栗原康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんだこりゃ。ハチャメチャだけど、面白い!
「大杉栄伝」、「学生に賃金を」の著作で頭角を現すアナキズム研究者、栗原康の最新刊。
私の魂の叫びかと思うような、ど直球なタイトルに呼ばれて思わず購入。著書を初めて読んだのだけど……この本、この人、すごく面白い!
ゴールデンウィークの最後に読むのにもってこい。もう死んでしまいたいと思っている人が「完全自殺マニュアル」を手元に置くことで癒されたように、明日からまたあのギチギチの奴隷貨物列車に詰め込まれて会社に行き、フルタイムの非正規労働を正社員の半分以下の賃金でシコシコやって命すり減らしていくのかと発狂しそうな人はこの本を手元に置くことを強くおすすめ -
Posted by ブクログ
ネタバレ僕は”自分のことは自分でする”って考えが根底にある。だからか、本書の副題である-一丸となってバラバラに生きろ-という言葉に興味そそられ手にとった。
本書はアナキズムの入門。アナキズムとは何か、どんなことが議論されてきたかがエコ、キャピタリズム、サンディカリズム、フェミニズム、コミュニズムの5つの観点からかかれる。文体が独特で、会わずともアナーキーな人々の調子がわかるような気がする。この人以外のアナキストはどんな雰囲気なんだろうか。
すべてそっくりアナキストに従おうとは思わないが、僕がアナキズムから参考になったことはいくつかある。そのうちの二つをあげる。まず一つは大杉栄の「生の拡充」。これはアリ -
Posted by ブクログ
アナキスト大杉栄、関東大震災のドサクサに伊藤野枝とともに虐殺された大杉。
これまで大杉に関して書かれた本や、『自叙伝』、『日本脱出記』なども読んだが、今一つ、その凄さ、面白さが分からなかった。
本書は、大阪での米騒動で、米を売ろうとしない米屋に押し掛ける民衆の自発的な動きに興奮した大杉の姿から幕を開ける。
共産党的な上からの指示に従わせる硬い組織に反発する大杉、度々の発禁処分にもメゲずに頑張る大杉、はたからはだらしないと見える女性関係などについて、著者ならではの饒舌な語り口、織り交ぜられる突っ込みが、実に魅力的な大杉像を描き出している。
大杉の自由を求める姿には心打たれるもの -
Posted by ブクログ
岩波新書にしては思い切った装丁に惹かれて手に取る。政治思想は元来不勉強分野だが、「アナキズム」についてまとまった形で読むのは本書が初めて。登場する思想家・活動家中、辛うじて名を知っていたのは大杉栄くらい、あとは和洋問わずほとんど聞いたことのない名前の連続でやや戸惑ったが、内容は新書らしくシンプルでわかりやすく、著者の思いがストレートに伝わってくる良書だと思った。
本書を一読して我が身を振り返れば、自分の信条を体現しているわけでもない国家や組織の価値観をいつの間にやら内面化し、当初は確かにあった衝動を忘れてしまったことに無自覚な自分に思い至り、冷や汗が出る。この「他人の自我」に従属する奴隷状態