粟飯原文子のレビュー一覧
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アフリカ文学の父と称されるアチェベの代表作。アチェベの名前、どこかで聞いたことがあると思ったら、コンラッドの「闇の奥」についての論争について読んだときに名前をみかけたようだった。
本書は19世紀のナイジェリア、イボの文化を描き出すとともに、それがイギリスによる植民地支配により崩れ行くさまを、戦士として誇り高い地位にあった主人公、オコンクウォの転落に重ねて描き出す。前半のイボの文化は興味深いが、アフリカの独自性を描き出すというよりは、その中で葛藤する個人を描こうとしていると言える。その点ではオーソドックスな小説とも言えるが、それまでアフリカ人を主人公としてこなかった小説世界が、アフリカを舞台にオ -
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◆石川直樹さんのおすすめ
キリスト教が入ってきたときに
今現在虐げられてたり
今現在の価値観に疑問を持っている人たち
(双子を堕胎しなければならなかった母親など)
が改宗していったというところに
なるほどなぁと思う
もともといた人たちの世界観の中に
新しく場所を設けて
考えを拡げていく
どちら目線かで全く変わってくるけれど
元いた方は「順番」の重要さを思って
後発の振る舞いを理不尽に感じるのも
仕方なく思う
後から入っていく方は
自分たちの「正しさ」を広めたいし
受け入れられたいし
そのために尽力もするだろう
なんだあれ?と思われるような
新しい考えは一見カルト的にも思えるだろう
な -
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「アフリカ文学の父」による最高傑作と言われる。
物語の前半は、徹底した労働により一代で名声を築く主人公オコンクウォの半生が語られる。彼の考える勇気の大切さ、怠惰への嫌悪などは息をのむほど。一方で、一夫多妻制の下での(現代の感覚から見れば)信じがたいほどの男尊女卑、子どもへの抑圧、「迷信」と呼ばざるを得ないような呪術。同時に、争いを避けるために精霊たちが村人に与える平和への知恵。そして後半、ここにキリスト教の宣教師がやってくる。
初代宣教師は、村人のするどい突っ込みに受け答え、伝統的な慣習に理解を示しながら少しずつ信者を増やしていく(「神は一人といったり、神の息子がいると言ったりどっちなんだ -
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「アフリカ文学の父」と言われるチヌア・アチェベの作。
アチェベはナイジェリア・イボ族出身で、ロンドン大学のカレッジにあたるイバダン大学(ナイジェリア最古の大学)で学んでいる。
アチェベはコンラッドの『闇の奥』を批判したことで知られる。アフリカの人間性に目を向けず「ヨーロッパすなわち文明のアンチテーゼ」としたというものである。アフリカ人を「野蛮」としか見ていなかったというわけだ。
アフリカを描写する「異なる物語が必要」として、実際に創作したのが「アフリカ三部作」と呼ばれる作品群で、この『崩れゆく絆』が最もよく知られる(他の2編、『もう安らぎは得られない』『神の矢』に関しては、少なくとも入手しやす -
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アフリカの作家は初。昔ながらの部族のしきたりを守って暮らしている村の英雄が、ふとした事故で7年間の追放の憂き目にあう。戻ってきた頃にはイギリスの宣教師が入り込み、村の様子は一変している。ストーリーとしては、二つの面があると感じた。一つは植民地化する前、その過程の両方で、住民、特に部族内で虐げられていた女性や子供、差別されていた村民にとって、何が幸せかを考えさせられる。もう一つは主人公と村全体の運命。文明化の旗印のもと、過去の風習等は全て否定される。ただ、不潔なことや迷信に基づいた子捨て、双子の廃棄などは解消されるわけで、どこに線を引くのかは難しい。
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ネタバレ小さきものたちのオーケストラ
著者:チゴズィエ・オビオマ
訳者:粟飯原文子(あいはらあやこ)
発行:2021年7月25日
早川書房
唯物Vs観念
ナイジェリア出身、アフリカ文学の若手作家の第2作。英国の最高賞であるブッカー賞の最終候補作。現在はアメリカのネブラスカ大学で教鞭をとりつつ執筆。
本作はナイジェリア南東部にいるイボ人の話。60年代後半、この地域はビアフラ共和国として分離・独立宣言をしたため、ナイジェリア内戦となり、イギリスやソ連など大国の干渉も受けた。ムスリムではなくキリスト教徒が多く、登場人物たちもキリスト教徒だが、教会へ通いつつも、イボの宇宙観や宗教が行動原理の根底にある -
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