久生十蘭のレビュー一覧
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どれもおもしろかったが
「葡萄蔓の束」「その後」「死亡通知」
の三篇が特に素晴らしい.
十蘭の作品は全集でなければ読めないものも多いのでこの手の文庫化は嬉しい.Posted by ブクログ -
魅力的な短編集。
とりわけ『母子像』は脳内映像フル稼働・・・!胸の苦しさがかえって心地いいなんて。余韻にしびれます。Posted by ブクログ -
久生十蘭の本で現在、手に入れやすい一冊。『黒い手帳』の端正な書き出しから幕を開ける。『海豹島』『墓地展望亭』の浪漫に酔いしれ、『月光と硫酸』の黒いユーモアにニヤリとし、『昆虫図』の最後の一行に戦慄することになるだろう。壮大にして精密な構成を支える文体の魔術師、少女小説から時代物までを書きこなす舞台の...続きを読むPosted by ブクログ
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この作品集に収められている『母子像』をゼミの演習で発表してくれた子がいて、すごく面白かった。美しいと思って、憧れていたもの、この物語の少年にとっては母親の汚さを見て、もう嫌だ!死にたいと思ってしまうのは、少年であるがゆえの心の純粋さのためであると思う。そんな悲しい気持ちを持ってしまった少年の最期は切...続きを読むPosted by ブクログ
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銭形平次捕物帳 半七捕物帳の伝統を引き継ぐ捕物帳シリーズ、和風定食の味わいである。べらんめえ調の口調の良さがそのまま文章になっていてリズムよく読みすすめることができる。ストーリー内容はそれほど重くなく、謎解きもそれほど難しくはない。主人公が武士 という設定なので、平次 半七の大先輩二人と比べるとやや...続きを読む
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ん・・・
読み始めからこの方角は予想できず、迷子になった。
もう一度読む機会があれば、きっと楽しめる。きっと。Posted by ブクログ -
誰が味方で誰が敵なのかという現代的な筋書きの小説なのだが、著者のスタイリストぶりはここでも崩れず‥今の作家ならもっとドキドキハラハラとした感じに仕立てるだろうとも感じる。Posted by ブクログ
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現代物、時代物、幻想譚、ルポルタージュ風など、さまざまな作風の短編が10作。
読み慣れない漢語が多いが、読んでいるうちに引き込まれ、意外とスラスラ読める。Posted by ブクログ -
なにぶん、岩波の短篇選からはいってしまったもので、幻想の土壌は比べて薄らいで、残酷さが強く印象に残ってしまう。でもベルナアルさんは好き。Posted by ブクログ
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ジュラネスク 十蘭ジュラン風作品群 とでもいう意味だろうか。10篇、多才ぶりがうかがえる様々の分野に展開した作品。伝奇・歴史・史実など。「影の人」のモデルは実在。
「渡来日記」日米和親条約の調印使節団の一員で、バーハタン号に乗った一随行員の日記。随行した「咸臨丸」の勝海舟らのように欧米文化に圧倒さ...続きを読むPosted by ブクログ -
作者の持つ世界が、広がっているようにも、一定の規則の下に従ってとんとんと置かれているようにも感じられる。短篇選では多種多様な語りぶりに心服したものだけれど、こちらは、あくまで個人の感想であるが、宙空に置かれた作者の視座のようなものが見えてしまう気がする。まあ、作者は表現に表現を重ね、読者を煙に巻くの...続きを読むPosted by ブクログ