久生十蘭のレビュー一覧

  • 久生十蘭短篇選
    ツイッターでフォローしてる河出文庫で話題にされてたので、しかしあったのは岩波のだった。

    いろいろと予想外。漠然と予想していた幻想文学、だけでもなく、平易で読みやすいのに見慣れない文体。そっけないような丁寧なような。身構えて読んだら優しかったり、ぽんと突き飛ばされて終わったり。
    時間の流れがさくさく...続きを読む
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
    どれもおもしろかったが
    「葡萄蔓の束」「その後」「死亡通知」
    の三篇が特に素晴らしい.

    十蘭の作品は全集でなければ読めないものも多いのでこの手の文庫化は嬉しい.
  • 久生十蘭短篇選
    凝縮された完成度の高い短編が多く、何とも言えない美しい描写や人の性格の描き方が上手さもあって楽しく読める。時々立ち上る「ハイカラ」な香りも良い感じ。

    「黄泉から」
    話の筋よりも、おけいが死の間際にニューギニアで見た「雪」のシーンが実に素晴らしい。★★★★

    「予言」
    これは夢だったか妄想だったか、...続きを読む
  • 久生十蘭短篇選
    洒落てる
    そして作品中の描写(心理/風景)のバランスがきまっていて明晰さを感じる

    「予言」「白雪姫」「雪間」「母子像」が特に好き

    比喩もくどくなくて鮮やか
    とても好きな文体でした
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集
    おもしろかったけれど、作品ごとに作風がバラバラでまだどうこういえる段階ではない。けれど、洋風のものが面白かった。
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    魅力的な短編集。
    とりわけ『母子像』は脳内映像フル稼働・・・!胸の苦しさがかえって心地いいなんて。余韻にしびれます。
  • 久生十蘭集 ハムレット ―怪奇探偵小説傑作選3
    久生十蘭の本で現在、手に入れやすい一冊。『黒い手帳』の端正な書き出しから幕を開ける。『海豹島』『墓地展望亭』の浪漫に酔いしれ、『月光と硫酸』の黒いユーモアにニヤリとし、『昆虫図』の最後の一行に戦慄することになるだろう。壮大にして精密な構成を支える文体の魔術師、少女小説から時代物までを書きこなす舞台の...続きを読む
  • 湖畔 ハムレット 久生十蘭作品集
    この作品集に収められている『母子像』をゼミの演習で発表してくれた子がいて、すごく面白かった。美しいと思って、憧れていたもの、この物語の少年にとっては母親の汚さを見て、もう嫌だ!死にたいと思ってしまうのは、少年であるがゆえの心の純粋さのためであると思う。そんな悲しい気持ちを持ってしまった少年の最期は切...続きを読む
  • 顎十郎捕物帳 01 捨公方

    リズムよく

    銭形平次捕物帳 半七捕物帳の伝統を引き継ぐ捕物帳シリーズ、和風定食の味わいである。べらんめえ調の口調の良さがそのまま文章になっていてリズムよく読みすすめることができる。ストーリー内容はそれほど重くなく、謎解きもそれほど難しくはない。主人公が武士 という設定なので、平次 半七の大先輩二人と比べるとやや...続きを読む
  • あなたも私も mt×角川文庫 specialカバー版
    ん・・・

    読み始めからこの方角は予想できず、迷子になった。

    もう一度読む機会があれば、きっと楽しめる。きっと。
  • あなたも私も mt×角川文庫 specialカバー版
    誰が味方で誰が敵なのかという現代的な筋書きの小説なのだが、著者のスタイリストぶりはここでも崩れず‥今の作家ならもっとドキドキハラハラとした感じに仕立てるだろうとも感じる。
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
    現代物、時代物、幻想譚、ルポルタージュ風など、さまざまな作風の短編が10作。
    読み慣れない漢語が多いが、読んでいるうちに引き込まれ、意外とスラスラ読める。
  • 黒い手帳~探偵くらぶ~
    谷崎「白昼鬼語」、芥川「黒衣聖母」に続く〈探偵くらぶ〉シリーズの3冊目。十蘭は2分冊らしく、今後2冊目が出るみたいなので楽しみですね。
  • 海豹島
    オットセイに化けていました、というバカミスともいえる真相は、氷に覆われた離島という極限状態であればこそ「まあありかな」と思わせるものだと思う。
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
    なにぶん、岩波の短篇選からはいってしまったもので、幻想の土壌は比べて薄らいで、残酷さが強く印象に残ってしまう。でもベルナアルさんは好き。
  • 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
    ジュラネスク 十蘭ジュラン風作品群 とでもいう意味だろうか。10篇、多才ぶりがうかがえる様々の分野に展開した作品。伝奇・歴史・史実など。「影の人」のモデルは実在。
    「渡来日記」日米和親条約の調印使節団の一員で、バーハタン号に乗った一随行員の日記。随行した「咸臨丸」の勝海舟らのように欧米文化に圧倒さ...続きを読む
  • 魔都
    もちろん私も実際に体験したわけでがないが、昭和初期のある種退廃的でそれでいて活力に溢れた濃密な雰囲気が、講談師の小気味いい調子が聞こえてくるような独特の文体で綴られている。
    肝心の筋は、登場人物が多く冗長で少しとっ散らかっている感もあり、あくまで空気を味わう類の作品か。
  • 魔都
    次から次に起きる怪事件と、現れては消える多彩な登場人物、全体像を捉えがたい複数の事案と魔都東京の姿を、思わず読み上げたくなるようなリズミカルな語り口で鮮やかに描き出している。
    謎はあってもミステリーとは言い難く、アクションはあっても冒険小説とも言い難い、不思議な味わいのある小説。
  • 魔都
    新青年での連載版を校訂して出版、ということで作品自体は既読ですが東京創元社版も購入(ありがとうございます)。
    昭和9年の帝都東京が持つエネルギー、群像劇に翻弄されながら物語の中を漂う楽しみ。良いですね。あと、講談調といいますか、作者がチラホラでてくる語り口調の物語(解説では「譚」とふれられてましたが...続きを読む
  • 墓地展望亭・ハムレット 他六篇
    作者の持つ世界が、広がっているようにも、一定の規則の下に従ってとんとんと置かれているようにも感じられる。短篇選では多種多様な語りぶりに心服したものだけれど、こちらは、あくまで個人の感想であるが、宙空に置かれた作者の視座のようなものが見えてしまう気がする。まあ、作者は表現に表現を重ね、読者を煙に巻くの...続きを読む