経済活動がアニマルスピリットに動かされていることを指摘。
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安心
合理的な意思決定以上の行動を指す。
ケインズ乗数
政府支出の影響
1+MPC+MPC^2・・・=1/(1-MPC) MPC:限界消費性向
安心の指標・・・ミシガン大学消費者信頼感指数
経済を完全雇用に戻すには十分な金融政策と財政政策が必要だが、安心の低下による極度の信用収縮はそれだけでは不十分。
公平さ
罰を下すと幸せを感じる。報酬を期待するときに活性化される背側線条体のスイッチが入る。
衡平理論
取引のどちら側も、投入した分と得した分が等しくなるべきだ。
低技能者は高技能者に相談しない。感謝を述べることにより衡平にしようとする。
腐敗と背信
1991・・・貯蓄貸付組合(S&L)
2001・・・エンロン
2007・・・サブプライムローン
物件購入者、ローン提供者、ローン証券化業者、格付け機関、不動産担保証券購入者 --すべてで均衡が成立してた。
貨幣錯覚
意思決定が名目金額の影響を受けるときに生じる。
合理的なら、名目金額で市場で売買できるもの にだけ左右されるはず。
賃金の額面カットに対する抵抗=賃金の下方硬直性
物語
人間は物語をもとに考えるよう作られている。
物語の拡散は伝染病みたいに。
物語は事実を説明するだけにとどまらず、それ自体が事実になる。
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なぜ経済は不況に陥るのか?
「安心」の崩壊が経済的な失敗の「物語」の記憶尾関連するが、
その物語の中には不況に先立つ年月に起きた「腐敗」増加の物語も含まれる。
経済政策が「不公平」だという感覚が高まり、消費者物価下落の結果を
理解できないという「貨幣錯覚」が生じる
なぜ中央銀行は経済に対して(持つ場合には)力を持つのか?
なぜ仕事の見つからない人がいるのか?
効率賃金理論
やる気への影響を考えると、最低限の水準よりも高めに賃金を支払いたいと、雇い主は考える。
→労働の供給が需要を上回る。
→このギャップが仕事を見つけられない人
企業が完全には従業員を監視できない。
→従業員は、働いてもいいし、サボってもいい。ばれるとクビになる。
→失業がなくてあらゆる企業が同じ給料を払うなら、労働者たちには努力するインセンティブがない。
だから、雇用主は、従業員がサボらないように給料を必要以上に払う。→労働の需給は均衡しなくなる。
実際は、
従業員が公平だと思うものに依存している。公平だと思う賃金は市場の捌ける賃金よりも高い。
賃金が低くく不公平だと感じていると、従業員は職務を自分の責任だと考えにくくなる。
なぜインフレと失業はトレードオフ関係にあるのか?
貨幣錯覚がトレードオフを引き起こす。
なぜ未来のための貯蓄はこれほどいい加減なのか?
なぜ金融価格と企業投資はこんなに変動が激しいのか?
なぜ不動産価格には周期性があるのか?
なぜ黒人には特殊な貧困があるのか?