粟飯原文子のレビュー一覧
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ネタバレ「まずは少年。名はユスフ。」
この1行目から物語への期待が高まる。
ストーリーは簡単に言えばユスフの成長物語だけど、著者が植民地支配や迫害の跡に目が向けられる前のアフリカを描きたかったと言うように、複雑な要素を含むアフリカを知れる歴史認識本だと感じた。
「楽園」はただアズィズおじさんの庭の意味だけではなく、作中に複数の人が自分の描く「楽園」について語る。
ラストのユスフの選択には驚かされたが、庭師のムゼー・ハムダニの自由、カラシンガの信仰などの話の他、父と母がもういないと知ったことも大きかったのだと思う。
ユスフは隷属状態に徐々に疑問を抱くようになっていたし、気付かぬうちにどん底に落ちている糞 -
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憎しみは蛭だ。人の皮膚にくっついて栄養を吸い上げ、精神から活力を奪う。
アブルに毒を飲ませても死ななかった時
無傷の親指を血溜まりに浸して血まみれにすることと、親指が切り傷の血で濡れることは全く違うと理解したはずだ。
やはりアフリカ文学ってことで、考え方とかがまるで違うと感じた。そしてそれ故に読みにくい部分は確かにあった。ただ、あとがきの部分を読んで納得した。狂人であるアブルの登場は、ナイジェリアからみたイギリスであり、ここに対比が存在する。エンタメを楽しむには、それ相応の知識や経験が必要なのだと強く感じた。しかし、アフリカ文学も面白いということを発見できたのは大きな収穫。ジャンルや国に囚 -
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植民地支配される前のアフリカの伝統的な暮らしの素晴らしさを描き、欧州の文明到来により崩壊していく嘆かわしいお話かと思っていたら、もっと深くてたくさんの要素が詰まったお話でした。
アフリカの集落の日常は物珍しく、慣習や考え方の違いは読んでいておもしろいですが、予想外に残酷で不可解だし、英雄オコンクゥアはいけすかない暴力男で正直モヤモヤしました。
キリスト教については否定も肯定もありませんが、人々を無駄に苦しめない点で、少なくとも呪術よりよっぽどいいし、植民地化されて安心して暮らせるようになってよかったのでは?と思いました。
登場人物の名前が難しすぎて、もはやおもしろい。そして、大量の注釈に尻込み -
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重い話でした。
伝統を守るとは?
その中で地位を築くためには?
その一方で、その伝統に潜む非科学的・非人道的な掟を守り続けるのはなぜか。
それらを打破するのが、侵略に依ってしまうのが辛い。
初めてのアフリカ文学。
田舎者の私には、舞台となった前世紀初頭のナイジェリアの話が、なんだか知らない世界の話ではなく、読んでいる間中、本当に息苦しかったです。
なんというか、父のようにはならないと決めた主人公が、その地で認められるよう努力してきたのに、一つの選択ミスが命取りになってしまう…
最後になぜ自死を選んだのか、初めはよくわからなかったのですが、戦おうとしたのは自分だけ、と気づき絶望したから…と -
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「読書会という幸福」(向井和美/岩波新書)で紹介されていた本。初めてのアフリカ文学ですが、読みどころの多い小説でした。著者のアチェべはナイジェリア出身のイボ人作家。
1958年にロンドンで発表された本書は「アフリカ文学の父」と呼ばれるアチェべの最高傑作とされています。
(以下、プロットに若干触れます)
本書は3部で構成されます。第1部は架空の村ウムオフィアにおける慣習、神々、呪術の数々と主人公オコンクウォの人となりを描き、オコンクウォが犯してしまった過失で終わります。第2部はオコンクウォの流刑先での日常と拡大する白人の植民地支配を描き、第3部ではオコンクウォの悲劇が描かれます。
本書の読 -
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なんとも珍しいナイジェリアミステリ。
人物描写や人間関係にそこはかとなく文化色を感じ、序盤やや馴染めない感じがしたが、凝縮された3~5ページからなる章を連ねた小気味よい構成に引き込まれていった。
何故か付き合う男、付き合う男をナイフで殺めてしまう妹アヨオラに振り回される姉のコレデ。
アヨオラの次なる標的はコレデが職場の病院で密かに想いを寄せる医師のタデ。
アヨオラのぶっ飛びっぷりと、その言動を諫めながらも心の底では血の繋がりによる愛情を捨てきれないコレデの物語の行きつく先はどこなのか。
とてもサスペンスフルで、なるほどおもしろいと感じた。
結末が期待していたほどひねりの利いたものではなか -
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ナイジェリア発新人女性作家によるデビュー・ヒットということである。ロンドンとナイジェリアの大都市ラゴス島を往来する若き女流作家(1988年生)のこれまでの人生がどのようなものかはわからないが、英国へ留学し、キングストン大学の学位を取得している上流育ち。写真は可愛らしくお洒落なイメージ。
まずはアフリカ発ミステリーというだけでも珍しいし、数々のミステリー賞を獲得したという、本作の煽情的なタイトルも話題性豊かで目立つだろう。ちなみに本書は、二百ページに満たない短めの小説である。内容は細かく区切られた章立てによる、場面転換の豊富な、とても読みやすく興味深い作品であった。
三人以上の殺人で「 -