栗原康のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
なんだこりゃ。ハチャメチャだけど、面白い!
「大杉栄伝」、「学生に賃金を」の著作で頭角を現すアナキズム研究者、栗原康の最新刊。
私の魂の叫びかと思うような、ど直球なタイトルに呼ばれて思わず購入。著書を初めて読んだのだけど……この本、この人、すごく面白い!
ゴールデンウィークの最後に読むのにもってこい。もう死んでしまいたいと思っている人が「完全自殺マニュアル」を手元に置くことで癒されたように、明日からまたあのギチギチの奴隷貨物列車に詰め込まれて会社に行き、フルタイムの非正規労働を正社員の半分以下の賃金でシコシコやって命すり減らしていくのかと発狂しそうな人はこの本を手元に置くことを強くおすすめする。
ゴールデンウィーク中に読んでいるのがこの本と「ファイトクラブ」って、完全に会社辞める気満々だわ。五月病になるくらいなら、爪を研ごうぜ。合言葉は「はたらかないでたらふく食べたい」! -
Posted by ブクログ
アナキズムとは?というところから読み始めたが、読みやすかった。
支配はいらない、と言う。
それはそうだ!と思うのだが、でもこれは?という疑問に、アナキズムの視点を提示する。
消しゴムを拾ってあげることすら相互扶助でアナキズムなのだ、と思うと本当に身近なところにアナキズムはある。なのに、「相互扶助」と「コミュニズム」は現代に足りていないとも思う。当事者同士でなんとかする、与えられるものは与える、もらえるものはもらう。物もお金も知識も優しさも。
支配されないだけでなく、支配しないこともアナキズム。無意識に支配する側に回ってることもあるなぁと反省。 -
Posted by ブクログ
岸見一郎さんの書いたアドラー心理学の本を読んで深く感銘を受け、この教えに従って生きようと思ったとき、「こういうときこう考えてこう行動するのは、どうですか、アドラー先生、合ってますか? わたしよくできてますか?」という思考に陥っている自分に気づいて苦笑した。アドラーを従うべき師と見る上下の関係性も、褒められる良い生徒であろうとする承認欲求も、どちらもアドラー心理学で否定されるものだからだ。
アナキズムも、支配から逃れようとする思想なのだけれども、たとえば資本家の支配から逃れるために労働組合を組織したりそれを支援してくれる政党に頼ったりしていくと、往々にして、組合幹部や政党による支配を正当化していく精神が生まれてきて、従順な奴隷が、他の反抗的な奴隷を批判する構造になっていきがちである。支配者が変わるだけになる。だから、アナキストは、自分が掲げた「支配からの脱却」という大目標も、それが新たな支配につながると感じたらそれすらもぶちこわし、自分もぶちこわし、すべてから自由でいようぜヒャッハー、みたいな感じで生きるんだ、というような話だった。何事にもこだわらない、こだわらないことにもこだわらない、という自由さは好きだ。
また「ただ黙ってトイレを詰まらせろ」という話も好きだった。正規の職員用のトイレと日雇い労働者用のトイレがわけられていて、前者にしかトイレットペーパーがないときに、組織運動を起こしてトイレットペーパーを設置してくださいと陳情するのでもなく、力で圧倒してトイレットペーパーを設置させるのでもない。そのどちらも、支配者と奴隷という関係を前提としている。そうではなくて、新聞紙で尻を拭いてそれをトイレに流して詰まらせろ。そうなればトイレットペーパーを設置せざるを得なくなる。それは弱さを受け入れながらも相手を上に置かない戦い方だと。そんな話だった。
所詮自分は何も持っていないというところから出発して、役に立つとかカネになるとかそういうことは考えず、無償の生を生きるしかない、そういうところに相互扶助は生まれるし、とかなんとかそんな話もあった。
ちゃんといろんな先人の言葉を引きながらも、終始、それはまあ恐ろしいテンションで語られる。岩波っぽくない!うるさいけどおもしろかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ僕は”自分のことは自分でする”って考えが根底にある。だからか、本書の副題である-一丸となってバラバラに生きろ-という言葉に興味そそられ手にとった。
本書はアナキズムの入門。アナキズムとは何か、どんなことが議論されてきたかがエコ、キャピタリズム、サンディカリズム、フェミニズム、コミュニズムの5つの観点からかかれる。文体が独特で、会わずともアナーキーな人々の調子がわかるような気がする。この人以外のアナキストはどんな雰囲気なんだろうか。
すべてそっくりアナキストに従おうとは思わないが、僕がアナキズムから参考になったことはいくつかある。そのうちの二つをあげる。まず一つは大杉栄の「生の拡充」。これはアリストテレスの考える幸せの概念を思わせる。自分の力(資本とは関係ない)を伸ばすことに幸せを感じる。他者に依存しない幸福のあり方だ。二つ目は、主義に主義を立てないスタンス。ある主義における征服から自由になろうともがくのはいいが、そこに逆張りモラルを立てることは従属の構造が変わらず時代を繰り返してしまう。
アナキストの、自由を得ようとする力には、目に見えないしがらみが複雑に絡み合う今の社会を生き抜くマインドが詰まっているように思う。心にギャルを、心にアナキストを。サクッと読めるので是非。 -
Posted by ブクログ
アナキスト大杉栄、関東大震災のドサクサに伊藤野枝とともに虐殺された大杉。
これまで大杉に関して書かれた本や、『自叙伝』、『日本脱出記』なども読んだが、今一つ、その凄さ、面白さが分からなかった。
本書は、大阪での米騒動で、米を売ろうとしない米屋に押し掛ける民衆の自発的な動きに興奮した大杉の姿から幕を開ける。
共産党的な上からの指示に従わせる硬い組織に反発する大杉、度々の発禁処分にもメゲずに頑張る大杉、はたからはだらしないと見える女性関係などについて、著者ならではの饒舌な語り口、織り交ぜられる突っ込みが、実に魅力的な大杉像を描き出している。
大杉の自由を求める姿には心打たれるものがあるが、数の力を求め、大きな運動体を作ろうとする人々からは理解されなかっただろうことも、ある意味良く分かる。
大杉亡き後、打倒権力を目指して戦い、志半ばに倒れた仲間たちのことについては知らないことが多かったが、それぞれの生き方を顕彰する、良きレクイエムになっていると思う。