粟飯原文子のレビュー一覧

  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学初読み。
    イボ人の伝統と生活習慣が色鮮やかに語られていく。異文化を体感できるのは読書の醍醐味だ。
    主人公が最後に選択したものが消化しきれない。また時間を置いて読み返したい。
  • 小さきものたちのオーケストラ
    読み進めるにつれて、気分が重くなった。

    優しさの影も形もない姿になってしまった宿り主。それが、彼女への愛と、負った苦しみの大きさを物語る。

    小さきものたちとして生まれたら、仕方のない結末なのだろうか。この後の人生で幸せを感じる出来事があることを願いたい。

    一方で、いつも復讐に燃えている宿り主は...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    ナイジェリアの作家が描く、サイコミステリー。交際相手を殺しがちな妹、その後始末を手伝う姉。姉妹の性格も容姿も真逆といってよい。
    家族、ジェンダーなども描きつつ話が進むが、重たくなりすぎず軽妙で読みやすいこの作品。ほんの1-3ページずつに章が分けられて描かれているのも驚きだが、重たいシーンでも軽妙なジ...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    妹の殺人の後始末,過去のトラウマ,ほのかな恋,抑えきれない感情を目覚めない患者に語りかける看護師のコレデ.その出口の見えない姉妹の関係に胸が痛む.
    次々と起こる事件をサクサクと明快に書き分けて,会話も巧みでとても面白かった
  • 小さきものたちのオーケストラ
    最近ミステリを読まないのは意味のなさない長い人名、役職の肩書きなど単語が長文化したものの羅列に振り回されたあげく、中身もないので、ただ車酔いだけしただけのような感覚に陥るからである。
    この作家はそうとう血肉削って書いてるのだろう。たまにつるっと骨と肉が離れるチキンもあれば、反対に、ぼそぼそ骨にこびり...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    機能不全家族という土壌で形成された姉妹の歪な絆。理解し難い所もあったけど、人命の軽い国では割り切りの良さがないと幸せは手に入らないのかも。
    軽快に流れる文体は、不気味な世界に独自のユーモアを与えていて面白いなと思いました。
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    なんとも珍しいナイジェリアミステリ。

    人物描写や人間関係にそこはかとなく文化色を感じ、序盤やや馴染めない感じがしたが、凝縮された3~5ページからなる章を連ねた小気味よい構成に引き込まれていった。

    何故か付き合う男、付き合う男をナイフで殺めてしまう妹アヨオラに振り回される姉のコレデ。
    アヨオラの次...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    あっという間にクライマックスを迎えてしまった。サクサク読めるしコミカルなところもあるのだけれど、これそうとうトチ狂った姉妹の物語だぞ!?(褒めてる

    嫌いじゃないよ。コレデ。きみがいちばんトチ狂ってる。この二人は今後もこうして生きて(殺して)いくのかしらと先々を思うとまたゾッとする…
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    意外に小さい本ということにまずビックリ。
    お話自体はテンポ良く、読みやすかったです。長女同士感情移入できるかな..と思ったけど、全然そんなことはありませんでした。あんな妹いらん笑 でも魅力的なことはよく伝わりました。人物の見た目の描写はすごく良くて、しっかり想像できました。
    主人公が日本的だなと感じ...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
     ナイジェリア発新人女性作家によるデビュー・ヒットということである。ロンドンとナイジェリアの大都市ラゴス島を往来する若き女流作家(1988年生)のこれまでの人生がどのようなものかはわからないが、英国へ留学し、キングストン大学の学位を取得している上流育ち。写真は可愛らしくお洒落なイメージ。

     まずは...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    真面目な姉と奔放な妹の絆と葛藤、家族の闇、薄っぺらい人びと、重めのテーマだが短く簡潔でポップな文体で淡々を進められるストーリーテリングが新しい。どうしょうもない状況なのになんだか明るいところがアフリカらしいのだろうか。
  • 崩れゆく絆
    ・アフリカ文学史上最高と呼び名の高い小説
    ・アフリカの村で一代で名声を築いた男が主人公
    ・父親を反面教師に努力をする
    ・隣の村と戦争を起こす代わりに人質を捉えて自分の家で育てる
    ・村のならわし、神のおつげにより、自ら大事にしていた人質の子を殺めてしまう。そこから暫くは食事もせず。
    ・偶発的な事後で同...続きを読む
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    一文が短くテンポ良く話が進められる。 
    ファンタジー?う〜ん、別世界。生活感をもっと知りたかった。 #ナイジェリア・ラゴス
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    狂っているものをブラックユーモアで軽やかに描くのがなんか面白かった。
    妹が恋人を次々殺してしまう。妹を守るために姉が死体を始末する。おかしいのはどちらなのか。いや両方か。

    「命を始末するよりも死体を始末するほうが、うんと手間がかかる。」

    なるほど。

  • マイ・シスター、シリアルキラー
    タイトルだけ見れば猟奇的なものを想像するけれどそれだけではなくて、ブラックユーモアのような雰囲気もあって面白い。妹が殺人を犯し姉に助けを求める。そうしてやってきた二人の繋がりと姉の苦しみ。それが抑えた文章で描かれていてこれまであまり読んだことのない作品になっている。
  • マイ・シスター、シリアルキラー
    や、これは新感覚。
    ナイジェリアの女性作家だが、英国の大学卒の方。
    舞台がナイジェリア最大の都市ラゴスだが、植民地としてのアフリカ感がなく、空想上の都市のよう。

    まず妹がぶっ飛んだ性格破綻者として登場しどぎもを抜かれるが、堅物と思われた姉のクールな語り口から次第にバックグラウンドが明らかになると、...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学の在り方
    黒人と白人の関係っていうのは今後も一生注目され続けるもので、こういった文学はその関係における事実とか考え方を継承するひとつの大切なもの
  • 崩れゆく絆
    アフリカ文学の父と称されるアチェベの代表作。アチェベの名前、どこかで聞いたことがあると思ったら、コンラッドの「闇の奥」についての論争について読んだときに名前をみかけたようだった。
    本書は19世紀のナイジェリア、イボの文化を描き出すとともに、それがイギリスによる植民地支配により崩れ行くさまを、戦士とし...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    ◆石川直樹さんのおすすめ

    キリスト教が入ってきたときに
    今現在虐げられてたり
    今現在の価値観に疑問を持っている人たち
    (双子を堕胎しなければならなかった母親など)
    が改宗していったというところに
    なるほどなぁと思う

    もともといた人たちの世界観の中に
    新しく場所を設けて
    考えを拡げていく

    どちら...続きを読む
  • 崩れゆく絆
    民族誌半分、物語半分。カメの昔話、家族の仕組み、ヤム芋の農業。歌や市場や巫女の存在意義、アフリカ文化の基礎知識がないから、珍しい。

    キリスト教の西欧がアフリカの人々の信仰を無慈悲に蔑み侵入してきたのを当事者の目から書いた、アフリカの人々 可哀想、なだけで終わらない文学。
    村人たち、とくに主人公オコ...続きを読む