粟飯原文子のレビュー一覧

  • 崩れゆく絆

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    アフリカの作家は初。昔ながらの部族のしきたりを守って暮らしている村の英雄が、ふとした事故で7年間の追放の憂き目にあう。戻ってきた頃にはイギリスの宣教師が入り込み、村の様子は一変している。ストーリーとしては、二つの面があると感じた。一つは植民地化する前、その過程の両方で、住民、特に部族内で虐げられていた女性や子供、差別されていた村民にとって、何が幸せかを考えさせられる。もう一つは主人公と村全体の運命。文明化の旗印のもと、過去の風習等は全て否定される。ただ、不潔なことや迷信に基づいた子捨て、双子の廃棄などは解消されるわけで、どこに線を引くのかは難しい。

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    2022年04月09日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    現代ナイジェリアを舞台に、家族がある狂人の予言めいた言葉から不幸に陥っていく様はあまりに痛々しいが、一方で予言めいた言葉だけでここまで・・?とも思わなくもない。

    ただ最後の絆は感動した。

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    2021年12月26日
  • 小さきものたちのオーケストラ

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    ネタバレ

    小さきものたちのオーケストラ

    著者:チゴズィエ・オビオマ
    訳者:粟飯原文子(あいはらあやこ)
    発行:2021年7月25日
    早川書房

    唯物Vs観念

    ナイジェリア出身、アフリカ文学の若手作家の第2作。英国の最高賞であるブッカー賞の最終候補作。現在はアメリカのネブラスカ大学で教鞭をとりつつ執筆。

    本作はナイジェリア南東部にいるイボ人の話。60年代後半、この地域はビアフラ共和国として分離・独立宣言をしたため、ナイジェリア内戦となり、イギリスやソ連など大国の干渉も受けた。ムスリムではなくキリスト教徒が多く、登場人物たちもキリスト教徒だが、教会へ通いつつも、イボの宇宙観や宗教が行動原理の根底にある

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    2021年11月25日
  • マイ・シスター、シリアルキラー

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    「ねえコレデ、殺しちゃった」美しく誰からも愛される妹アヨオラから掛かってきた3度目の電話。妹とは違い控えめで堅実な姉コレデは、彼女が犯す犯罪の隠蔽を続けていた。
    衝撃的な題材だが淡々とした文章から、事件が姉妹の日常に溶け込んでしまっている様を思わせる。ソシオパスの妹だけではなく家長制の背景についても考えさせられる一冊だった。短めで読みやすい。 ハヤカワポケットミステリは小口染めが可愛らしいですね。持ち歩いてるだけで嬉しかったです。

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    2021年09月16日
  • マイ・シスター、シリアルキラー

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    ナイジェリア人の作家さんということで、気になって読んでみた。
    アフリカが舞台の作品は、ほとんど読んだことがないので新鮮。
    ミステリ・レーベルから出ている本だけど、自分的にはこれは純文学だと思う。
    登場人物のほとんどがクズだと思ってしまうのは…自分がおかしいのか?

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    2021年08月04日
  • マイ・シスター、シリアルキラー

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    各章が短いのですぐ読める。内容は凄いのに何故か突き放した様な雰囲気がドライで良い。コレデはずっと妹を庇い続けるのかと考えると着地がイマイチの気がした。

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    2021年04月01日
  • マイ・シスター、シリアルキラー

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    平凡な姉の想い人が美しい妹に奪われるというよくある設定に、シリアルキラーだという突拍子もない要素が加わって、果たして結末はどうなるのかという興味で読者を引っ張っていき、尻拭い役の姉がドタバタしながらも事態は一応の決着をみるのだが、ジタバタするのを止めることにした姉が妹の悪癖にどう付き合っていくのかという続編(無さそうですが)というか、殺人鬼デクスターばりにTVドラマ化したら面白くなりそうな予感が…

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    2021年02月27日
  • マイ・シスター、シリアルキラー

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    ナイジェリア出身の作家が、自国を舞台に描いたスリラー作品。付き合った男を次々に殺す妹と、その後始末を続ける姉が主人公である。アフリカという事情もあるのだろうか、ちょっと信じられないくらい緩い。ミステリーとして読むとイライラするかもしれないが、普通の小説(?)としてはそこそこ興味深く読んだ。翻訳ものにしてはセンテンスも短く、小刻みに章が変わるのであっさりと読み終わった。

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    2021年01月24日
  • 崩れゆく絆

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    「アフリカ文学」なるジャンルは初めて読んだ。使用言語は英語で、「英米文学」の欄に並んでた。
    西洋文明への批判でありながら、宗主国の言語で書かないと伝えることができない、というのが「弱者」の立場を象徴しているような。
    「宗教は脳の副作用である」(ジャレド ダイアモンドだったか)、「神は妄想である」(リチャード ドーキンス)という言葉が好きな身としては、やっぱり一神教はろくなもんじゃねえ、と改めて思った。
    アフリカの年寄りの言葉は含蓄が深いなあ。今の言葉で言うと、サステイナビリティファーストか。

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    2020年08月23日
  • 崩れゆく絆

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    ネタバレ

    ナイジェリア出身のイボ人作家 Chinua Achebe (1930-2013)による、アフリカ文学の金字塔と言われる作品です。

    前半は、19世紀後半の植民地化前のイボ族の共同体が、複雑かつ精緻な統治、信仰、慣習システムにより運営されている様子が、主人公であるオコンクウオを中心に描かれています。後半では、それが白人の宣教師たちによるキリスト教布教を境に瓦解していく様へと進行していきます。このあたりが、題名である”崩れゆく絆”をよく体現しています。

    この小説は1958年に出版されてますが、そのわずか2年後の1960年にナイジェリアが独立を果たしており、時代は違うものの過度期の不安定や焦燥とい

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    2018年11月10日
  • 崩れゆく絆

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    植民地をめぐる黒人と白人の闘い!はそれほどメインではなく、一族の血気溢れる父親を中心に物語は進んでいく。部族の中では自分中心に家族を捉える考え方が基本であり、息子は部族の生き方に疑問を持ち、いち早く異教の宗教を受け入れ家族から離れることを決意。いずれ母や兄弟にもわかってほしい。そこに父親の存在はない。変わらない人として息子の中では勘定に入らない。父親は俺のやってきたことはなんだったのか、と当然悩む。確かに歩いてきた道なのだが、これからも進むべき道なのだろうか。時代の流れって残酷だ。流されない者にとっては。

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    2018年08月31日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    書評でタイトルだけを読んで選んだので、アフリカ等で消えゆく湖の漁師の話だと思って読み始めた。

    が、そんな話ではまったくなくて、1990年代のナイジェリアを舞台に、9歳の少年の視点から語られる壮絶な物語。
    ナイジェリアの裕福な家庭が、狂人の予言をきっかけに崩壊していく。
    ナイジェリアの生活とその狂乱に巻き込まれていく家族を、4人兄弟の末弟の視点から描く。
    その視点の生々しさが、ぎらぎらとぬらぬらと伝わってきた。

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    2018年01月30日