粟飯原文子のレビュー一覧

  • マイ・シスター、シリアルキラー

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    ナイジェリア出身の作家が、自国を舞台に描いたスリラー作品。付き合った男を次々に殺す妹と、その後始末を続ける姉が主人公である。アフリカという事情もあるのだろうか、ちょっと信じられないくらい緩い。ミステリーとして読むとイライラするかもしれないが、普通の小説(?)としてはそこそこ興味深く読んだ。翻訳ものにしてはセンテンスも短く、小刻みに章が変わるのであっさりと読み終わった。

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    2021年01月24日
  • 崩れゆく絆

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    「アフリカ文学」なるジャンルは初めて読んだ。使用言語は英語で、「英米文学」の欄に並んでた。
    西洋文明への批判でありながら、宗主国の言語で書かないと伝えることができない、というのが「弱者」の立場を象徴しているような。
    「宗教は脳の副作用である」(ジャレド ダイアモンドだったか)、「神は妄想である」(リチャード ドーキンス)という言葉が好きな身としては、やっぱり一神教はろくなもんじゃねえ、と改めて思った。
    アフリカの年寄りの言葉は含蓄が深いなあ。今の言葉で言うと、サステイナビリティファーストか。

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    2020年08月23日
  • 崩れゆく絆

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    ネタバレ

    ナイジェリア出身のイボ人作家 Chinua Achebe (1930-2013)による、アフリカ文学の金字塔と言われる作品です。

    前半は、19世紀後半の植民地化前のイボ族の共同体が、複雑かつ精緻な統治、信仰、慣習システムにより運営されている様子が、主人公であるオコンクウオを中心に描かれています。後半では、それが白人の宣教師たちによるキリスト教布教を境に瓦解していく様へと進行していきます。このあたりが、題名である”崩れゆく絆”をよく体現しています。

    この小説は1958年に出版されてますが、そのわずか2年後の1960年にナイジェリアが独立を果たしており、時代は違うものの過度期の不安定や焦燥とい

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    2018年11月10日
  • 崩れゆく絆

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    植民地をめぐる黒人と白人の闘い!はそれほどメインではなく、一族の血気溢れる父親を中心に物語は進んでいく。部族の中では自分中心に家族を捉える考え方が基本であり、息子は部族の生き方に疑問を持ち、いち早く異教の宗教を受け入れ家族から離れることを決意。いずれ母や兄弟にもわかってほしい。そこに父親の存在はない。変わらない人として息子の中では勘定に入らない。父親は俺のやってきたことはなんだったのか、と当然悩む。確かに歩いてきた道なのだが、これからも進むべき道なのだろうか。時代の流れって残酷だ。流されない者にとっては。

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    2018年08月31日
  • ぼくらが漁師だったころ

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    書評でタイトルだけを読んで選んだので、アフリカ等で消えゆく湖の漁師の話だと思って読み始めた。

    が、そんな話ではまったくなくて、1990年代のナイジェリアを舞台に、9歳の少年の視点から語られる壮絶な物語。
    ナイジェリアの裕福な家庭が、狂人の予言をきっかけに崩壊していく。
    ナイジェリアの生活とその狂乱に巻き込まれていく家族を、4人兄弟の末弟の視点から描く。
    その視点の生々しさが、ぎらぎらとぬらぬらと伝わってきた。

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    2018年01月30日